ブックタイトル社会科NAVI Vol.21
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社会科NAVI Vol.21
vol.5わたしの社会貢献 いまや先端研究の成果は,専門家だけのものではない。広く公開し発信する時代である。特に,未来を支える子どもがその恩恵を一番に受けるべきだ。一方で,先端研究の成果はとっつきにくい。なかでも,歴史的事象は身近なものではないので,学びへの入り方が難しい。それを子どもにどう伝えるか。子どもが自ら発見し,興味をもつ仕組み(ワークショップ)をつくることが重要だと考える。 「考古学者の弟子」は,①縄文土器の模様を実験から学ぶ「つくってみる」,②知識を整理し,他の情報と比較する「くらべてみる」,③集めた情報から新たな思考を試みる「かんがえてみる」の3 回の連続講座である。 「つくってみる」では,縄文人の描いた土器の模様を復元した。そのあと展示室の国宝火焔型土器を見に行くと,子どもが模様の付き方について自然と意見を出すようになった。自分の手で道具を持ち,粘土に模様を描いた経験により,縄文土器の情報を自分化できたのだ。これが研究者への第一歩である。 「くらべてみる」では,各地の縄文土器を見て比較した。内容は次の通り。(1)基本6名構成の6グループとし,各グループには一つの地域(関東地方から九州地方にいたる5地域と火焔型土器の分▲ 子どもに何を伝えるのか,研究者による協議考古学のあらたな挑戦●滋賀県立琵琶湖博物館学芸員 妹尾 裕介●京都大学名誉教授 泉 拓良 2017 年,京都大学総合博物館特別展「火焔型土器と西の縄文」に,国宝をふくむ十数点の火焔型土器が新潟県からやって来た。縄文時代を象徴する火焔型土器は,関西ではなかなかお目にかかれないということで,考古ファンの期待も大きかった。 土器中心の展覧会は大人向けでも難しいといわれているが,あえて「縄文土器を子どもが楽しむワークショップ」を企画しようとする話が持ち上がった。子どもに本格的に歴史や考古学を学ぶ前に,「観察する力,考える力」を育んで,本物の縄文土器,火焔型土器に接し,考古学への深い興味をもたせたい,という野望を秘めていた。協議では,「せっかく大学博物館でやるからには,楽しいだけではもったいない」,「先端研究を子どもに教える絶好の機会」,「子どもが展示を自ら見に行くようにしたい」など挑戦的な意見があいついだ。 結果,「子ども向きではなく,子どもも分かる」連続講座を目指すこととなった。題して「考古学者の弟子」。子どもが弟子入りする講師陣は大学,博物館の現役の専門家。教える内容は,「考古学の方法を識って,モノの何を視て,どう考えるか」という大学生が聴くものと変わらない考古学の基礎講座。それを子どもに教えるのは初めての試み。ドキドキのワークショップが始まった。ワークショップ「考古学者の弟子」講座先端研究をワークショップにする火焔型土器が京都にやって来た!12 社会科NAVI 2019 v ol.21