ブックタイトル社会科NAVI Vol.16
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社会科NAVI Vol.16
農地還元するには課題が多く,処理しきれない地域が多く見受けられる。過剰な家畜排せつ物は悪臭や窒素過多による水質汚濁を引き起こす。家畜排せつ物およびその堆肥の新たな利用法が必要とされている。 そこで私が目をつけたのが,その家畜排せつ物の堆肥だ。 上記の背景,そして木質ペレット製造の経験から,弊社では家畜排せつ物の減容化とエネルギー利用を目指し,2008(平成20)年,帯広畜産大学と共同で堆肥を燃料ペレット化した「バイオ・エコ・ペレット」の研究開発,製品化に成功した。しかし,一般的な木質ペレットに比べて,成型が難しいこと,燃焼時に煙と灰が多いこと,当時原油価格が再び安定したことなどにより販売の中止を余儀なくされた。 この経験をふまえ,堆肥を燃料としたエネルギー利用のシステムを構想。2014(平成26)年, 日本初の「牛糞堆肥バイオマスの直接燃焼型システム」の実証プラントを立ち上げた。システム燃料の原料は家畜排せつ物である肉牛糞堆肥である。水分を30%程度に調整した乾燥堆肥を燃料としている。ばらつきはあるが,堆肥はおよそ3,600kcal/kg と木質に劣らない発熱量を達成している。燃焼後の残さとしては燃焼灰(堆肥化前処理量の5.7%まで減量)が得られ,それらは基本的に肥料として利用可能である。 現在,家畜排せつ物のエネルギー利用ではメタン発酵が主流で 近年の異常気象の影響により,50 年100 年に一度の大災害が毎年のように各地で発生している。地球温暖化が叫ばれて10 年ほどが経つであろうか。環境学者らは人口の異常な増加と化石燃料の大量消費を懸念している。地球の人口はこの100年でなんと約4 倍に増加,それに伴う化石燃料の消費はおよそ10 倍にもなった。そして,産業の発展・生活水準の向上と,環境負荷の増加は切り離せない関係にあり,有限である化石燃料の代替エネルギーが現在も注目されている。 弊社グループ会社では牛の凍結精液を輸入し,全国各地の畜産農家へ販売をしている。その関係から,家畜排せつ物の処理が切実な問題となっていると耳にする。本来,堆肥は畑の肥料になる大切な資源だ。しかし,現在日本では,畜産業の発展に伴い局所的に大量発生する家畜排せつ物堆肥を全てエネルギーの地産地消への挑戦●日本家畜貿易株式会社 取締役会長 小森 唯永未利用資源としての家畜排せつ物堆肥牛糞堆肥バイオマスの直接燃焼型システム北海道帯広市発信地域からの●人口 169,389 人●面積 619km2 ( 平成27年現在)▲ 家畜排せつ物によるエネルギー化のしくみ1 投入サイロ2 トロンメル乾燥機3 乾燥燃料搬入ライン4 燃料貯蔵サイロ5 燃焼炉6 蒸気ボイラーマルチサイクロン受変電設備自動灰出装置スチームヘッダー排気棟スクリュ式小型蒸気発電機ロータリーブロア発電機クッションタンク給水セット制御盤22 社会科NAVI 2017 v ol.16