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概要

社会科NAVI Vol.24

ようこそ!歴史史料の世界へvol.24 この鐘は別名,「万ばん国こく津しん梁りょうの鐘かね」ともよばれています。1458(明国:天順2,琉球王国:尚泰久5)年6月19日,当時琉球王国の国王であった尚しょう泰たい久きゅうの命で鋳造され,首里城の正殿に掛けられました。尚泰久王は,京都南禅寺の僧侶芥かい隠いん承しょう琥この教えをうけ,仏教の加護により琉球国内を安定させることを祈念してこのような和わ鐘しょうを23口鋳造させました。なかでもこの梵鐘の銘文は,琉球・相国寺の住職であった渓けい隠いん安あん潜せんによってつくられ,琉球国が勇壮かつ気概をもった王国であり,明国(中国)や東南アジア諸国との海外交易を盛んに行っていた様子を記した代表的な和鐘です。 銘文の大意は,次のようになります。「琉球国は,南海の優れた土地であり,三韓(朝鮮)の優れた文物を集め,大明(中国)を以て輔ホ車シャとなし,日域(日本)を以て唇シン歯シとなす(輔車・唇歯はともに非常に親しい関係を意味する)。これら二つの国梵鐘の音から聞こえてくる古琉球人からのメッセージ●沖縄県立博物館・美術館主任学芸員 久部良 和子旧首里城正殿鐘(鐘銘原文)琉球国者南海勝地而鐘三韓之秀以大明為輔車以日域為唇歯在此二中間湧出之蓬莱島也以舟楫為万国之津梁異産至宝充満十万刹地?人物( ?)遠扇和夏之仁風故吾▲?「 旧きゅう首しゅ里り城じょう正せい殿でん鐘しょう」1978(昭和53)年 国指定重要文化財 沖縄県立博物館・美術館蔵(高さ:154.9cm 口径:93.1cm 重量:721kg 筆者撮影)▲?「 旧きゅう首しゅ里り城じょう正せい殿でん鐘しょう」(拓本)(沖縄県立博物館・美術館蔵)(詠み方)琉球国は南海の勝地にして,三韓の秀を鐘アツめ,大明を以て輔ホ 車シャとなし,日域を以て唇シン歯シ となす。此の二者の中間に在りて湧出する所の蓬ホウ莱ライ島なり。舟シン楫ショウを以て万バン国コクの津シン梁リョウとなし,異イ 産サン至シ 宝ホウは十万刹に充満せり。地チ?に人?え,遠く和夏の仁風を扇ぐ。レイフ②駒の爪①草の間16 社会科NAVI 2020 v ol.24