ブックタイトル社会科NAVI Vol.16
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社会科NAVI Vol.16
中学校歴史的分野の場合,アの知識の面で目指すところは,現行の目標と変わらず「歴史の大きな流れを」「各時代の特色を踏まえて理解する」ことです。 ただし,各時代の特色とは,その時代に関するあれこれの出来事を余さず教えさえすればやがてその総体としてつかめてくる,というものではありません。むしろ,散漫な全体情報でなく,捉えさせたい時代の特色に深く関わる事象,焦点化された代表的な事象を,指導者が厳しく選定する必要があるのです。そしてそれを,深い学びを通して十分に理解させることです。 下の図は,歴史的分野の学習内容が,その中核目標「我が国の歴史の大きな流れ」に向けて収斂していく姿を表したものです。実は,似た図が平成20 年の社会科解説でも示されていました。それとの違いは,図の最下段「焦●点●化●さ●れ●た●事象」です。「焦点化された」とは,「近世の特色」の場合なら,その基本要素の一つである「幕府と藩による支配 もし仮に,生徒や保護者から「先生の社会科の授業を受けたらどのような力が身に付くのですか?」とたずねられたとしたら,私たちはこれに自信をもって明快に答えることができるでしょうか。 今次の学習指導要領改訂の眼目は,まさにこの点にあります。旧来のように教科書等に書かれた内容を順に説明していくのでは,学習指導はその使命を全うしません。各教科等で育成を目指す「資質・能力」が何であるのかを指導者自身が明確に認識し,その育成のためにこそ学習内容の選定や学習方法,学習評価の工夫を行う,つまりその育ちを実質において保証する必要があるのです。したがって,授業の進め方が“ 活動的” であるかどうかという外見上の話は,事の本義ではありません。 新学習指導要領では,全教科等共通に,身に付けるべき次のア・イの資質・能力が,中項目ごとに連記されています。 ア 知識・技能の面 イ 思考・判断・表現の面 よく社会科関係者の口から,授業中はアの学習内容の伝達に手一杯で,イの思考や表現の活動をする時間などとれない,という言葉を耳にします。でも,本当にそうでしょうか。 今次改訂では,思考や表現などを含む「深い学び」を経てこそ本当の意味での理解が図られ,これこそが転移・応用の効く基礎・基本たる知識となることが強調されています。私たちは,目指す力の育成に向けて,思考等を通して本質的な理解を図るよう,授業を設計すべきなのです。●群馬大学准教授 中尾 敏朗新学習指導要領の改訂のポイント中学校社会科歴史的分野編1 2 新学習指導要領の基本的な考え方授業展開の過程授業構成の過程我が国の歴史の大きな流れ現代の特色 近代の特色(エ)幕府の政治の展開(ウ)産業の発達と町人文化(イ)江戸幕府の成立と対外関係江戸幕府の成立と大名統制を基に江戸幕府の対外政策と対外関係を基に焦点化された事象焦点化された事象焦点化された事象(ア)世界の動きと統一事業中世の特色 古代の特色身分制と農村の様子を基に幕府と藩による支配が確立したことを理解する近世の特色統一政権の諸政策の目的に着目して,事象を相互に関係付けるなどして近世社会の変化の様子を考察し表現する近世の日本を大観して,時代の特色を考察し表現する各時代の特色に関わる焦点化された学習内容の選定ーア 知識の面ー10 社会科NAVI 2017 v ol.16