ブックタイトル社会科navi Vol.8
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社会科navi Vol.8
なっているからです。それぞれの地域の社会科は確かに,学習指導要領や教科書に影響されていますが,それぞれの社会科を独自に作ろうとしているし,現に作っています。そこには,○○の社会科と呼べるものがあり,それを並べて明示してみたいと考えたからです。各地域では3・4年用の副読本が作られています。これは,学習の対象にするものが各地域であるので,各地で教科書に準ずるものを作る必要があるから,副読本を作っています。地域の社会科がそれぞれあるというのは,このような副読本作りのような理由だけではありません。地域それぞれでこだわる社会科教育観,社会科教育論があり,それにもとづいて,社会科授業を行っています。それを発掘し示すことができれば,多様性がはっきりと形となり,その理解がしやすくなるからです。その社会科教育観,社会科教育論は,歴史的にも,社会的にも,教育的にも説明できるでしょう。それぞれの教育観,教育論の違いが,その説明のしかたに影響を及ぼしています。本書で説明されているそれぞれの社会科は,読んでいただければ,どこに強調点があるのかが理解されることでしょう。第三は,それぞれの地域の社会科には先導的に指導しているリーダーがおられ,そのもとでそれぞれの社会科が育っていることです。それぞれの地域の社会科は,だれか,あるいはあるグループがそれを考え始め,そのなかに「先達」と呼ぶことができる指導者がいて,その方の社会科観,教育観が大きく影響しています。その考えが元になって,それぞれの社会科の多様性を作り出しているからです。多様性というものは,だれかがどこかではじめた教育の営為が人々のなかに継がれ,今に至っているものが集まったものです。ある場合には,だれかが一人で作り出したものもあるでしょう。しかしそれは,その人一代で終わり,継承されません。その地域で語られる社会科授業は,その社会科とその授業について考え出した人がおり,その人の周りに多くの人が集まり,グループができたり,研究会が組織されたりして,大きな仲間,集団ができ,代々引き継がれ発展させられてきたものなのです。その社会科教育観や授業観が社会科に関する多様な考えを作り出しています。その出発点,あるいは現在その継承者となっておられる方こそがその○○の社会科を担い作り出してきた人でしょう。その人を本書では,「先達」と呼び,その人にインタビューしてその地域の社会科の特色となっている○○を明らかにしようとしたのです。3.社会科のますますの活性化を期待して日本のどこの小学校でも同じ社会科が教えられ,学ばれているという暗黙のうちに,だれもがもっている考え(通念)は根深いようです。このような通念と現実の社会科は異なることを,本書は明らかにしています。本書だけでは到底,描ききれない数多くの先達や多様な社会科が全国各地に,まだまだ埋もれているはずです。我々がこうあるべき,という縛りを解放してみた時に新たに見えてくる社会科の秘めた可能性も,残されているのではないでしょうか。本書をきっかけとして,日本の多様で活発な社会科の姿を発信できる場が,ますます活性化することを願うところです。17