ブックタイトル社会科NAVI Vol.18
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社会科NAVI Vol.18
ワールドシネマみんぱくvol.18 「テレビジョン」●桃山学院大学准教授 南出 和余バ「正しいムスリム」の選択ングラデシュ東部ノアカリ県の農村でリーダー(マタボール)を務める敬虔なムスリムの主人公は,村にテレビが入ってくることを断固として阻止していた。電話も必要最低限のみ,海外渡航に必要なビザの取得も認められていなかった。バングラデシュの他の地域では当然のごとく普及しているこれらのものの便利さを知る村人たちは,多少の窮屈さを感じながらも,マタボールに反発できずにいる。息子のスレイマンも,父に内緒で付き合っている彼女から携帯電話を持つことを迫られても,父には反抗できない。 ある日,村に住むヒンドゥー教徒の家庭教師クマールがテレビを買って帰ってきた。イスラームの教えに反することを理由に禁じているテレビをヒンドゥー教徒のクマールに禁止することはできない。家の中で他2012 年 バングラデシュ映画 106 分監督/モスタファ・サロワル・ファルキの村人たちには見せないことを条件に,認めざるを得なかった。しかしその日から,村の子どもたちが挙ってクマールの家に「勉強を教わりに」集まるのであった。こうしたマタボールと村人たちの交渉が滑稽に繰り広げられるなか,メッカ巡礼を盾にビザの取得を許可させようとする商人がやってくる。マタボールは渋々ビザの取得を解禁し,彼自身も悩んだ末にパスポート用写真の撮影に応じる。しかし,巡礼に行くべく村から首都ダッカに出てきた彼を待っていたのは,その意に反して,「テレビの中の巡礼」であった。 テレビ,携帯電話,写真,そして恋愛,生活を便利に潤すこれら「近代の産物」を享受することはイスラームの教えに反するのか?宗教を超えてバングラデシュの人々が価値をおく大切なものは?本作は,現代社会における宗教の在り方を問いつつ,バングラデシュの人々のユーモアと温かさが感じられる「喜劇」である。▲「 テレビジョン」オリジナルポスター? Chabial10 社会科NAVI 2018 v ol.18