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概要

社会科NAVI Vol.24

 福祉施設「こころみ学園」が母体のワイナリー(ワイン醸造場)です。 やってみよう!というチャレンジ精神の意味を込めて,こころみ学園と名づけられ,その「こころみ」の「ここ」をとってワイナリーの名前にしました。 それにしても自然の中のブドウ栽培は,猛暑,秋の長雨,冬の空っそこで考えついたのがワインを醸造することでした。 しかし,こころみ学園では福祉制度の都合上,果実酒製造免許を申請することができませんでした。そこで,川田は再び自費を投入し,またこころみ学園の考え方に賛同した父母など保護者たちに出資を募り,有限会社ココ・ファーム・ワイナリーが産声をあげたのです。その後,ワインをつくることによって付加価値を高め,年間を通じて出荷できるようになりました。▲ 頂上から見たブドウ畑▲ ブドウ畑のようすココ・ファーム・ワイナリーとは?ワインづくりは苦労の連続! 中学校の特殊学級(現在の特別支援学校)の教員だった川田昇は,知的な障がいのある子どもたちは,机の上の勉強は苦手でも農作業なら身につくことがあると考えました。そこでブドウ栽培をしようと思い立ったのです。しかし,平らな土地は値段が高く,勾配が急なところしか土地を購入できませんでした。購入した土地は,なワイナリーをつくるきっかけんと平均斜度38 度の急斜面3ヘクタール。スキーでいえば上級者コースで,頂上から見下ろせば足がすくむようなところです。そこを特殊学級の子どもたちが中心となって2年がかりで作業にあたり開墾をし,1958(昭和33)年にブドウ畑がスタートします。 1969(昭和44)年には定員30 名の施設が完成し,この時「こころみ学園」と命名されました。成人対象の知的障がい者更生施設として認可が下り,ブドウの栽培を中心とした農作業が園生の誇りや生きがいにつながることをめざしました。 ブドウ栽培を始めて,市場に出荷できるようになったものの,ブドウが収穫できる時期はどこのブドウ園でも採れる時期であり,市場に出荷しようとするとブドウにかぶせる袋がけの袋代にもならないほど安くなってしまいました。発信地域からのサミットで飲まれたワイン~栃木県足利市・ワインに込められた思い~●有限会社 ココ・ファーム・ワイナリー栃木県足利市●人口 149,504 人●面積 178km2( 平成27年現在)20 社会科NAVI 2020 v ol.24