文部科学省は,放課後や週末にスポーツや文化活動を楽しめる「子どもの居場所」を来年度から2年かけて,全国の小学校14,000校に設置することとした。関連経費として約125億円が来年度予算の概算要求に盛り込まれている。
この事業の背景には,小中学生が関係する凶悪事件,長崎の幼児殺害,東京の四女児監禁事件などが相次いだことや,子どもが非行や暴力行為など問題行動を繰り返すのは,「家に帰っても誰もいなかったり,家庭崩壊していることも要因」(遠山敦子前文科相)といった家庭や地域の「教育力」低下の実態がある。
「子どもの居場所」は平日の放課後,午後4時から同7時,土日の午後2時から同7時まで小学校を開放し,小中学生がスポーツ,絵画や陶芸といった文化活動,パソコン教室などさまざまな体験活動ができるようにする。
来年度はまず,公立小学校7,000校に居場所を設置,2年目に約23,000ある公立小学校のうち,規模の大きな14,000校まで拡大する。
子どもたちを指導するのは退職した教員,大学生,民生委員,保護司,社会教育団体やスポーツクラブの指導員,PTA関係者ら。ボランティアとして登録し,1校につき3人を派遣する。
子どもの居場所の体験メニューをつくったり,地域の人材を発掘して活用するコーディネーターも1,700市町村にそれぞれ4人ずつ配置する。
以上が「子どもの居場所」づくり事業の概要である。
予算の規模といい,全国の市町村を巻き込み,14,000校という多くの小学校で実施することといい,そのスケールからいって,来年度の文科省の事業の目玉といっていいだろう。