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概要

社会科NAVI Vol.18

金田 章裕(きんだ あきひろ)専門分野/人文地理学主要著書/『古地図からみた古代日本』(中公新書,1999 年),『古代・中世遺跡と歴史地理学』(吉川弘文館,2011年),『江戸・明治の古地図からみた町と村』(敬文社,2017 年)日本文教出版『中学社会』教科書著者● 目的はまさしく地域学習であるが,さらには生徒の地元理解への機会の提供と,地域の実態への接近の方法についての経験の提供も目的である。教諭を通じて,これが地理的分野の「身近な地域の調査」などの授業へ反映されることも期待している。 かつての受講経験者が大学生となって再度参加してくれた例があり,効果の一証と思われる。しかし中学生の場合もまた,クラブ活動などで夏休み中でも多忙である。日程調整が難しいことは,参加者数の変動にも反映している。▲ 大ケヤキの由来を学ぶ(平成29 年)中学生各自は,対象について一定の知識を取得することと,目的について理解することが期待される。 見学あるいは調査後は研究所に戻るか,時には現地の学校や集会所などで,レポートを作成し,必要に応じて筆者や研究所員が質問に答える。さらにその趣旨の口頭発表をしてもらい,それについて質問や討議を行う。その上で,筆者が感想や講評などを述べた後,各中学生に修了証を渡すこととしている。 この地域学習講座の一つの特徴は,中学生の講座であれば,中学校の教諭の参加も認めていることであり,参加の経験が授業へ反映されることを期待している。参加者は10 ~15名を期待しているが,年によってばらつきがある。 テーマは,第10 回までが散村の暮らしの状況や,交通手段(通勤・通学・買い物における自家用車・自転車・バス・列車などの利用状況),農家の屋敷内の建物(アズマダチ,マエナガレなどの様式や附属建物)や屋敷林の状況,自家用野菜栽培の状況などを調べることを目的とした。数人の中学生グループ毎に研究所所員が1~2人付き添って,各グループが約20 軒を担当して調査した。 次の4回は,扇状地上の用水の在り方や,扇頂部・庄川右岸地域の状況などを観察し,今年(第15 回)はまず,中心集落である出町の発達や構造について見学した。その後やはりグループごとに空き店舗の状況について1軒ごとに調査を実施した。▲ 山城の城下町を見学(平成28 年)効果と課題社会科NAVI 2018 v ol.18 7