ブックタイトル社会科NAVI Vol.17
- ページ
- 5/20
このページは 社会科NAVI Vol.17 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 社会科NAVI Vol.17 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
社会科NAVI Vol.17
藤井 千春(ふじい ちはる)専門分野/教育学,教育思想主要著書/『問題解決学習の授業原理』『アクティブ・ラーニング授業実践の原理』(明治図書),『校長の哲学』(学事出版)日本文教出版『小学社会』『わたしとせいかつ』教科書著者● カリキュラム・マネジメントには,学習指導と生活指導との統一という視点が求められる。 「主体的・対話的で深い学び」を通して育成する「新しい時代に必要となる資質・能力」とは,端的に言えば,自ら課題を設定してその達成に向けて他者と協同して取り組むことを通じて,自らを引いては社会を高めていくことのできる資質・能力である。そのような子どもの生き方なのである。そのような資質・能力は,小手先の方法や学校生活全体から切り離された特段に設定された活動で育成することはできない。 カリキュラム・マネジメントにおいて,中心となる柱をしっかりと設定すること,そして,そこで育成された資質・能力が学校生活全体で活用できるように関連付けることが重要である。 カリキュラム・マネジメントとして,何がポイントとなるのか。 第一に,「主体的・対話的で深い学び」を重点的に行い,先に示したような資質・能力が育つための中心となる柱を設定することである。 中心となる柱は,生活科や総合的な学習でもよい。もちろんそれぞれの学校で研究として取り組む教科でもよい。それぞれの教師ごとに研究教科を決めてもよい。社会科はそのような柱としやすい教科である。 重要なことは,その柱となる中心的な教科や時間で「主体的・対話的で深い学び」を積み重ね,そこで育った学び方が他の教科や時間に波及するように図ることである。つまり,中心となる時間や教科での学習活動の経験で育てられた資質・能力が,他の教科や時間との間で「内容」的,活動的に関連して活かされていくようにカリキュラムを構成することである。 ただし,中心となる柱を教科に置く場合,単元間で軽重を付けることが必要となる。「主体的・対話的で深い学び」を子どもたちに重点的に経験させる単元では,総合的な学習と合科にしてもよい。重点を置く単元では,子どもたちの資質・能力がしっかりと育成されるように時間をかけるのである。それにふさわしい教材が開発され,活動が設定されなければならない。そして,他の単元では子どもたちに育成された資質・能力をどのように発揮(活用)させ,どのように効率的に学習活動を進めさせるのかを計画するのである。 第二に,「子どもたちを育てる」ことについて,子どもたちの学校生活全体の在り方から配慮がなされていなければならない。 子どもたちが,自分たちで問題を見つけて考え 「主体的・対話的で深い学び」を通じて,探究する資質・能力,コミュニケーション(協同に参加・貢献する)資質・能力,自己教育し続ける資質・能力の育成を目指すのである。判断して行動すること,仲間と互恵的にかかわり合って相互に対する肯定的な感情が高められることなどが,各教科や時間の学習活動のあらゆる場面で設定され,保障されていなければならない。第一の点との関連でいえば,中心となる柱で育成された資質・能力を子どもたちが実際に発揮(活用)して行動できるような学校生活となっていなければならない。 子どもたちの資質・能力を育成するとは,子どもたちの生活の仕方(生き方)を構築させていくことである。子どもたちに授業(学習)と生活とを別々の活動と見なさせてはいけない。そのような二元的な構え方に支配されていては,子どもたちにとっていつまでも「授業は授業(虚構の世界)」にすぎないものとなる。子どもたちの生活の仕方を育てるという視野においてカリキュラムは編成されなければならない。43子どもの生き方を育成するカリキュラムカリキュラム・マネジメントのポイント社会科NAVI 2017 v ol.17 5