ブックタイトル社会科NAVI Vol.16
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社会科NAVI Vol.16
井田 仁康(いだ よしやす)専門分野/社会科教育学,地理教育主要著書/『社会科教育と地域』(NSK 出版,2005 年),『究極の中学校社会科-地理編-』(編著,日本文教出版,2013 年),『教科教育におけるESD の実践と課題~地理・歴史・公民・社会科~』(編著,古今書院,2017 年)など● 新学習指導要領では,重複する内容を減らすことで,時間数が削減されても量,質をおとさない項目立てとなっている。大項目として「世界と日本の地域構成」「世界の様々な地域」「日本の様々な地域」があげられている。「世界と日本の地域構成」をひとつにまとめて,地理的分野のはじめに日本,世界を大観し,基礎的な知識・技能を学ぶ。「世界の様々な地域」では,世界各地の人々の生活と環境を学び,世界に関して学ぼうとする意欲を高めさせる。さらには,主題的(追究すべき学習課題)に世界を州に分けて学習し,学習課題の解決を図る。 「日本の様々な地域」では,まず地域調査が位置づき,地域調査をすることで地域の理解,課題の発見などがなされ,それが日本全体ではどうなのか,日本の諸地域ではどのように課題が認識され,他の事象と関わってどのような影響があり,どのように解決が図られようとしているのかといった一連の学習内容が組めるような配列となっている。ただし,地域調査は,学校の状況などにあわせて,カリキュラムのどこに置くかは,裁量に任されているので, 今後の課題としては,小学校から高等学校まで社会科,社会科地理的分野,高等学校地理総合で,ESD,防災が扱われる。小学校から高等学校まで共通して扱われる学習では,それぞれの校種で,どのようにスキルアップしていくのかを現場でも配慮しないと,子どもたちはあきてくる。表1でスキルアップのモデルを示したが,中学校の先生は,小学校の学習内容と高校の学習内容もある程度理解して,中学校の学習を考えていくことになろう。のある範囲)(時間的に自然,経済,文化などにより,その範囲は変化する)である。地理的な見方・考え方は,換言すれば,どのような面からみれば,地理としての考察ができるかといった,いわば観点である。つまり,このような観点で学習内容を分析することにより,地理的な思考が育成でき,社会的事象を見る場合の多面的,多角的な観点に貢献できるということになる。なお,欧米や一部のアジア諸国では,思考力が重視され,思考するにあたってのふさわしい学習内容という観点から学習内容が規定される。そうしたことも踏まえ,グローバルな考察,国際的な思考を養うためにも,思考力と知識・技能を関連させて学習することが,将来の国際的社会を築く子どもに必要な資質となるであろう。なお,地理的な見方・考え方と新学習指導要領の項目との関係を図1 のように示す。地域調査の位置づけを変えることは可能である。 なお,中項目である「日本の地域的特色と地域区分」では,系統地理的な見方を育成するとともに,次の中項目である「日本の諸地域」の中核となる事象を学習し,「日本の諸地域」のいわゆる動態地誌的学習の導入ともなっている。また,自然環境の項目では,防災を強く意識した内容となっている。「日本の諸地域」は,地誌学習の基礎と位置づけることができる。さらに,「地域の在り方」が項目として新設され,日本の諸地域を学習した成果から,ESD の概念をとおして,将来の持続可能な社会へと目を向けさせ,現代社会の理解にとどまらない,学習の成果を踏まえた将来の社会を構想する力を育成しようとする。▲ 表1 校種ごとのESDと防災の学習内容のモデル地理,歴史,公民の内容を踏まえ,さらに地域調査などで多角的,多面的に現実をみすえた社会づくり地誌,系統地理を踏まえた現実的な社会づくり夢物語的な社会世界各地の災害を踏まえての防災地図の読み取り,様々な条件を考慮した防災地図の作成日本各地の災害を踏まえての防災地図の読み取り,作成身近な地域での防災に対しての自覚校種小学校中学校高校ESD防災34学習内容の整理とESD,防災の重視今後の課題社会科NAVI 2017 v ol.16 9