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概要

社会科NAVI Vol.19

ようこそ!歴史史料の世界へvol.20 縄文時代が始まり縄文土器が作られる約1 万3000 年前から縄文時代が終わる約2200 年前まで,数量や時期・地域的な偏在性はあるものの,粘土で製作された土製人ひと形がたの像を指し「土偶」と呼ぶ考古遺物がある。現在知られているその数は約1 万8000 点から約2万点と言われ,縄文時代を代表する土製品である。 土偶は,江戸時代の17 世紀前半には北海道や東北地域から採集される珍奇な遺物として着目され,文政7(1824)年『耽たん奇き漫まん録ろく』には,津軽亀ヶ岡から掘り出された土製人形を「土偶人」と呼称し珍品として取り上げている。これらの遺物は愛玩の対象となって蒐集されたりしていた。 明治期に入り考古学的研究が盛んになると,この遺物も研究の対象となり,明治19(1886)年,白井光太郎「貝塚より出でし土偶」(『人類學會報告第2號』)に「土偶」の名称が見え,その用途を中心とした様々な論争が繰り広げられた。土偶の持つ奇異な造形から,玩具説・神像説・護符説・安産祈願説・女性像を模する点から地母神信仰の対象説などがその主流で,これらの考え方は後の土偶研究にも大きな影響を与えている。また,縄文土偶の話し●茅野市尖石縄文考古館長 守矢 昌文土偶とは何者か▲ ①土偶「縄文のビーナス)」の出土状態(茅野市尖石縄文考古館提供)▲ ②土偶「縄文のビーナス」 ( 茅野市所蔵・茅野市縄文考古館保管)国宝 【実物大】12 社会科NAVI 2018 v ol.19