ブックタイトル社会科NAVI Vol.16
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社会科NAVI Vol.16
編集部から筆者に依頼されたのは,中学校社会科公民的分野について,新しい学習指導要領では,何がどう変わったのかを説明することである。本稿では,前述の要請に応えるために以下の手順で,その内容を説明していきたい。● 重要ポイント● 変更点:全体構成の視点から● 変更点:大項目毎の内容構成から なお,中学校社会科公民的分野については,平成20 年版の学習指導要領(前回の改訂と略す場合がある)における「改革」を更に維持・発展させることが,今回の学習指導要領の改訂の趣旨に沿うものだと考えられており,後でも述べるが,「全体構成」については,枠組みの大きな修正は行われず,主権者教育の充実等といった様々な社会的要請に対応した形で,「大項目毎の内容構成」が加筆されている。(1)基礎的・基本的な知識・技能の確実な習得 前回の改訂では,学校教育法30 条2 項に基づいて「基礎的・基本的な知識及び技能を習得し,それらの活用」が重視された。今回の学習指導要領の改訂でも,その考え方は基本的に踏襲されている。ただ,今回の改訂では,より一層「理解していることをどう使うか」が重視されているといった点に注目したい。「単に理解している」だけではなく,現代社会のためにどう「使うか」,そして,「使う」ことで更にその知識を確実に習得する,と●福井大学教授 橋本 康弘新学習指導要領の改訂のポイント中学校社会科公民的分野編課題を追究したり解決したりする活動において,社会的事象等の意味や意義,特色や相互の関連を考察したり,社会に見られる課題を把握して,その解決に向けて構想したりする際の視点や方法いった学習が想定されている。前回の改訂において,公民的分野では,「習得」と「活用」を「切り離し」て整理していたが, 今後は,「活用」しながら「習得」する授業場面も求められるだろう。(2)「社会的な見方・考え方」を働かせた 思考力・判断力・表現力等の育成 学習指導要領の改訂に当たって,中央教育審議会の社会科関連部会では,これまで学習指導要領上,曖昧になっていた言葉の定義が進められた。「思考力」「判断力」「表現力」もそうだが,従前社会科教育で重視された「社会的な見方・考え方」についても同様である。今回の改訂では,「社会的な見方・考え方」を前面に押し出し,資質・能力の育成全体に関わるものとして整理された。そして,以下のように定義された。 公民的分野で学ぶ「見方・考え方」を「現代社会の見方・考え方」として整理し,「社会的事象を,政治,法,経済などに関わる多様な視点(概念や理論など)に着目して捉え,よりよい社会の構築に向けて,課題解決のための選択・判断に資する概念や理論などと関連付け」て働かせる際の「視点や方法」としてまとめている。つまり,「社会的事象を捉える視点や方法」といった側面と,「よりよい社会の構築に向けて課題の解決のために選択・判断するための視点や方法」の側面があり,この両側面を活用するためには,公民的分野において,概念や理論などを関連づける必要がある,ということだ。これまで公民的分野では,「現代社会の見方や考え方の基礎」「政治や経済についての見方や考え方」を取り上げていた。それらは,社会を捉え,1はじめにー中学校社会科公民的分野は何がどう変わったのか?2 重要ポイント12 社会科NAVI 2017 v ol.16