ブックタイトル社会科NAVI Vol.22 2020年度版『小学社会』教科書特集号

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概要

社会科NAVI Vol.22 2020年度版『小学社会』教科書特集号

 第3学年は,四つの大単元で構成されている。「わたしたちの住んでいるところ」では,改訂に伴って,市のようすを調べる活動に重点が置かれ,市役所の位置や他の公共施設との関わりを地図で確認したり,市役所の働きや仕事の内容を手紙で尋ねたりする活動が新たに展開されている。 また,学習のまとめにおいては,宇宙から撮影した写真をもとに県内における市の位置について確認する学習が新たに設定された。「わたしたちのくらしとまちではたらく人びと」では,改訂に伴って,生産の仕事では,工場でつくられたかまぼこや収穫されたれんこんがどのようにして家まで届くのか,写真やイラストなどを活用して白地図等にまとめることで「地域の人々の生活との密接な関わり」について理解するように設定された。また,販売の学習では,改訂に伴って追加された “売り上げを高める工夫”を“たくさんのお客さんに来てもらうための工夫”と解釈し,子どもたちの発想に近い言葉で学習問題を設定して,調べ学習や話し合い活動を展開している。ている。まずは,ここまでの学習を子どもたちのペースに合わせて丁寧におこなうことがポイントである。「社会科の教科書には,どんなことが書かれているのかな?」「次のページをのぞいてみたいな」「これからどんなことを学んでいくのかな?」子どもたちの素朴な疑問や興味・関心に寄り添いながら社会科教科書を旅してみよう。きっと,そこには子どもたちそれぞれの気づきがあるだろう。 新版教科書では,子どもたちの素朴な疑問から出発し,ワクワク感やドキドキ感を原動力にして,「もっと知りたい!」ことをとことん追究する子どもたちの姿を描いている。そんな姿に3年生の子どもたちが共感したり,自分の思いを広げたりする自由な発想を大切にしたい。 二つ目は,子どもたち自身が学ぶ意味やよさを実感しながら,自分たちの力で学習を進めていくことである。そこでポイントとなるのは,生活科と社会科の連続性を意識した学習展開である。導入単元「わたしたちの住んでいるところ」では,姫路市の様子を学習する前に,実際に学校のまわりを探検する時間を設定し,子どもたちが身近な地域から体験的に学習をスタートすることで,1・2年生の生活科とのつながりを意識させ,生活科から社会科へ連続性を伴って学習できるように構成されている。学校のまわりを探検する学習では,探検の計画を立てたうえで調査に出かけ,そこで気づいたことを発見カードにまとめ,さらに白地図に整理することを通して,わかりやすい地図の工夫や地図記号の必要性について子どもたち自身が気づき,よさを取り入れていく内容となっている。このように,子どもたち自身が学ぶ意味やよさを実感しながら,自分たちの力で学習を進めていくところは,生活科で培った力を社会科で発揮している姿といえる。 同じく,連続性を意識した学習という観点から考えると,第3学年の導入単元「わたしたちの住んで「安全なくらしを守る」では,改訂に伴って,新たに3年生の学習内容に位置づけられた。新版教科書では,火災については消防署への見学や地域の消防団の取り組みを取り上げ,事故については警察署や交番の仕事,交通指導員や交通安全ボランティアの活動のほか,市役所の取り組みについて調べる活動を設定している。学習のまとめでは,「安全なくらしや命を守るために,私たちにできることは何か」と問いを立てて話し合い,安全マップをつくって発信するなどの活動に発展させることで,問題解決的な学習の展開を示している。「市のようすとくらしのうつりかわり」では,これまで扱ってきた道具とくらしの移り変わりから,市の様子の移り変わりに内容が大きく変更された。この単元は,時間・空間・相互関係性の三つの見方・考え方を働かせて学習する第3学年の総仕上げとなる単元である。この最終単元において,子どもたちが三つの見方・考え方を働かせて学習することができるように年間の学習の見通しをもって計画をすることがポイントとなる。―新版教科書を使って期待すること―      一つ目は,社会科を学習する最初の時間に子どもたちと一緒に社会科教科書の旅に出かけることである。「社会科という教科はどんなことを学ぶ教科だと思う?」と子どもたちに問いかけて,子どもたちがあれこれ想像する社会科についての思いや考えを学級みんなで交流する。その後,教科書を開くとそこには「社会科の学習へようこそ!」というページがあり,「ぎもんを見つける⇒調べる⇒話し合う⇒まとめる⇒つたえる」という社会科の学び方が説明されている。その次のページには,「3年生の社会科の学習でたいせつなこと」が書かれており,目次には,3年生の社会科の内容がわかりやすく示されいるところ」と最終の大単元「市のようすとくらしのうつりかわり」の連続性を意識して学習することを提案したい。第1大単元では,空間的な広がりや位置に着目し,第4大単元では,時間の経過や時期による違い,変化に着目して学習を展開する。新版教科書では,第4大単元の導入部分で,博物館を見学し,城があった頃の模型を見て,今の市の様子との違いに気づく子どものつぶやきが書かれている。第1大単元で地図を活用しながら今の市の様子を学んだ子どもたちは,博物館で昔の模型を見ることで,自ずと今の市の様子と比較し,その違いに気づいている。これは,第1大単元で学んだ知識をまとめ単元で活用し,社会的事象の見方・考え方を働かせ,自分たちの力で学習を進めていく姿を示している。 三つ目は,社会科の各小単元の最初の時間に,教科書の学習展開について自由に意見を出し合う時間を設定し,それをふまえて,子どもたち自身はどんな学習を進めていきたいのか,教師はどのような力を子どもたちに身につけさせたいと考えているのか,子どもたちと教師の対話を通して学習の見通しを立てることである。「教科書を学習するのではなく,教科書で学習する」ことを第3学年の新版教科書を使って学んでほしい。教科書で学習する初めての社会科-3年について―1わたしたちの住んでいるところ 1わたしたちの住んでいる市のようす2わたしたちのくらしとまちではたらく人びと 1工場ではたらく人びとの仕事 2店ではたらく人びとの仕事3安全なくらしを守る 1安全なくらしを守る人びとの仕事4市のようすとくらしのうつりかわり 1うつりかわる市とくらし3年の単元配列愛知教育大学准教授 真島 聖子P.19学校や図と書しょ館かんは,地図記号を使つかうといいんだね。地図記号のようなきまりがあれば,だれが見てもどこに何があるかわかる,見やすい地図になるね。P.2-3P.126城があったころのもけいを見ると,今の市のようすとちがっているね。3年生 わたしの提案18 社会科NAVI 2019 v ol.22 社会科NAVI 2019 v ol.22 19