ブックタイトル社会科NAVI Vol.15
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社会科NAVI Vol.15
みんぱくワールドシネマvol. 15「幸せのありか」2013年ポーランド映画107分監督/マチェイ・ピェブシツア●国立民族学博物館教授信田敏宏c Trmway Sp.z.o.o Instytucja Filmowa,, Silesia Film”, TVP S.A, Monternia. pl. 2013本作「幸せのありか」は,障がい者が直面する誤解や困議を示す時にはテーブルに拳を叩きつけることを彼に教え,夜空を見な難,家族や周囲の人たちとの関係性など,様々な問題をちりばめながら,逆境の中で懸命に生きる主人公マテウシュが人間としての尊厳を取り戻すまでをリアルに描いた感動作である。実話に基づいたこの物語は,脳性麻痺で生まれたマテウシュが発達検査を受ける場面から始まる。検査員の女性は,マテウシュの目の前で母親に対して「この子には知的障がいがあり,植物状態も同然」と断言する。植物人間と診断されたマテウシュだが,実は彼には知的障がいはなく,意思があり,気持ちや感情も豊かであった。映画のナレーションとなっているマテウシュの心の声は語る。「植物も同然の僕の気持ちは誰にも伝わらない」。両親はマテウシュに精一杯の愛情を注ぎ続ける。父親は,怒りや異がら星が動いていることを彼に話した。学校に通えないマテウシュは,近隣観察を社会科の勉強に見立て,窓から外を眺める日々を送り,時には女性の胸にときめいて人体の不思議さを学ぶこともあった。1989年,ポーランドの民主化が実を結んだ頃,父が他界。最愛の父の死に7歳のマテウシュは悲しみにくれる。1998年,マテウシュは一人の少女と出会うが,その初恋は突然,終わりを告げる。マテウシュを取り巻く環境は,さらに悪い方向へと向かっていく。マテウシュを疎ましく思う姉が,彼を養護施設に入れてしまうのだ。施設でのつらい生活が始まり,マテウシュの前歯は食事の介助の邪魔になるという理由で強制的に抜かれることとなる。抗議の意を表すため,マテウシュは自ら階段から転げ落ちる。8社会科NAVI 2017 vol.15