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概要

社会科NAVI Vol.17

 油津商店街の再生は,まちに移住したまちづくりの専門人材を核として,住民とのコミュニケーションを繰り返すことにより信頼感の上に成り立った「市民主役」の物語である。やがてそれは,全国的にも注目される取り組みとなっていった。 かつてマグロ漁や林業(飫お肥び杉すぎ)で栄えた港町,宮崎県日南市の油津。中心商店街はいわゆるシャッター街と化していた。市はこれを何とか打開するために「4年で20 店舗誘致」,「月額90 万円の事業費」で人材を全国公募し 空き店舗につくられたフリースペース「Yotten(よってん)」に高校生から70 代まで多世代の市民が集い,商店街を応援する有志のチームが結成された。アーケードでのスポーツ観戦,親子で参加できる運動会や約50 mのロングレーンでのボウリング大会などいろいろなアイデアが生まれた。「商店街で若い人たちが面白いことをやっている」という空気は,日を増すごとに様々な市民の興味を集めていった。 商店街の入り口にあった名店「喫茶店・麦むぎ藁わら帽子」。なんとこれを「ABURATSU COFFEE」として再生。以前と変わらぬ空間を懐かしむ年配層,パンケーキとラテとともにおしゃべりを楽しむ若者 こういった動きと並行して,市民有志が集まり,商店街を自走させるための組織「株式会社油津応援団」が結成される。「行政からの支援に頼り続けず,民間の発想にシフトしていくこと」を重視した会社の設立は,サポマネの動きを支え,持続的に商店街をマネジメントしていく体制へと進化を遂げたのである。再生へのプロローグまずは空気感を変える思い出を大切にしたカフェ油津応援団の結成!●元テナントミックスサポートマネージャー 株式会社油津応援団 専務取締役 木藤 亮太▲ 現在の油津商店街▲ 有志チーム“KITOTICKET”の話し合い▲ ABURATSU COFFEEたった4年でシャッター商店街が再生!? ~日南市油あぶら津つ商店街の取り組み~た。応募者333 人。その中から「テナントミックスサポートマネージャー(通称サポマネ)」として筆者が選ばれたのだ。掲げたテーマは「自走できる商店街づくり」。商店街が持続的に歩んでいける状況をつくることを重視してきた。でいつも賑わいを見せている。まちのヒストリーを大切にし,それを現代的解釈で新しい世代に伝える。このカフェの再生は市民の共感を集め,商店街再生が本格的に動き出すきっかけ,そしてシンボルとなった。 その後,空き地にコンテナのお店を並べた「アブラツガーデン」,スーパーマーケット跡の建物を改修した「屋台村(あぶらつ食堂)や交流スペース(油津Yotten)」が次々とオープン。出店はほとんどが30 代の地元出身者,若い顔ぶれが商店街に加わっていったのだ。宮﨑県日南市発信地域からの●人口 54,090 人●面積 536km2 ( 平成27年現在)16 社会科NAVI 2017 v ol.17