ブックタイトル社会科NAVI Vol.20
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社会科NAVI Vol.20
この度の社会的な見方・考え方の新たな定義は,学習指導要領やその解説を通して,既に多くの先生方が確認されていることと考える。 そこで,ここではあえて,まずは公式な見解や厳密な定義にとらわれずに,自身が純粋な言葉として自然にうけとめた感覚を述べることから始めてみたい。 社会科での見方・考え方なので,やはり国語科や理科などとは異なり,社会的という点に違和感はない。その上で,社会的な見方・考え方とは何かとなると,それは私たちがこの社会で生活する中での社会的な事物や事象を,自分自身でどのように見て考えるかの方法と言ってしまっても,そこに間違いはないだろう。 例えば,ある先生が身近な地域のスーパーマーケットに多くの買い物客が訪れる日常から,なぜ,このお店はこんなに人気があるのだろうかと疑問を持ち考え始めることは,ひとつの社会的な見方・考え方の起点になる。 この先生が担任を務めるクラスのある子どもが,同じスーパーマーケットに対して,単に家族と買い物をする場所としてだけでなく,社会科の授業を通して,この先生と同じように見て考えることができるようになるとしたら,それは社会的な見方・考え方を働かせる姿の一例になる。 この時,スーパーマーケットを見て考える視点が先生の経験則だけでも,そこに学習上の一定の価値と意義を見出すことはできるが,社会科の授業の中で先生と子どもたちで,その視点がより学術的にも高度なものへと鍛えられ,成長していく展開になることが期待される。 スーパーマーケットを対象とすることの多い第3学年の地域の販売の仕事については,消費者の多様な願いを踏まえ売り上げを高める工夫の理解を目指して,消費者の願い,販売の仕方,他地域や外国との関わりなどに着目して,販売に携わっている人々の仕事の様子を捉えることが,学習指導要領では求められている。 さらに学習指導要領の解説では,販売の仕事は消費者の需要を踏まえて売り上げを高めるような工夫をしていること,商店では商品の品質や並べ方,値段の付け方などの工夫をしていること,販売の仕事は商品や人を通して国内の他地域や外国などとも関わりがあること,などの具体的な理解内容が例示されている。 例示された理解内容へ到達するために,消費者はどのようなことを願って買い物をしているか,商店の人は消費者の願いに応え売り上げを高めるためにどのような工夫をしているか,商品や客はどこから来ているか,といった問いを通して,家族などがよく買い物をする店や,買い物する際の工夫,商品の品質管理,売り場での並べ方や値段の付け方,宣伝の仕方,外国を含めた商品の産地や仕入れ先の名称と位置,買い物に来る客の居住地の範囲などについて調べる活動が想定されている。 社会科の授業において,スーパーマーケットを対象とする際に,学習指導要領と解説で期待されている見方・考え方の例示とは,簡潔に整理すると,次の三点に集約される。それは,①消費者側のニーズの視点,②販売者側の営業戦略の視点,③流通と商圏の視点,である。学習指導要領と解●広島大学大学院教育学研究科准教授 永田 忠道1見方・考え方を感覚的にうけとめるあらためて,「見方・考え方」とは何か2見方・考え方の例示を確認する4 社会科NAVI 2018 v ol.20