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概要

社会科navi 2015増刊

ヒジャブ(Hejab)図4・5アバヤを着るクウェートの女性宗教的には人前では肌や髪の毛を出してはならないことから,西洋風の服装の女性でも,ヒジャブというスカーフを頭に巻いている人が少なくありません。色は黒だけではなく,服装に合わせてカラフルにコーディネートしています。ヒジャブの下には髪の毛が出ないようにニットのキャップをかぶっています。ヒジャブを着用するのは,子どもから大人になった日からだそうです。図6アバヤショップ図7アバヤ専用洗剤女性の民族衣装「アバヤ」多くのクウェートの女性は「アバヤ(Abaya)」という頭から床までの黒いコートのようなドレスを着ています(図4・5)。男性のディスターシャには宗教的意味合いはないのですが,アバヤは宗教的意味合いを含みます。コーランでは,女性は人前(男性のいる前)では顔と手以外は出していけないことになっています。体型を隠し,髪の毛,手首,足首,首筋を覆うゆったりした服装がアバヤなのです。アバヤは長袖で,黒いワンピースコートのようなものです。自宅に帰ると脱ぐので,下には普通に服を着ています。古いスタイルでは頭から(頭巾から)つながっていたのですが,今は頭にかぶるヒジャブ(スカーフ)と別になっているものを多く見かけます。綿とポリエステルの混紡のようで,シワがよらないやわらかい素材です。アバヤは黒地がほとんどですが,刺繍がされていたり,縁取りがされていたりするなど,ファッション性もあります。アバヤショップには,様々なデザインのアバヤが並んでいます(図6)。スーパーマーケットの洗剤売り場にはアバヤ専用洗剤も並んでいます(図7)。黒い色が落ちない特別なおしゃれ用の洗剤のようです。サウジアラビアではすべての女性,外国人女性にも黒いアバヤとスカーフの着用が義務付けられていますが,クウェートでは女性の服装は自由で,我々外国人に強制されることはないですし,西洋人と変わらぬ服装をしているクウェート人女性も少なくありません。家族(一族)での縛りもあると聞きますが,着るか着ないかの判断は個人にゆだねられるので,家族の女性皆がアバヤを着用していても1人だけ西洋スタイルという人もいます。アバヤを着ているから信仰心が強いというわけでも決してないそうです。アバヤは我々からすると,お洒落度を押さえ込んで不便そうにも見えるのですが,そうではなく,多くの女性は誇らしく着ているようです。それゆえ,小さな子どもたちは早く大人になってアバヤを着たいと思っているのだそうです。「クウェート便り」は,第2回以降,社会科navi本誌で連載いたします。多文化共生,国際理解に関する教材としてご活用ください。