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概要

社会科NAVI Vol.20

●教壇・教卓・黒板のあり様 本年度より,「主体的・対話的で深い学び」が求められる新学習指導要領の移行期に入っています。単元全体の見通しを持ちながら, 50 分の授業で,対話的コミュニケーションを軸にする授業展開をめざすには,我が国の近代教育の中で大事にされてきた教壇・教卓・黒板のあり様を改めて問い直すことが必要です。 教壇のある学校はずいぶん少なくなりました。それは,教師と生徒が共に授業を創っていくための当然の流れです。多くの教室には教卓がありますが,背の高い教卓が生徒の視線を遮り,教師と生徒の距離を隔てることになっていませんか。教材・教具を置くためであれば,低い机がサイドにあればいいでしょう。黒板はどうでしょうか。●板書は何のために書くのか 何のために板書するのか,考えたことがありますか。板書の機能は,次の3 つに整理できます。 中学校社会科の授業では,圧倒的に①が多く,生徒が機械的に板書を写す光景をよく見かけます。分量が多ければ,時間もかかります。板書は,生徒が間違ったとき,分からなくなった時に参照するための情報をストックするものです。そして,教師と生徒による授業を創るには,黒板を活用して,本時のテーマと目標,本時の流れを全体で共有する必要があります。●ネーム版の活用で価値判断の授業黒板を有効活用するには?●大阪教育大学・大阪成蹊大学・武庫川女子大学非常勤講師 丹松 美代志中学校編①教師が自分の伝えたい情報をまとめ, 整理したもの②生徒の意見を整理し,要点をまとめて書き, 議論を促すもの③生徒に,実際に問題を解かせて, 答えを導く過程を確認するためのもの そこで,下記のような板書を求めたいと思います。分量はコンパクトにし,地図・年表・写真・図表・チャート図などを活用したいものです。 大阪教育大学附属平野小学校の安野教諭は,前述の②の板書をしながら,児童に価値判断を迫り,意思決定を行わせる授業を展開しています。写真は2016 年3 月7日「TPP と私たちのこれからを考えよう(5 年)」の研究授業の場面です。板書とネーム版を活用し,深い学びが成立しています。社会科NAVI 2018 v ol.20 11