ブックタイトル社会科NAVI Vol.22 2020年度版『小学社会』教科書特集号

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概要

社会科NAVI Vol.22 2020年度版『小学社会』教科書特集号

 新版教科書『小学社会』の第5学年は,五つの大単元から構成される。大単元「日本の国土と人々のくらし」から始まり,食料生産,工業生産,情報社会,国土の環境と続く配列は,これまでと同じである。単元の配列はこれまでと変わりないが,新版教科書では,それぞれの大単元のなかの小単元の構成に若干の変化がある。 例えば,第2大単元「わたしたちの食生活を支える食料生産」では,これまでは小単元「米作りのさかんな地域」が冒頭にきていたが,新版教科書でち小単元「情報をつくり,伝える」は,引き続き,新聞社を中心的な題材として,これからは情報社会の問題点についても,本小単元のなかで取り扱う構成となった。もう一つの小単元「情報化社会を生きる」は,今回,小単元「情報を生かして発展する産業」へと姿を変えている。―新版教科書を使って期待すること― 新たな小単元「情報を生かして発展する産業」は,私たちの日常生活だけでなく,さまざまな産業においてもいろいろな情報が多様に活用されていることを考えていく単元である。 私たちは毎日の生活のなかで天気予報をもとにして,服装や持ち物の選択や判断をおこなっているが,コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでも傘などの商品の売り上げや仕入れの仕方に,どうやら気象情報が関係しているらしいことを,教科書P.208-209の資料①~④から,子どもたちに気づかせたい。 そのうえで,教科書P.211のような話し合いを通して,天気予報などの「気象情報は,産業でどのように利用されているのだろう。」といった学習問題づくりへとつなげていきたい。 例えば,アイスクリームをつくる会社では,多くの人々が買い求めようとする気温になる日がいつごろかを予測して,商品をどのくらい生産して,どのくらい出荷すればよいかを,教科書P.212の資料②などから考えられるようにしている。その際には気温などの気象情報とともに,全国各地の店の商品の在庫状況や,人々が買い求めたいと思うような商品はどのよは,小単元「食生活を支える食料の産地」から始まる構成となった。同じく,第3大単元「工業生産とわたしたちのくらし」においても,小単元「自動車工業のさかんな地域」の前に,新たな小単元「くらしや産業を支える工業生産」を配置している。 これは,具体的な個別の産業を詳しく考察していく前に,食料生産と工業生産ともに,それぞれの産業の概要や全体像を俯瞰することで,これまで以上に広く深い学びの実現を可能にする新たな手だてとなっている。 食料生産の場合には,さまざまな食料の産地マップづくりを通して,学習問題「わたしたちが生きるために必要な食料は,どこで,だれがつくっているのだろう。」をつくり,国内の食料生産の全体像をつかませる。そのうえで,米作りや水産業もしくは,選択として取り上げることも可能な畜産業やくだもの作り,野菜作りを具体的に取り上げることによって,食料生産の最後の小単元「これからの食料生産」へと問題解決的な学習や探究の流れを活発化させる学習展開が可能になる。 5年冒頭の大単元「日本の国土と人々のくらし」では,新たに小単元「日本の地形や気候」を設けることで,小単元「世界から見た日本」と「さまざまな土地のくらし」との学習の意図と展開を円滑に進めやすくなっている。 また,学年最後の単元「国土の環境を守る」では,小単元の構成はこれまでと変わりないが,小単元「環境とわたしたちのくらし」,小単元「森林とわたしたちのくらし」から,最終の小単元「自然災害から人々を守る」への関連づけが図りやすい紙面構成への工夫が施されている。 第4大単元「情報社会に生きるわたしたち」は,これまで小単元「情報をつくり,伝える」と小単元「情報化社会を生きる」で構成されていた。このううな商品かを予測したりすることも重要である。 アイスクリームと異なり,消費期限が短い商品が多いとうふの場合は,気象情報の活用に何か違いがあるのかどうかを考える教科書P.214-215も学習展開上の仕掛けの一つにもなっている。アイスクリームととうふから同じ食品産業であっても,その製品の特性に応じて,情報の生かし方には違いがあることを考察することを通して,では他の産業はどうなのだろうか,また情報を送り出す側にも産業ごとに何か特別な手だてがあるのだろうか,といった深い学びへの誘いが施されている。 本小単元の最後では,学習問題についての最終的な話し合いを通して多角的に考えながら,子どもたち各自が「わたしたち」と「産業の立場」から情報をどのように生かしていくべきか,自分の考えをまとめていこうとする姿を紙面化している。 教科書を使って,第5学年で特に期待することは,紙面に配置された効果的なさまざまな資料をもとに,対話的な話し合い活動から,子どもたちが主体的に学習問題をつくり,その解決に向けた多角的な考察を通した深い学びの結果として,各自が選択・判断した自分の考えをまとめていけるような学習展開である。わたしの提案情報社会に生きるわたしたち1日本の国土と人々のくらし 1世界から見た日本 2日本の地形や気候 3さまざまな土地のくらし2わたしたちの食生活を支える食料生産 1食生活を支える食料の産地 2米作りのさかんな地域 3水産業のさかんな地域 4これからの食料生産3工業生産とわたしたちのくらし 1くらしや産業を支える工業生産 2自動車工業のさかんな地域 3日本の貿易とこれからの工業生産4情報社会に生きるわたしたち 1情報をつくり,伝える 2情報を生かして発展する産業5国土の環境を守る 1環境とわたしたちのくらし 2森林とわたしたちのくらし 3自然災害から人々を守る5年の単元配列-5年について―広島大学大学院准教授 永田 忠道P.217 気象情報を提供する会社では,より精度の高い情報を提供するために,世界じゅうで観測された正せい確かくな気象情報を入手していたよ。 商品の売り上げなどの情報や,S エスNエヌS エスの短文投とう稿こうサイトに投稿された,位置情報のわかる気象に関するつぶやきの情報も使っているね。 気象情報以外の情報を入手して利用するということは,それらの情報にねうちがあるということなんだと思ったよ。 気象情報以外の情報は,産業で活用されているのかな。産業で情報を利用するときに,気をつけていることはないのかな。 情報は,社会でおこったできごとを知るだけでなく,ものをつくるためにも役だっているんだね。 気象情報などを提供するサービスが,むだな生産やすてられる商品が出ないようにするための取り組みに役だっていたよ。P.212P.208-2095年生22 社会科NAVI 2019 v ol.22 社会科NAVI 2019 v ol.22 23