No.46 平成19年6月 発行
教育再生会議では、「教員免許更新制度」の導入など、改めて、教員の資質能力が問い直されている。教員にとっては依然として厳しい状況が続いている。しかし、教育の営みは、日本国民の育成であり、その重要な役割を担っていることは事実である。
平成18年7月に、中央教育審議会が「今後の教員養成・免許制度の在り方について」の答申を出している。そこで、教員の資質向上に対する様々な要因・側面としてあげられたことは、概ね次のようなことである。
つづけて、答申は、教員養成・免許制度の改革の重要性を、次のように述べている。
これからの社会や学校教育の姿を展望しつつ、教員を取り巻く現状等を考慮すると、現在、教員に最も求められていることは広く国民や社会から尊敬と信頼を得られるような存在となることである。
このためには、養成・採用・現職研修等の各段階における改革を総合的に進めることが必要である。とりわけ、教員養成・免許制度の改革は、他の改革の出発点に位置づけられるものであり、重要である。
ここで言う「教員養成・免許制度の改革」が、今進められている「教職大学院構想」であり、すでに、全国にある教員養成大学では、制度設計も終わり、設置に向けた具体的なアクションを起こしている段階にある。
これまでの教員養成は、主に短期大学や大学の学部教育で行われてきた。しかし、それだけでは、教員に対するより高い専門性を求める国民や社会の要請に応えることができないという議論が中央審議会などで行われてきた。そのため、「教職大学院」は、国民や社会の要請に応える専門性の高い教員を養成する目的で6年一貫教育を行う、新しいタイプの大学院である。 現段階で「教職大学院構想」は、次のような目的・機能を想定している。
また、この構想は学校教育法の「専門職大学院の規定」に基づくために、これまでの大学院とは明らかに違う内容を予定している。
例えば、「実務家教員」の採用である。大学院での教育内容や方法は実践的な事例研究や討論などが中心になるため、学校での経験や実践的な力量を持つ現職教員や管理職等が「実務家教員」として採用されることになる。したがって、理論と実践の融合を目指す本構想を、より円滑に推進し、確実な設置に結びつけるためには、小・中・高等学校との連携協力をいっそう強め、また、「実務家教員」の採用に当たっては、都道府県教育委員会との人事交流など、これまで以上の大学と教育行政の連携・協力体制が必要になってくる。