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概要

社会科NAVI Vol.17

授業力アップをめざす先生のための小学校編●國學院大學教授 安野 功教科書を●教える? それとも教科書で●教える?~本当の教科書活用法 その3 ~ 今回は,教科書を最大限に活用した1時間の授業の組み立て方がテーマです。これは,前号ですでに述べた教科書分析のオ(導入で本時の「?」を引き出す資料,山場の話し合いで使う資料をどれにするかを考え,提示の仕方,発問などを考える)の詳しい解説になります。ポイントは二つあります。 一つ目は,本時の目標を実現する上で欠かすことのできない「中心資料は何か」をチェックすることです。 具体的には,本文記述とそれを裏づける資料をもとに本時の目標設定と中心資料の洗い出しを行います。  下の事例では,本文記述「日本では,毎年のように自然災害がおきている」「日本ではいろいろな自然災害がおこっている」とそれを裏づける資料?及び教科書P.100~101の綴じ込み資料「日本の自然災害」をチェックします。これらを中心資料として活用し,気になることを話し合わせるなど授業の山場をつくり,国土の自然災害に対する問題意識を高めていくのです。 二つ目は,中心資料へと子どもの意識を導いていく「魅力あふれる導入」を工夫することです。 具体的には,教科書のど・の・資料をど・の・よ・う・に・活用して本時の「?」を引き出すのかを考え,提示の仕方や発問などを工夫していきます。 下の事例では,まず,資料?の災害年表へと子どもの意識を導くために,年表中の災害,例えば,東日本大震災の写真を提示します。次に,「それが,いつ,どこでおきたのか」を確認し,被害の様子を読み取っていきます。さらに,キーワードコーナー「自然災害」の意味をおさえ,「2011年より前や後にも」「東日本以外の場所でも」「地震や津波以外の」自然災害がおきているのかと問い,「おきているはずだ」といった反応を引き出し,「日本では,どんな自然災害がおこっているのだろう」という本時の「?」を見いだしていくのです。 なお,資料を組み込んだ板書の作成については,次号で詳しく紹介します。写真提供:朝日新聞社,共同通信社,時事通信フォト, 読売新聞社101 100地震による被害(1995年,兵庫県神戸市) 3 地震による液状化の被害(2011年,千葉県浦安市) 4竜巻による被害(2012年,茨城県つくば市)5 大雪による被害(2006年,長野県飯山市)6大雨による土石流の被害(2013年,東京都大島町)  土石流とは,長雨や集中してふる雨などで,たくさんの山の土や砂が水とまじって流れ出すことをいい,山津波ともいわれています。1高潮による被害(2004年,香川県高松市) 2津波による被害(2011年,宮城県南三陸町) 7 火山の噴火によってうまった神社の鳥居(2000年,東京都三宅村)8341 25678日本の自然災害とうきょうどせきりゅうたかしおかがわつなみふんかとり いとうきょうみやけたつまきいばらきながのいいやまみやぎみなみさんりくたかまつおおしますなやま つ なみえきじょうち ばうらやすひょうごじしんひがいこうべさいがい「中心資料は何か」をチェックし,それを活用する山場へと導く「魅力あふれる導入」を工夫しよう!?8 社会科NAVI 2017 v ol.17