ブックタイトル社会科NAVI Vol.16
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社会科NAVI Vol.16
例えば,新学習指導要領の第4学年の内容(3)「自然災害から人々を守る活動」では,その思考力,判断力,表現力等に関する内容として,「過去に発生した地域の自然災害,関係機関の協力などに着目して,災害から人々を守る活動を捉え,その働きを考え,表現すること」としている。 この学習を展開する際,「自分たちの住む県では,いつごろ,どこで,どのような自然災害が起きているのか」「そうした自然災害に対して,だれが,どのような対策を行ってきたのか」という問いを立て,聞き取り調査したり資料で調べたりする。この前者が,位置や空間的な広がり,時期や時間の経過に着目して社会的事象を捉えることであり,後者が,事象や人々の相互関係などに着目して捉えることである。 こうした学習は,従前から行われていたものであるが,その視点が学習指導要領に具体的に示されたところに,この度の改訂の大きな特色があると言える。この「社会的事象の見方・考え方」を,どのような「問い」と「資料」で具現化するのかが,これからの社会科授業づくりの鍵となるのである。 新学習指導要領では,内容ごとに社会的事象等を見たり考えたりする際の視点や方法が示されていることについて既に述べた。 実は,このことが,この度の改訂の大きな目玉の1つとなっている。 すなわち,問題解決的な学習のプロセスにおいて,社会的な見方・考え方を働かせ,課題を追究・解決する。その活動を通して,3つの資質・能力(「知識,技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」)を育成する。これがこの度の社会科改善の鍵を握っているのである。 この「社会的な見方・考え方」については,小・中・高等学校社会系教科を包含した際に使われている用語である。その意味は,課題(小学校では「問題」)を追究したり解決したりする活動において,社会的事象等の意味や意義,特色や相互の関連を考察したり,社会に見られる課題を把握して,その解決に向けて構想したりする際の視点や方法であると説明されている。 小学校の学習指導要領では,同じ文脈でこの言葉を用いる際,「社会的事象の見方・考え方」という固有の表現が使われており,次の意味が付与されている。社会的事象を,位置や空間的な広がり,時期や時間の経過,事象や人々の相互関係などに着目して捉え,比較・分類したり総合したり,地域の人々や国民の生活と関連付けたりすること 新学習指導要領では,生産の仕事と販売の仕事について,問題の追究・解決のプロセスを次の2つに書き分けて示している。●「 生産」:仕事の種類や産地の分布,仕事の工程 などに着目して調べ,そこで捉えた事実(情報) をもとに地域の人々の生活との関連を考え,表 現する●「 販売」:消費者の願い,販売の工夫,他地域や 外国との関わりなどに着目して調べ,そこで捉 えた事実(情報)をもとに,それらの仕事に見 られる工夫を考え,表現する さらに,そうした問題の追究・解決の結果として求める理解についても前頁の波線部( )の通り,生産と販売を書き分けている。 このように,新学習指導要領では,学習のテーマ(例えば,地域に見られる販売の仕事)に関わる学習問題を追究・解決する過程において,社会的事象等を見たり考えたりする際の視点や方法(何に着目して調べ,どのように考えるのか)と,その帰結として求めるゴールの姿(理解内容)が明示されているところに,大きな特徴がある。3 社会的事象の見方・考え方とは6 社会科NAVI 2017 v ol.16