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概要

社会科NAVI Vol.17

vol.1わたしの社会貢献図を使う。特に明治末期の正式2万分の1は,地域描写にすぐれている。なければ5万分の1や,明治期に刊行された市販の都市図などを用いる場合もある。図2は2万分の1であるが,校区を囲うことにより,何にもなかったんだ,とか大きな集落だったんだ,と百十年前の状況を地図から読み取る。当時の写真(図3)などを見せると,納得度は高まる。伝えたいことは,江戸期の「藩政村」=制度上の「村」の名が,地域名の基礎であることである。城下町内の町丁については異なる説明が必要であるが省略する。そして小学校のある場所の江戸時代の地名,明治時代の地名を書き(できれば小字まで),地名の構成を確認する。 校章,校歌で①に触れることができればそこを導入とするが,そうでない場合の定番は,校名の由来から始めることになる。次に子どもたちに住所地名をあげてもらいながら,じゃあ,江戸時代はどうだったのかな,という観点を提示する。その際に一番使いやすいのが図1の江戸期の国絵図となる。校区の範囲を示しながら,〇〇村だったんだ,ということを確認する。その次に明治の地 今日,研究者の成果は専門家のものだけではなく,広く公開・啓発が求められる時代になっています。本シリーズは「わたしの社会貢献」と題して,一線で活躍されている研究者の先生方が,学校や企業をはじめ,地域社会に研究成果を還元している具体的な取り組みについてご紹介します。 大学の地域・社会貢献を担う本学地域連携センターの事業として,小学校への「出前授業」に関わっている。「社会科NAVI」15 号で簡単に取り上げたが,今回は少々詳しく紹介してみたい。小学生に対する地域学習として,こうして今の状況になった,という変化の要因に注目させることで,なぜという発想が生まれ,地理的現象の学習が促進されるのではないかと期待している。こうした地域学習の試みを紹介したい。 地域の形成の歴史・地理を,地名とその範囲を知ることを目標として,4つの視点から授業を進めている。①地名にはいろいろな意味や記憶がつまっている,②広く地域で存在するものが,校区内にも存在する,③広く社会で起こった出来事が校区内でも起こった,④広く社会ではなかなか見られないが,校区内では見られた,の4点である。●大阪市立大学教授 水内 俊雄歴史・地理的地域学習の試み地名の由来と村の存在を知る図1図26 社会科NAVI 2017 v ol.17