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概要

社会科NAVI Vol.18

授業力アップをめざす先生のための小学校編●國學院大學教授 安野 功教科書を●教える? それとも教科書で●教える?~本当の教科書活用法 その4 ~ 今回は,資料を組み込んだ板書の作成がテーマです。これは,前々号ですでに述べた教科書分析のカの詳しい解説になります。ポイントは三つあります。 一つ目は,社会科における板書の役割をしっかりとおさえておくことです。 板書には,集団の思考を方向づける,整理するなど,“学びの羅針盤”としての役割があります。そのことをふまえ,社会科では,「問題解決の道筋(流れ)を可視化する」ことが大切です。どんな事実から子どもの「問い」が生み出され,どのような見通し(予想)をもって問題の追究へと向かっていったのか,その解決の決め手となった中心資料は何か,その資料から読み取った事実をどのように関連づけたり,意味づけたりして解決へと導いていったのかなど,子どもの思考の流れが見える板書を工夫することが求められるのです。 二つ目は,黒板のゴールの姿をイメージしながら,「板書のレイアウトを工夫する」ことです。 具体的には,①本時の目標に迫る中心資料,②導入の資料とそこから引き出す「?」(学習問題),③「!」(本時の学習問題に対するみんなの考え)を,黒板のど・こ・にど・の・よ・う・に・配置するのかを,①→②→③の順に吟味・検討し,板書のレイアウトを決めていくのです。 三つ目は,「子どものど・ん・な・反応を取り上げ,板書にど・の・よ・う・に・位置付けるのか」を子どもの実態に応じて幅広く予測しておくことです。 社会科の授業では,教師の期待する反応と子どもの実際の反応との間にズレが生じるのは日常茶飯事です。そのことをふまえ,柔軟な対応ができるよう,様々な反応を予測して板書計画を作成する必要があります。 なお,そのズレが生まれやすいのは,授業の山場での中心資料の活用場面です。それをふまえ,下の板書例では,日本の自然災害について,気候と大地の変化に起因するものを上下に分けて提示し,それらが何によって起きるのかを視・覚・的・に・問いかけているのです。写真提供:朝日新聞社,共同通信社,時事通信フォト,読売新聞社「板書のレイアウト」を工夫して「問題解決の道筋を可視化」し,子どもの反応に柔軟に対応しよう!日本では,どんな自然災害がおこっているのだろう。毎年のように自然災害がおきている。いろいろな自然災害がある。日本じゅうで自然災害がおきている。土砂で家がつぶされる大雨で山がくずれる線路がめちゃくちゃたくさんの人ひなん道路が川のよう船で助けられている道路がどろに電柱がたおれる大きな力なぜ,これほど自然災害が日本で多いのか?船も家もめちゃくちゃ日本では,毎年のように台風や地震など,さまざまな自然災害がおきている。いつでも,どこでも,だれでも自然災害にあうことがわかった。さまざまな自然災害 日本でおきる自然災害とは?土砂くずれ地震高潮液状化竜巻津波大雪噴火気 候大地の変化いつでもどこでもだれでも8 社会科NAVI 2018 v ol.18