ブックタイトル社会科NAVI Vol.17
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社会科NAVI Vol.17
水内 俊雄(みずうち としお)専門分野/人文地理学主要著書/『空間の社会地理』(編著,朝倉書店,2004 年),『モダン都市の系譜』(共著,ナカニシヤ出版,2008 年),『都市大阪の磁場』(編著,大阪公立大学共同出版会,2015 年),『都市の包容力』(編著,法律文化社,2017 年)日本文教出版『中学社会』教科書監修者● このテーマは上述の②,③にあたるが,教える重要性は,地域の空間的構成としての必須のパーツを伝えたいことにあり,小学校と神社を必ず用いる。神社については,初詣ではどこに行く?,地元の祭りはどこの祭り?というところから導いてゆく。場合によっては,お参りするお墓はどこにある?おうちに仏壇はあるかな?という聞き方になる。神社は産土神であり,1889 年の市町村制施行以後に,藩政村≒氏子域を合併してできた「明治行政村」という,江戸期よりは拡大された地理的ユニットの村の成立を伝えることになる。図4で説明するが,この範域が創設時の小学校区になるという,藩政村<明治行政村という,基本的地域の拡大をここでは知ってもらいたい。またこ 大阪市南部で教える場合,ナショナルな存在として住吉大社,熊野古道,紀州街道などがあり,また大和川の付け替え,狭山池の水利,2 度の室戸台風といった甚大な災害,特異なものとしては日露戦争の俘虜収容所があったことなどを,地域で知っておくべき存在,出来事として伝える,という導き方をしている。鉄道についても,場合によっては私鉄による地域の開発の力を教え,都市計画でも先進的な取り組みなどはここで強調することになる。 地理の地域学習といっても,私の場合は,歴史と地理が融合しており,なかなか初等教育の地理として根付かせるのは困難かもしれない。ただミクロな地域史やマクロな出来事なども伝えていくことは,子どもたちにとっては,地域の系譜を正確に理解することになり,地域のプライドの醸成にもつながる。時間軸を意識した動態地誌は,アンケートから見る限り,子どもたちの反応はよいし,教員からも研修に入れてほしいという要望をいただく。しばらくは地域学習の模索を続けてみたい。の範域で人口増加の激しいところでは小学校が増えてゆき,また少ないところでは統合されていくあたりを教えて,その土地土地の発展の系譜の特徴を知ってもらうことになる。(出典)図1. 元禄摂津国絵図(1702 年刊,国立公文書館デジタルアーカイブより)図2. 正式2万分の1地形図「大阪西南部」(1909 年,大日本帝国陸地測量部)図3. 木津川より津守新田方面を望む。明治30 年代後半撮影(西成情報アー カイブ所蔵)どこにでもあるもの・出来事は,ここにもあり,また起こるここにしかない,ここにしか起こらなかったこと歴史・地理を教える図3図4社会科NAVI 2017 v ol.17 7