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概要

社会科NAVI Vol.18

 2017 年8月。酷暑の中,小学5 年生になった長男光太朗とともに姫路に向かいました。日本の歴史に興味のある息子は,夏休みの自由研究として,姫路城の城下町について調べたいという希望を持っていました。小学4 年生の時には,自分が住んでいる滋賀県にある彦根城について調べ,石垣の様子などをデジタルカメラで撮影し,それらをマップとしてまとめた経験を持っており,今回はその姫路城版を作ろうというわけです。 彦根城の時はお城の紹介が中心でしたので,物足りなさを感じていた息子からアドバイスを求められた私は,新学習指導要領に示されている「見方・考え方」を意識し,「変化や継続」に着目してみることを提案しました。「何が変わっていて,何が昔のまま残っているのか? それはなぜか?」といった問いを意識して調査することになりました。 今回の調査に大変参考になったのが,『中学社会歴史的分野』(pp.114 -115)の「城下町姫路を調べる」です。この頁を参考に,城下町の面影を残している場所と変化している場所とを合わせて回りながら,写真を撮影していきました。 調査のまとめとして,「なぜ昔の面影を残そうとしているのか?」について考察することにしました。現地では「姫ちゃり」というコミュニティサイクルを利用しました。通常のレンタサイクルとは違い,姫路駅を中心に各所に設置されたステーションに乗り捨てられる自転車です。その経験を踏まえ,「なぜ姫ちゃりが整備されているのか?」という問いの下,世界遺産などの歴史的遺構が持っている(に付与されている)「観光資源」としての意味にも気付くことができました。 新学習指導要領においては「見方・考え方を働かせた考察・構想」が求められています。それを実際に経験できた夏の一日でした。見方・考え方を働かせて立命館大学准教授 角田 将士リレーエッセイ角田 将士(かくだ まさし)専門分野/社会認識教育学主要著書/『平成29年告示 新学習指導要領 授業が変わる! 新しい中学社会のポイント』(共著,日本文教出版,2017年),『新社会科教育学ハンドブック』(共著,明治図書,2012年),『戦前日本における歴史教育内容編成に関する史的研究』(単著,風間書房,2010年),日本文教出版『中学社会』教科書著者社会科NAVI 2018 v ol.18 3