ブックタイトル社会科navi 2015増刊
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社会科navi 2015増刊
クウェート便りイスラム社会における人々の生活衣服編vol.1辻原恵里子図1・2ディスターシャを着るクウェートの男性図3ザバーハ首長クウェートからのご挨拶2年余り前,夫がクウェートの日本大使館に勤務する事になり,私も一緒に生まれて初めて中東,イスラムの国に行く事になりました。クウェートの正しい位置を地図で思わず確認したほどで,「産油国でお金持ち,イラク侵攻,砂漠の中の暑い国」という程度の知識しかなかったですが,新しい環境での生活にわくわくしました。中東での暮らしから見えたり感じたりするものを,近況報告として家族や友達に,「クウェート便り」として送っていました。それがご縁あって,来年度から発行される日本文教出版の地理教科書に一部が掲載される事になり嬉しく思っています。今回は,教科書には書ききれなかったことを,こちらにまとめてみたいと思います。男性の民族衣装「ディスターシャ」床まである白いワンピースのような服装が,男性の民族衣装「ディスターシャ(distasha)」です(図1・2)。「オバケのQ太郎」のような格好,あるいは「アラビアのロレンスがハリス族の族長から贈られて着ていた白い衣装」といえば想像がつくでしょうか。フォーマルであり,カジュアルであり,通勤着でもある,大変便利な服装です。こちらに来てその良さ,素敵さを感じました。アラブ人の顔立ちにとても似合っていますし,優雅で皆がアラブの王様のように見えます。ディスターシャは長袖,床までの長さです。湾岸諸国でもデザインが多少違いますが,クウェートはボタンダウン。ボタンがウエストあたりまで付きます。夏は白かアイボリー,短い冬にはグレー・茶・青など色つきのディスターシャを着る人もいます。素材も冬はウール混紡になります。両脇には大きなポケットがあり,そこには携帯電話,財布,ミズバハ(Misbaah)というお祈りに使う数珠などを入れています。ディスターシャの下には,半袖の白いシャツとステテコのようなコットンのズボンを着用します。結婚式や式典などのとてもフォーマルな時には,白いディスターシャの上に,ビシュト(Bisht)というお坊さんの袈裟のような,透けた黒いコートのような衣装を着ます(図3)。金色の糸で縁取りされていて豪華です。クウェートの男性はディスターシャを誇らしげに着ているように見えます。