ブックタイトル社会科navi Vol.8
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社会科navi Vol.8
特集これからの社会科教育にのぞむもの法教育のさらなる充実に向けて福井大学准教授橋本康弘1.改訂学習指導要領下における法教育改訂学習指導要領が告示されて数年がたった。改訂学習指導要領には,小学校・中学校社会科,高等学校公民科で,下記のように法教育が取り入れられた(表1を参照)。日本の法教育は,元々は,アメリカ合衆国の法関連教育(Law-RelatedEducation)に由来し,アメリカ合衆国の法関連教育を「下敷き」にして,法務省法教育研究会が,「日本版法教育」を下記のように定義したところから始まる。「法教育」とは広く解釈すれば,法や司法に関する教育全般を指す言葉である。(中略)法や司法制度,これらの基礎になっている価値を理解し,法的なものの考え方を身に付けるための教育を特に意味するものである1)。この定義を踏まえ,法務省と文部科学省が協働して,改訂学習指導要領に法教育の内容が取り入れられることとなった。表1を見てもわかるように,法や司法制度,これらの基礎になっている価値としての「公正」「正義」が特出しされて学習することになったし,「法的なものの考え方」の学習を充実させるために,「法に関する基本的な見方や考え方」「私法に関する基本的な考え方」の学習が組み込まれた。また,裁判員制度の導入もあり,裁判員に加わる市民として持たないといけない知識,資質・能力(証拠の読み解き方,証拠の多面性の理解,刑事裁判手続きの理解)に焦点化して,「国民の司法参加」「裁判員制度」の学習の充実も図られた。改訂学習指導要領の中で,新しい内容が大幅に組み入れられたのは,法教育のみであり,改訂学習指導要領では,それだけ法教育が重視されたと言えよう。2.法教育が重視される背景法教育が重視される理由は,一般的には,「裁判員制度」の導入がその背景にあると考えられがちであるが,筆者はいささか違う見解を持っている。その見解とは,(1)市民性教育の柱として法教育が重視されている点,(2)キーコンピテンシー教育の柱として法教育が重視されている点,である。(1)市民性教育の柱としての法教育現在の日本は,少子高齢社会となっている。内閣府の調査によると,日本の高齢化率は,世界最高水準であり,2060年には高齢化率は約40%にな学年段階・科目学習指導要領に示される法教育の内容「地域の人々の生活にとって必要な廃棄物の処理」,「地域社会における災害及び事故の防止」の中で小学社会3・4年「地域の社会生活を営む上で大切な法やきまりを扱う」(内容の取扱い)我が国の「政治の働き」の学習の中で「国会と内閣と裁判所の三権相互の関係,国民の司法参加」な小学社会6年どについても扱うようにすること(内容の取扱い)社会生活における物事の決定の仕方,きまりの意義について考えさせ,現代社会をとらえる見方や考中学社会え方の基礎として,対立と合意,効率と公正などについて理解させる(内容?イ),「法に基づく公正公民的分野な裁判の保障」に関連させて,裁判員制度について触れること。など。現代社会における諸課題を扱う中で,(中略),幸福,正義,公正などについて理解させる(内容?)。法に高等学校関する基本的な見方や考え方を身につけさせるとともに,裁判員制度についても取り扱うこと(内容?ウ「現代社会」の取扱い)。経済活動を支える私法に関する基本的な考え方についても触れる(内容?エの取扱い)。など※高校・「政治・経済」についても,法教育が充実されたが,「現代社会」と内容が重複するので,割愛する。表1改訂学習指導要領社会科・公民科における法教育(筆者作成)6