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概要

社会科NAVI Vol.16

 平成29 年3 月末に,次期学習指導要領が告示された。 この新しい学習指導要領と現行とを比較してみると,“ 見た目がガラリと変わった” というのが,最初の印象ではないだろうか。 その一方で,目標や内容,指導計画の作成と内容の取扱いなどに登場するキーワードに着目して熟読してみると,例えば,「学習の問題を追究・解決する活動を通して」や「よりよい社会を考え主体的に問題解決しようとする態度を養う」「学習の問題を追究・解決する活動の充実を図る」「言語活動に関わる学習を一層重視する」など,現行の社会科の学習指導要領が目指してきた方向と同じ意味合いの記述が数多く見られる。 この度の改訂は,果たして見た目の印象通りの大改訂なのか。それとも,現行の学習指導要領を踏襲した部分改訂なのか。 その結論を先に述べると,現行の学習指導要領が目指す方向性を踏襲しながらも,「資質・能力の育成」という新時代の理念を盛り込んだかなりの大改訂であると言えるのではないだろうか。 以下,そう結論付けた根拠を示しながら,新学習指導要領の改訂のポイントについて具体的に述べていきたい。 新学習指導要領では,目標及び内容の示し方が大きく改められた。どちらも『資質・能力』を前●國學院大學教授 安野 功新学習指導要領の改訂のポイント小学校社会科編面に打ち出す大幅な改訂である。以下,その詳細を述べる。●目標の示し方はどう変わったのか 新学習指導要領では,社会科の教科目標,各学年の目標,そのどちらについても次の3つの具体目標が明示されている。 その1つが「知識・技能」,2つが「思考力,判断力,表現力等」,いま1つが「学びに向かう力,人間性等」に関わる目標である。 ところで,この度の改訂で,なぜ,目標の示し方が大きく改められたのか。その理由は,初等中等教育が一体となって子どもを育てるという理念の下に,小・中・高等学校の接続・発展(縦軸)と各教科等の相互関係(横軸)という2つの観点から教科目標や学年目標を整理し直したからである。その結果,教科目標及び各学年の目標の示し方が,学校教育法30 条2 項に示された学力の三要素に基づく3つの資質・能力(「知識,技能」,「思考力,判断力,表現力等」「学びに向かう力,人間性等」)を受ける形へと大きく改められたのである。●内容の示し方はどう変わったのか 内容についても,目標の場合と同じ趣旨で,その示し方が,以下の通り大きく改められている。[A]について,次のことを[B]して調べ,[C]を考えるようにする。 ア [D] イ [D] ※ A=学習のテーマ   B=学習の仕方   C=考えさせること   D=調べる具体的な対象【現行】12大改訂! ・・・それとも?『資質・能力』を前面に打ち出す新しい目標・内容の示し方4 社会科NAVI 2017 v ol.16