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概要

社会科NAVI Vol.24

 本単元では,導入時に「今の水道は蛇口から水が出ます。江戸時代はどうだったのでしょう。今もこの町に江戸時代の水道の名残があることを知っていますか。」と投げかけた。すると児童は,「井戸じゃないかな。」「昔は近くに,池や川があったのかも。」と予想しながら,学区域調べを始めた。地域の用水路に詳しい方をゲストティーチャーとして招き,その方から江戸時代の水道事情を聴きながら学区域の用水路を辿った。「この小さな水路が飲み水に使われていたのか。」「水車もあったんだ。」などの発見をしながら,身近な水路を見直し,関心を高めるきっかけとなった。また,学習計画を検討する場を設け「掘る工夫・配る工夫・分水の様子・その後の玉川上水」と分け,調べる内容に応じて見学活動や実験,写真,絵資料提示などを取り入れた。 すると,児童は先人の業績の素晴らしさを捉えられるようになった。そして,概念化につなげるために随時,1学期に学んだ上水道事業や3年時に学んだ昔の道具と人々のくらしの学習を想起させ,比較・関連させる働きかけを意図的に行った。こうすることで「昔も今も水は大切なものであり,それを得るために人々は工夫・努力をしてきた。」といった理解が深まった。ここでは,単元終盤にあたる玉川兄弟の実績と現在の水道事業の共通点を見出す学習を紹介したい。この学びを通して児童は,今も残る先人の業績を大切にしたいという意欲を高めた。 なお,玉川上水は日本文教出版発行の新版社会科教科書4年の中でも取り上げている。ご高覧いただくことをお薦めする。板書のPoint水を確保する人々の働きについて,今と昔を比べて,つなげて考えよう。発問例これまで調べてきた玉川上水にタイトルをつけるとすると,どんな言葉が合うでしょう。玉川上水に付けたタイトルの根拠となる事実は何ですか。玉川上水が果たした役割や先人の業績について,現在の水道事業と比べると,どんな共通点がありますか。●東京都小平市立小平第六小学校主幹教諭 栗原 由紀子共通点に着目させ,水道事業の基盤をつくった玉川上水の価値にも気付かせる。今と昔の水道事業を比較・関連して考えやすいように,資料を並列して提示する。タイトルを短冊に可視化しながら,その根拠を問い返し,対話的に展開する。玉川上水タイトル玉川上水絵資料現在の水道の流れ写真資料単元名:届けよう命の水命を支えた水水を望む人々掘る工夫分水の工夫水道写真命の水浄水場写真安全な水細かい計画 命の水ダム写真水の点検と水路の確保道水源林写真森を守る上水開削の命を受ける玉川兄弟水不足に悩む江戸の人々速聴して水路を決める様子分担して開削する様子上水開通の様子上水を使う江戸の人々の様子江戸を救った玉川上水人々の生活を楽にした玉川上水人々を笑顔にした玉川上水東京を変えた玉川上水人々の工夫と協力がつまった玉川上水水道のもと玉川上水昔と今を比べると…<ちがい>・使う道具が進化している。・水を確保する取組を個人がし ているか,町全体で取り組 んでいるかのちがい。< 共通点>・努力,協力して水を得ている。・自然の力を利用している。・みんなに水を配ろうとしている人 がいる。・水は大切で生活を守るもの。学習問題:玉川兄弟たちはどのように玉川上水をつくり,それによって人々の生活はどうなったのだろう。め あ て:学習問題についての自分の考えを明らかにし,水を確保する人々の働きについて話し合おう。努力の結晶河川と取水堰写真6 社会科NAVI 2020 v ol.24