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概要

社会科NAVI Vol.19

●NIEを社会科で NIE(教育に新聞を!)の取り組みが各地で進められています。総合的な学習の時間や国語科などで取り組まれていますが,社会科こそ,新聞の活用が有効な教科です。なぜなら,社会科はこの世の中で起こること,起こったことを対象にしているからです。新聞を活用すれば,自ずと生徒を社会とつなぐことができます。 NIEの学習は,以下のように多様に展開されています。●新聞活用で社会科らしい深い学びを 大阪府島本町立島本第一中学校(現島本町教育委員会指導主事)の飯島教諭は,毎日,五大紙(朝日,毎日,読売,産経,日経)と地方新聞を切り抜いてB4用紙の両面に印刷して生徒に読ませています。2017 年11月22 日のこの学校の授業を紹介したいと思います。 この日は,2・3年生の合同授業です。授業のねらいは「憲法改正を通して国の形を考えよう」です。 授業では,2・3年生がそれぞれチームを組んで憲●新聞活用の成果と課題 普段から新聞に親しんでいる生徒ならではの提案や議論には,社会科のめざす深い学びがあり,シティズンシップの育成に大きな成果をあげています。 NIEの今後の課題は,質の高い情報を見分け,自分自身の考えを多面的・多角的に組み立てることができる生徒を育てることです[土屋武志「真価問われるNIE」(本誌vol.5)]。その意味からも,普段から生徒が複数紙に出合っている島本町立第一中学校の取り組みが注目されます。新聞活用で深い学びを創るには?●大阪教育大学・大阪成蹊大学・武庫川女子大学非常勤講師 丹松 美代志中学校編①スクラップの切り抜き,さらにはそれらを生かし た探究学習などへの展開 ②同じ事件や内容を扱った複数紙の記事や社説など の読み比べ③社説や記事,投書欄などを活用した討論やディ ベート④社会的な問題などについての新聞社への投書⑤学習のまとめとしての新聞づくり⑥新聞を家族で読んで意見を出し合うなどのファミ リー・フォーカス⑦新聞社見学,新聞記者への聞き取りなどに基づい て新聞を批判的に学ぶ学習法96 条の改正試案(憲法改正の国会の発議の条件を各議院の総議員の過半数に)や,9 条に自衛隊の必要性を明記する案,9 条改正が徴兵制につながるという護憲の意見等が主張され,報告に対して質問や意見など論戦が繰り広げられました。それを受けて,生徒はグループごとに我が国の将来像を思い描きながら,憲法改正をどのように考えるのか,深い議論を展開しました。▲[ 全国社会科教育学会『新 社会科授業づくりハンドブック 中学校編』 ( 明治図書)]社会科NAVI 2018 v ol.19 9