ブックタイトル社会科NAVI Vol.22 2020年度版『小学社会』教科書特集号

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社会科NAVI Vol.22 2020年度版『小学社会』教科書特集号

これからの時代に求められる資質・能力を育む学習を安野:日本文教出版の『小学社会』は新学習指導要領の趣旨やねらいに基づいて,これまで以上に魅力的な教科書に生まれ変わりました。そこで今回は,代表監修者である3人が集まって,新しい教科書づくりについての思いを語ってみたいと思います。池野:今回,私は学習指導要領改訂に関わりましたので,まずは大きなポイントを説明したいと思います。社会科の学びが,学校のなかで完結するのではなくて,学校と社会が結びつくという考えを重視して,新たな学習指導要領は考えられてい 資質・能力を育むというのは,小学校社会科だけでなく,他教科も含め,全体で培うものだと思います。もともと社会科は総合的な性格の教科ではあるのですが,それぞれの教科の専門性と同様に,社会科にも専門性があります。教師も子どもも,それらの教科の資質・能力を総合して自己を形成していくのが理想です。池野:問題解決学習は,小学校教育では,中心的な考え方だと思います。もっとも大事なのは,子どもたちが自分で考えられるようになること。そのためには,まず問題が出てくる,考えて見る,解決策を進める,といった授業が必要になります。物事に対する見方・考え方を,先生にも子どもたちにも教えることのできる教科書が,現場で生きてくるのではないでしょうか。学習指導要領でいえば,考察を通して構想していく。さらに発展させて,新しい社会を描けるようになっていくというところにあたります。その理想を実現しようとしているのが,『小学社会』のめざしている内容なのです。 これまで『小学社会』では,見方・考え方について,いち早く取り入れてきました。系統的な知識習得型の学びだけではなく,問題解決学習に率先して力を注いできた教科書だと思います。そして,今回の学習指導要領では,社会科以外の各教科でも,新たに見方・考え方を取り入れるようになりましたね。『小学社会』の考え方に,時代が追いついてきたという感じですね。的場:問題解決学習のおもしろさは,一つの問題から,また新しい問題が出てきて,自分たちの知識や概念をつくり変えていくところにあります。この学びが何層にも重なることで,より深い学びになっていくのだと思います。主体的・対話的で深い学びというのは,何を学ぶかだけではなく,どのように学ぶかも重視して授業を進めることが大きなポイントになると考えています。池野:授業の進め方としては,一つのテーマに対して,いくつかの問題が出てくることが大事ですね。例えば,ごみ問題があって,どのように問題ます。これまで内容中心だった学校教育が,資質・能力を育むことを重点化しているのです。これからの未来を担う子どもたちへ,学校で習ったことが社会でも生き続け,大きく発展できるようにという願いが込められています。新しい『小学社会』は,問題解決力,社会的事象の見方・考え方,資質・能力を培えるようにと,教科書記述の見直しをおこないました。的場:平成29年度の中央教育審議会では,日本の「少子高齢化」「グローバル化」「技術革新」「人工知能」に注視するなど,私たちを取り巻く環境の構図が目まぐるしく変わってきています。予測困難な未来社会を生きていくために,より一層の問題解決力が求められてきていますね。解決するべきかを,学習の経過として捉えられるようになればいいと思います。これらは家庭の事情,自治体の事情など,自分を取り巻く環境によって変わります。答えは一つではありません。子どもたちが状況を調べた結果から,自分なりの答えを見つけるのが理想です。安野:その面では,『小学社会』の紙面をつくるときに苦労しましたね。どのようにして一人一人の学びを対話的にするか,学習問題に対する一人一人の考えを他とともに深めていくか。このように学び手の側に立つ意識や思考の流れを大切にした,子ども主体の協働的な問題解決をめざしました。新しい教科書を学校現場でどのように活用するか安野:『小学社会』では,問題解決のプロセスが見える教科書づくりにこだわってきましたが,先生方が現場でこの教科書を使うときには,どのようにするのが理想だと思いますか。池野:これまで『小学社会』で設定してきたよう知識の習得だけではなく, 「どのように学ぶか」を重視する小学校教員を経て,2000年から文部科学省初等中等教育局教科調査官(小学校社会科)を務める。2009年退官。2015年から『小学社会』監修者。國學院大學教授安野 功安野 功専門は教育学(社会科教育)。最近は,シティズンシップ教育に関する研究を主におこなう。1998年から『小学社会』監修者。日本体育大学教授池野範男専門は教育方法学。特に,ドイツの政治教育,公民教育を研究対象とする。1990年から『小学社会』監修者。名古屋大学名誉教授的場正美 ~代表監修者による座談会~新しく生まれ変わる『小学社会』について6 社会科NAVI 2019 v ol.22 社会科NAVI 2019 v ol.22 7