ブックタイトル社会科NAVI Vol.16
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社会科NAVI Vol.16
安野 功(やすの いさお)専門分野/教科教育学(社会)・教育方法学主要著書/「社会科の新しい使命」(日本文教出版)など多数小学校教諭を経て2000 年から文部科学省入省。教科調査官として学習指導要領の改訂に携わる。『小学社会』代表監修者。● 本稿で取り上げた新学習指導要領の改善点や特色を踏まえ,これからの授業づくりのポイントについて述べていきたい。●見方・考え方を働かせ,主体的・対話的で 深い学びの実現を図ること 新学習指導要領では,各学校が指導計画を作成する際に,主体的・対話的で深い学びの実現を目指して,問題解決的な学習の充実を図ることを求めている。 そもそも社会科は,“social studies” の日本語訳であり,“ 学習の主体である子どもが自ら問いを見出し,共に学び合う仲間と対話するなどの社会的な関係を通して探究し合う” 教科である。この社会科本来の学び,すなわち子どもたちによる協働の問題解決を大切にすることが,「主体的・対話的な学び」には必要不可欠である。 実際の授業においては,これまでと同様に,子ども一人ひとりが学習の対象に興味・関心や問題意識をもつこと,その上で自ら問いを見出し,予想や学習計画,追究の方法などを考え,吟味し合うことなどの学習を工夫して,問題解決の見通しをもつようにすることが大切である。 また,「深い学び」の実現を目指し,問題追究の過程で,位置や空間的な広がり,時期や時間の経過,事象や人々の相互関係に着目し,捉えた事実(情報)を比較・分類し特色を考えたり,相互の関連,意味などを考えたりするなど,『社会的事象の見方・考え方を働かせて問題を追究・解決する学習』に力を入れる必要がある。 加えて,自らの学びを振り返り,学んだことの意味を問い直したり新たな問いを見出したりして,学習したことを実社会・実生活に生かすようにすることが大切である。 なお,対話的な学びについては,これまでと同様に,問題の追究・解決の過程で子どもたち同士の話合いなどの活動を充実させることが必須である。これに加えて,実社会を支えている人々が協働して社会に見られる課題に立ち向かっている姿を授業で意図的に取り上げそれを調べたり,その人と対話したりする学習にも力を入れていきたい。●社会に見られる課題を把握し, 選択・判断する学習の創造 この度の改訂では,そうした社会科本来の学びに加え,さらに「深い学び」として,社会に見られる課題を把握しその解決に向けて,社会における生活の仕方や行動,今後社会が向かうべき方向性などについて考えたり選択・判断したりする学習(『社会に見られる課題を把握し,選択・判断する学習』)が新たに求められている。よりよい社会の形成者(主権者)に求められる資質・能力を育成するためである。 そうした学習においては,個々の子どもが自ら選択・判断したことを根拠や理由を明確にして論理的に説明したり他者と議論したりするなどの言語活動をこれまで以上に大切にしたい。 なお,新学習指導要領では,選択・判断の学習について,一定程度の歯止めをかける意図で,必ず行うべき内容を限定し,そこで扱う課題や解決の方向性等を明示している。社会科の時数には限りがあるからである。 結びに,本稿では,紙幅の都合で,各学年の内容に関わる改善事項に触れることができなかった。またの機会に譲りたい。4“主体的・対話的で深い学び”の実現を目指す問題解決的な学習の充実社会科NAVI 2017 v ol.16 7