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概要

社会科NAVI Vol.19

教師が「教材研究の手引書」として,子どもが「学びのガイドブック」として教科書を活用しよう!授業力アップをめざす先生のための小学校編●國學院大學教授 安野 功教科書を●教える? それとも教科書で●教える?~本当の教科書活用法 その5 ~ 今回は,中学年の地域学習における教科書活用術がテーマです。 中学年の教科書は子どもの生活舞台とかけ離れたよそのまちの「もの・人・こと」が事例となっています。だから使いづらい。そんな声をしばしば耳にします。 そこで今回は,教師と子どもが教科書を使いこなす具体的なアイディアを二つ紹介します。 一つ目は,教師が授業プランを考える際に有効な「教材研究の手引書」として活用する方法です。 副読本は子どもに身近な地域の話題や学習素材が満載されています。料理にたとえると,地元でとれた“旬な食材の宝庫”。それが副読本の強みです。いっぽう,教科書には,“今,求められている授業の姿,期待する子どもの学びの姿”が描かれています。それは問題解決的な学習です。その手引書として教科書を活用し,調理の手順(問題 解決の流れ)を決め,副読本から最適な食材(事例や学習素材)を選び出し,料理のプラン(授業プラン)を練り上げていくのです。 ここでの具体的なポイントは,大きく五つあります。?子どもに気づかせたい素・朴・な・問・い・(?)に着目す る。?問い(?)の追究・解決に向け,ど・ん・な・活・動・へど・の・ よ・う・に・子どもを導いていくのかを考える。?上記①,②を通して引き出す深・ま・っ・た・問・い・(学習問 題)とそれを追究・解決していくための見・通・し・(問 題に対する予想や追究の計画)に着目する。?学習問題の追究・解決を図る見・学・・調・査・や・表・現・な・ど・ の・活・動・とそれぞれの具体的な進・め・方・に着目する。?学習のふ・り・か・え・り・の・活・動・に着目する。 二つ目は,子どもが自ら主体的に問題を追究・解決していくうえで効果を発揮する「学びのガイドブック」として活用する方法です。 社会科では子どもが自分の体と頭をフル回転させ,仲間とともに問題を追究・解決していく協働思考を伴う問題解決を大切にしていきます。問題を発見する力,調べる力(技能),考え・表現する力などを育てるためです。これらの力は教師の発問や指示だけで展開する教師主導の学習では育てることができないのです。 それでは,子どもが自力で問題を追究・解決できるように支援していくにはどうすればよいのでしょうか。  ここで威力を発揮するのが教科書です。教科書には資料や本文記述に加え,さまざまなコーナーが設けられています。例えば,日文『小学社会』では「学び方・調べ方コーナー」,「考えるヒント」などを特設しています。これらは子どもたちの主体的な問題解決を支援する意図で工夫したものです。特に「学び方・調べ方コーナー」では「見る・調べる」「読み取る」「表現する」など見学・調査の方法や資料の特徴に応じた読み取り方,多彩な表現方法などを例示しています。これらのコーナーを子どもが「学びのガイドブック」として使いこなす,学び方の教材としての教科書活用をお薦めします。8 社会科NAVI 2018 v ol.19