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概要

社会科NAVI Vol.24

●兵庫県西脇市立西脇中学校 横川 和成私たちの生活の中のプライバシーを考える発問例 新学習指導要領では,教科の目標として「見方・考え方」が明確に位置付けられ,現代社会を捉える基本的な枠組みを育成していくことが求められる。このような視点としての枠組みは,教えて理解するものではなく,社会的な事象や課題に対して,学習者が主体的に悩み,向き合う中で,形成されていくものであると考える。特に現代社会を扱う公民的分野では,自らに関わる生活課題を題材にして,葛藤したり,議論したりする活動を通して,習得させていく必要がある。 本稿では,生徒の生活課題として「防犯カメラ」の情報を題材とした学習を構想する。単元としては,「内容C(1)人間の尊重と日本国憲法の基本的原則」の「新しい人権」に該当する。特に,「プライバシーの権利」に焦点化する。 これまで情報モラル教育として,自らの情報機器の扱いについて注意喚起する学習が多く実践される。しかし,情報に関わる問題は個人の使用の問題だけではない。社会科では,見方・考え方を活用した公的論争として捉えさせたい。 そこで本授業では,「防犯カメラを設置すべきか」を意思決定する場面を組み込む。防犯カメラを設置すべきという主張では,危機管理や防犯につながるといった「公共性」が重視される。一方で,防犯カメラの設置をすべきではないという立場からは,プライバシー権に関わる「個人の尊重」が根拠となる。さらには,それぞれの立場から費用や効果について「効率と公正」の視点を用いて検証を加えることができる。(日文公民教科書:p.58-59に該当)板書のPoint☆新しい人権プライバシー権私生活を他人から不当に干渉されない権利 ?肖像権…写真や映像を無断で撮られたり,      それを無断で公開・使用されたりしない権利。〇〇中学校に防犯カメラを設置すべきか3年〇組の判断は…パブリシティ権著名人が持つ経済的価値を無断で利用されない権利 プライバシー権は私たちが情報を自分で管理していく権利であり, どのようなあり方が望ましいかを自分で考えていく必要がある。板書例友だちの写真をネット上にあげた事例の問題点はどこにありますか?防犯カメラのメリット・デメリットを整理してみよう。まとめは自分の言葉で整理させてもいいが,オープンエンドとして教師が「新しい人権」について説明するのがよいのではないか。全員の発表の時間は難しいので,黒板にネームプレートを貼らせることで立場の表明をさせる。クラスメートの意見がばらばらになることで,事例の葛藤を浮き彫りにする。メリット設置すべきでないデメリット設置すべき校舎外廊下教室今日のテーマ: プライバシーの権利とはどのようなものだろうか8 社会科NAVI 2020 v ol.24