ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

社会科NAVI Vol.24

しごと図 鑑スピードを落としてゆっくり旋回すればベストですが,これだと機体が上を向くため,写真が斜めになります。そこで,操縦士としては,羽が写らない程度に機体を傾けたり,揺れを最小限に抑えたりします。  フライト前の飲酒を控えることはもちろん,怪我や骨折などにも気を付けています。航空身体検査も1年1回受けます。旅客機は人と物を運び,小型機は何かをするために飛びます。目的が違うため,テクニックも異なります。飛ぶごとに違う景色に遭遇できる楽しさを味わいながら,身体が続く限り,好きで飛び込んだ世界に携われればと思います。ただそれでも,ご多聞に洩れず,後継者の確保が難しい世界です。今後は,小型機を所有する会社での連携などもできればと考えています。もとに,落雷や噴煙,降雪などをチェックして,飛行の可否を判断します。  弊社で使用している機体は1982年製の6人乗りですが,いま,新たに購入すると,1機およそ8千万?1億円といった価格です。ではなぜ今でも飛べるのかというと,機体ごとに決められた飛行時間になると,エンジンはもとより,プロペラや高度計,速度計といった機器もすべて取り変えることが義務付けられているからです。これによって安全性が確保されています。  弊社は,魚群を探す漁業調査や,公害(赤潮)調査,火山調査などを業務としています。こうした中に,教科書会社や教材会社からの空撮依頼が舞い込みます。撮影条件によりますが,飛行料金は,1 時間あたり9 ?15 万円になります。なお,操縦士は,1週間で必ず1日休むことが義務付けられています。  弊社には操縦士3名,整備士2名がいます。西村のように,操縦士がカメラマンも兼ね,主に4×5が撮れるカメラを手に持って使います。1枚ずつフィルムを交換するこのカメラの方が,撮った写真に深みが出ます。撮影にあたっては,ここ一発という緊張感があります。また, ▲ カメラマンとしても活躍する西村信一郎さん▲ 操縦席に座る杉山さん●杉山 哲雄(すぎやまてつお)1966年,神奈川県生まれ。2008年,操縦士として水産航空株式会社に入社。54歳。水産航空株式会社操縦士  大学卒業後に公務員をしていましたが,幼い頃からの空への憧れが忘れられずに渡米。操縦士の免許を取得しました。その後,帰国して国家試験を受験,事業用免許を取った後,縁あって弊社に入社しました。  日本の場合,法律的には40時間のフライトが義務付けられていますが,実質はその倍ぐらい乗ります。法規・気象・工学・通信・航法といった学科や口頭試験,離着陸訓練や空中操作法といった実地もあり,8か月から10 か月ほどかかります。  私が取得しているのは小型機の事業用免許ですが,旅客機など大型機は,機種ごとに免許が必要です。また,機長として飛ぶためには,技能審査が2年に1回あります。これとは別に,社内でも1年に1回の定期審査があります。フライトに際しては,事業用操縦士技能証明書・航空身体検査証明書・航空無線通信士の三つを携帯しないとなりません。  「飛行計画書」という書類を,新千歳・仙台・羽田・大阪伊丹・福岡といった飛行場に置かれている,航空情報官室宛に通信機器で届け出ます。社内では,弊社の基地がある調布飛行場からフライトをする場合,8時30 分からミーティングを行います。ここで,気象庁が航空会社のみに開示している悪天予想図を操縦士になったきっかけを教えてください。QA小型機であるセスナについて聞かせてください。QA1回のフライトだと,どれぐらいの費用がかかりますか。QA普段気をつけていることや,今後についてはいかがですか。QA操縦士の免許を取るのは大変ですか。QA免許についての厳しい制限についてはいかがですか。QA実際にフライトする際の手続きなどについて教えてください。QA QA撮影について聞かせてください。22 社会科NAVI 2020 v ol.24