No.71 平成21年3月 発行
先日、ある小学校長から教育目標について相談された。その内容は、次のようなことである。
本校の学校教育目標は、「かしこく やさしく たくましく」です。来年度は、もっと具体的な教育目標に変えたいと思っています。しかし、校庭には、「かしこく やさしく たくましく」という石碑があり、大変悩んでいます。どうしたらよいでしょうか。
昨年の7月に「学校の教育目標に関するアンケート調査」を、小・中学校の約1000校に対して実施した。質問項目の1つに「校長の教育目標に対するイメージ」があり、自由記述で回答してもらった。それをまとめると、おおよそ次の20のいずれかに分類することができた。
これらの中で、5.6.7.がそれぞれ14%程度で、もっとも高い率を示している。次に高いのは、2.4.10.11.であり、それぞれ8~12%である。1.の「長期的な目標であり、簡単に変えるべきでない」は、2%くらいであった。
教育目標の継続年数も回答してもらった。その結果は、小・中学校ともに、だいたい10年くらいで変えており、3~4年と7~8年のところに山がある。もっと、長い年数なのかと思っていたが、意外に短いことが分かった。しかし、中学校では、60年を超している学校が3%もあることには驚いてしまった。
次に、今年度に教育目標を変えた3つの学校について詳しく見ると、変える前の教育目標と変えた後の教育目標は、次のようであった。
前 | 後 |
健康な子ども、賢い子ども | 健康な子ども 賢い子ども 広くかかわれる子ども |
かしこく、明るく、たくましく | かしこく、明るく、たくましく 地域を知り愛する |
心、技、体 | 豊かなかかわりの中で、学び合い高め合ういのち輝く子どもの育成 |
2つの学校の教育目標は、部分的な変更であり、ほとんど変わっていない。しかし、学校としては、「教育目標を変えた」という認識である。
そして、教育目標を変える理由について尋ねると、次のような回答があった。
目標は目指すものではなく、達成するものである。教育目標の「目的化」が目立つ。目的と目標を明確に区別する必要があるのではないか。