ブックタイトル社会科NAVI Vol.23
- ページ
- 20/24
このページは 社会科NAVI Vol.23 の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 社会科NAVI Vol.23 の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
社会科NAVI Vol.23
2008(平成20)年ごろだったと思います。常に新しい品種がないかと検討していたとき,地球温暖化により宇和島の気候が南イタリアの気候に近くなっているということに気づいたのがきっかけでした。当時,みかん研究所である 愛媛県宇和島市といったら,何を想像されるでしょうか。リアス海岸が広がり真珠などの養殖が盛ん。段々畑によるミカン栽培。あるいは,一時期高校野球の甲子園で旋風を巻き起こした宇和島東高校でしょうか。今では,ブラッドオレンジの国内唯一の出荷栽培産地となっています。 では皆さん,ブラッドオレンジと聞いて何かわかりますか? オレンジという言葉がつくので,柑橘系の果物と想像ができるでしょう。ブラッドオレンジは,イタリア原産のみかんの種類のことです。果肉に真っ赤な色素であるアントシアニン色素を多くもつところが特徴です。そのため,「血みかん」という意味でブラッドオレンジと呼ばれています。 ここ宇和島では,昔,栽培を試みましたが中止にした経緯がありブラッドオレンジ??時空を越えてやってきたブラッドオレンジの本格栽培ストーリー▲ ブラッドオレンジます。昭和40年代ごろに温州みかんが世の中を席巻していく中,不測の事態に備えて新しいみかんを世界から探していた際にレモン,ライム,ブラッドオレンジなどが栽培候補としてあがりました。ブラッドオレンジには品種があり,その中の一つであるタロッコという品種をイタリアから導入してつくったことがありました。そういったこともあり,我々の地域ではもともとブラッドオレンジには馴染みがあったのです。当時,栽培を広げていくことは立ち消えとなりましたが,最近では健康志向の高まりにより,赤み成分であるアントシアニン色素は,高い抗酸化作用,成人病予防,視力回復に効果が期待できるということで注目されてきました。その上,栽培上も地球温暖化が進んでいる昨今,宇和島の気候がなんとイタリアの栽培地に似てきたのです。「地球温暖化で気温が上昇したために,みかんが作れなくなる」のではなく,「地球温暖化だからこそ,千載一遇のチャンス」ととらえ,ブラッドオレンジの出番が半世紀の時を越え,やってきたのです。 ここで,オレンジ類の見分け方,分類を紹介しましょう。まず,赤い色素であるアントシアニン色素が有るか無いかで分類され,次に,ヘソの有り無しで分類されます。オレンジ類では果肉にアントシアニン色素があるものをブラッドオレンジと呼び,果実にヘソがあるものをネーブルオレンジと呼んでいます。 味については,ネーブルやバレンシアオレンジのような食味に加え,アントシアニン臭(風味)があり,コクのある甘さでスッキリした酸味があり濃厚な香りがします。オレンジ類なのでおいしいことは想像できると思います。発信地域からの地球温暖化による逆転の発想~愛媛県宇和島市・ブラッドオレンジの取り組み~●JAえひめ南 みかん指導販売部 みかん指導課 課長 大加田 聖司愛媛県宇和島市オレンジの種類コモン(普通)オレンジ無し 有り・バレンシアオレンジ・トロビタオレンジ などネーブルオレンジ・ワシントンネーブル・白柳ネーブル などブラッドオレンジ・タロッコ・モロ・サンギネロ など(アントシアニン)無し有り果実のヘソ赤い色素●人口 77,465 人●面積 468km2( 平成27年現在)20 社会科NAVI 2019 v ol.23