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概要

社会科NAVI Vol.16

橋本 康弘(はしもと やすひろ)専門分野/社会科教育学,公民教育,法教育主要著書/いずれも編著『中学公民 生徒が夢中になる! アクティブ・ラーニング&導入ネタ80』(明治図書, 2016 年),『教室が白熱する”身近な問題の法学習”15 選』(明治図書,2009年)『中学社会をよりよく理解する。』(日本文教出版, 2008 年)他多数● 前述のような重要ポイントを踏まえ,また,社会的要請を踏まえ,公民的分野では,主権者教育や防災教育に関して改善・充実を図ることになった。そのことを踏まえると,以下のような内容が充実されると推測できる。(1)主権者教育の改善・充実 学習指導要領自体は,そう大きく変わっていないが,主権者教育の重要性を鑑み,政治に参加する自覚を高める教育が一層求められるだろう。(2)防災教育の改善・充実 「情報化」について,「災害時における防災情報の発信・活用」の項目が付け加わった(大項目A(1))。ここで「防災教育」と公民的分野を関連付けることになるだろう。(3)その他 「個人や企業の経済的活動における役割と責任」「起業」「労働保護立法」(以上,大項目B(1))「少子高齢社会における社会保障の充実・安定化」(大項目B(2))「国際連合における持続可能な開発のための取組」(大項目D(1))など。 前述のような重要ポイントを踏まえ,公民的分野では,「現代社会の見方・考え方」の学習を充実させるべく,全体構成は、次のような図のように変更された。 前回の改訂では,「現代社会の見方や考え方の基礎」として,「対立と合意,効率と公正」などが大項目(1)で習得された後で,(2)以降で活用することとしていた。今回の改訂では,「対立と合意,効率と公正」が「現代社会を捉える枠組み」として位置づけられ,大項目(2)以降の学習でこれらを「働かせる」学習を想定している(前回の改訂と同様)。また,今回の改訂では,各内容項目毎の「見方・考え方」として「分業と交換,希少性」など(経済),「個人の尊重と法の支配,民主主義」など(政治),「協調,持続可能性」など(国際)を位置づけ,「見方・考え方」の学習を充実させた。読み解くときの概念的枠組みとして整理できるものであったが,今回の改訂では,先述したように,「使う」ことを重視しており,公民的分野では,課題の解決のために「使う道具」としての位置づけが一層明確になった。(3)主権者教育を中心にした社会参画意識の  醸成 公職選挙法の改正に伴い,選挙権年齢が満20歳から満18歳に引き下げられた。このことから,より一層主体的に政治に参画していく自覚を深める教育が求められている。公民的分野はその「中心」を占める分野として一層その充実が求められる。 これまでも重視されてきた概念や理論が「特出し」され,「見方・考え方」の一部を構成することになったことで、それらの学習を丁寧に行う必要が出ている他,「起業」など,新しい内容が加わっている。「主体的で対話的な深い学び」も重要だ。ただし,従前通り,100 時間で授業を行わなければならない。カリキュラムベースでメリハリを付けた教育を行いたい。4 変更点:大項目毎の内容構成から3 変更点:全体構成の視点から5 おわりに新学習指導要領における公民的分野の全体構造習得・活用探究私たちと現代社会A D(2)よりよい社会を目指して私たちと経済B分業と交換,希少性など個人の尊重と法の支配,民主主義などC私たちと政治私たちと国際社会の諸課題D協調,持続可能性など(1)世界平和と人類の福祉の増大現代社会を捉える枠組み:対立と合意,効率と公正など地理的分野筆者作成歴史的分野社会科NAVI 2017 v ol.16 13