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概要

社会科NAVI Vol.20

新学習指導要領に対応した第6学年の指導 2020年度からの新学習指導要領実施に向け,各学年の内容の変更点と,単元事例を紹介します。今回は6年の指導について解説,ご提案いただきました。● 東京都豊島区立千早小学校 仲 純平● 愛知教育大学教授 土屋 武志 今回の改訂で引き続き強調されている点は,社会科で育てようとしている「公民的資質」の定義である。「平和で民主的な国家・社会の形成者としての自覚,自他の人格を互いに尊重し合うこと,社会的義務や責任を果たそうとすること,社会生活の様々な場面で多面的に考えたり,公正に判断したりすること」などの態度や能力は,今後も引き継がれるとされた。 そのうえで,小学校社会科は,世界の国々との関わりや政治のしくみや働きへの関心を高めるため,第6学年は,内容構成が大きく改められた。 これまでは歴史の後に公民内容が示され,学習活動もその順序で実践されてきたが,今回,まず「我が国の政治の働き」,次に「我が国の歴史上の主な事象」,そして「グローバル化する世界と日本の役割」となり,歴史内容を公民内容が挟む形となった。つまり,今回特に重視される「学習の問題を追究・解決する活動」を充実するため,現在の政治のしくみを踏まえて歴史を学習し,それをもとにこれからの国際社会を考察するという新しい内容構成になった。 これは,中教審の議論などで,6年の歴史学習が(幕府や新政府など)政治のしくみの変化を前提とした内容であるにもかかわらず,政治を歴史の後に学ぶ構成となっていることが,6年の学習を子どもたちの身近なものにしない原因ではないかとする声などを踏まえた変化である。 今回の改訂によって歴史学習に先立って学習される公民学習では,国や地方公共団体の「政策の内容や計画から実施までの過程,法令や予算との関わり」を取り上げることとされた。歴史学習に先立って,政治のしくみ(政策の過程)を子どもたち自身が,問いを持って対話的(協働的)に学ぶことが,後に続く歴史学習をより主体的な学習にする。 そのさい,第6学年の目標の中に「地図帳や地球儀,統計や年表などの各種の基礎的資料を通して,情報を適切に調べまとめる技能を身に付ける」とあることに留意したい。つまり,「まとめる」活動として,子どもたち自身が地図,統計や年表をつくって,それをもとに説明する場面がある授業が必要と考えられる。子どもたちにとって,年表等の資料は,既製品を使うだけでなく,自らつくるものという常識を付けたいものである。それが,今後,子どもたちが中学生・高校生となったときにも生きて働く技能となるだろう。加えて,それら資料をもとに子ども同士が対話し互いに学びを深める経験が,意見を異にしても人格を互いに尊重し合う民主的な「公民的資質」を育むことになろう。(土屋)何が変わらず何が変わるか?第6 学年での主体的・対話的で深い学び6 社会科NAVI 2018 v ol.20