ブックタイトル令和3年度版「美術」内容解説資料
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令和3年度版「美術」内容解説資料
14 15美術の授業を通して生徒と向き合っている全国の先生方と繰り返し検討を行い,3学年の発達の段階を踏まえ,各冊に題材を設定し,特設企画,巻末資料を充実させました。3冊を通して系統立てられた題材構成で生徒の資質・能力をさらに高め,各学年でのきめ細かい学習指導ができるようにしました。3分冊で深まる学び3年間の発達の段階に即した題材設定?「主題を生み出す詳しい工夫」は 20ページをご覧ください?「他教科や,地域社会との関連」は 34ページをご覧ください?「社会的な課題との関連」は 40ページをご覧ください?「教科書構成一覧」は48ページをご覧ください「図画工作」から「美術」へと教科名が変わる中学1年生では,美術の楽しさや心を豊かにしてくれる世界を体験していきます。身の回りにあるものを形や色彩の視点から見つめ直すことで,新しい発見やイメージが広がることに気付きます。これまでにない見方や感じ方と出会いながら,自分らしさが形づくられていきます。中学2年生では,作品への理解を深め,試行錯誤によって学びを実感することを目指します。幅広いジャンルの作品に触れながら,作者の意図や技法,表現の可能性について学びます。それまでの価値観が揺さぶられ,物事の本質を見いだそうとする姿勢が養われていきます。中学3年生では,自己を掘り下げ,新しい価値を生み出していくことに挑戦します。さらに社会や環境の問題へと視野を広げ,美術の力で貢献する方法を学びます。自分の将来を見つめる時期,多様な価値観の存在を理解し,創造的な未来の在り方を探ります。生徒作品焼しょう却きゃく所じょ[ アクリル・紙/54×38cm]使い古されて風化した感じや,形も面白いと思いました。背景は明るく焼却所は暗いという見た時の印象を表現しました。作者の 言葉作者の表したいことと,構図や色の使い方に着目してみよう。「出られた!長かった!」みぞの中から葉っぱが外に向かって生き生きと生えていて,その力強さや美しさを表現したいと思いました。作者の 言葉生徒作品 新しい世界へ[アクリル・紙/38×54cm]雨 [紙し本ほん着ちゃく色しょく/108.7×86.5cm] 1953 東京国立近代美術館蔵 福ふく田だ平へい八はち郎ろう[ 大分県・1892~1974]屋や根ね瓦がわらに落ちては消えていく雨あま粒つぶを生き物の足あし跡あとのように感じた作者の視点が,色彩の重なりから伝わってくる。 あなたは,通学路や家などの見慣れた情景の中で,なぜか気になる心ひかれるような場所や,ものに出会ったことはないでしょうか。何気ないものでも,形や色彩,全体の様子などに着目すると何かに見えてきたり,もののつぶやきが聞こえてくるようなイメージが生まれたりします。 あなたの視点で見つけた情景を,表現方法を工夫して表してみましょう。気になるところを見つけたら気になるところを校内や通学路などで見つけた時は,カメラで記録したりスケッチしたりしてみましょう。兄弟のように並んだ木の実の写真と,川の水面をとらえたスケッチ。いつもポツンとそこにあり,きれいな水を出し,光に当たって独特のさびしさと美しさを持つ,この蛇口にひかれました。作者の 言葉生徒作品[アクリル・紙/35.5×35cm]蛇じゃ口ぐち生徒作品 スロープの先[ アクリル・紙/38×54cm]スロープの先は,いつも待ち合わせをする場所で好きな時間を過ごせる所です。手前の木は庭師の方が手入れをしていて温かみを感じる形です。作者の 言葉参照P.62「遠近感を表す」セーヌ川に面した開いた窓,ヴェルノンにて[油ゆ彩さい・キャンヴァス/74×113cm] 1911ころ ジュール・シェレ美術館ニース蔵[フランス]ピエール・ボナール[フランス・1867~1947]窓越ごしの明るい風景と室内の暗さが,色や構図で印象的に表現されている。絵や彫刻などなぜか気になる情景あなたなりの視点で描えがく表現鑑賞[学びの目標]気になる場所を見つけ,その特とく徴ちょうをとらえて表すことに関心を持ち,意欲的に取り組む。身近な場所のイメージなどをもとに,形や色彩,構図などの工夫を考え,構想を練ったり鑑かん賞しょうしたりする。形や色しき彩さい,全体の様子などに着目し,そこから生じるイメージをとらえ,絵の具の使い方を工夫して表す。16 172021_1_P16-17_E13_見本.indd 全ページ2020/02/20 12:23 1p.16-17「自分のつくった鉄てつ瓶びんが長年使われて修理を依頼されると,さらに喜びを感じます。」保温性に優れた南部鉄器のよさを生かし,現代の生活に合った道具もつくられている。鮮やかに着色された急須は,日本の家庭だけでなく諸外国にも輸出されている。カラフルな急きゅう須す伝統工芸士 三代目清きよ茂しげ完成した鋳型に1400 ~1500 ℃の溶かした鉄を流し込み固める。八や重え樫がし亮あきら[岩手県・1970~]人は古くから植物を染料として用いてきました。草木の持つ色素で,蚕かいこの繭まゆからつむいだ絹きぬ糸いとを染めるのです。色素の定着にはミョウバンや灰あ汁くなどの媒ばい染せん剤が用いられます。華はなやかな色彩の重なりが美しい,紬つむぎ織おりと呼ばれる丈夫な衣料である。舞まい姫ひめ[染料(紅べに花ばな・藍あい・刈かり安やす・梔くち子なし)・絹糸/丈たけ178×裄ゆき54.237cm] 2013「喜びをもって,白い糸に自分の夢を託たくし,より美しいものを創り出そうと懸けん命めいである。」手の技と作品とを,じっくり見てみよう。アラレ文様が美しい,丈夫で長持ちする鉄瓶。使い込むほどに風合いが生まれてくる。南部鉄器 [漆うるし・鉄/24×21×18cm]染織家,重要無形文化財保持者(人間国宝) 染めた色糸からも発想を膨ふくらませデザイン画を考えて,一本一本の糸を織り込んでいく。志し村むらふくみ[滋賀県・1924~]岩手県の南なん部ぶ鉄てっ器きは,鉄を流し込む鋳い型がたづくりからはじまります。表面の「アラレ」と呼ばれる突起は,一粒一粒,手で文様捺おしされてできています。参照美術2・3下P.53「受け継ぐ伝統と文化」参照美術2・3下P.36~37「私の色 みんなの色」野原の草花や,木々から染められた色いろ糸いと。同じ植物でも季節や染め方により,さまざまな表情を見せる。 日本の伝統工芸は作品一つ一つが人の手でつくられており,指先の力加減による技や,材料と向き合う心などは現在も受け継がれています。また,伝統の技を生かしながら,現代の生活に合った作品を生み出す取り組みもあります。 つくる人と使う人,過去から現代そして未来へ,それぞれの手から手へ受け継がれながら,私たちの生活の中に生きる伝統工芸について考えてみましょう。優れた文化の継承と新しい文化の創造に貢こう献けんしよう。デザインや工芸など手から手へ受け継ぐ伝統工芸の技と心を知る鑑賞[学びの目標]工芸作品とそれらを生み出す手による技の素晴らしさなどに関心を持ち,意欲的に鑑賞に取り組む。人の手による技の素晴らしさや作品の美しさ,作者の意図と創造的な工夫などについて考え,鑑賞する。形や色彩,材料,技法などに着目し,作風や印象などをとらえる。32 332021_2_P32-33_K23_見本.indd 全ページ2020/02/20 13:07 2・3上p.32-33公共の精神を持って,よりよい社会の実現に努める。道をデザインしよう道もさまざまなデザインがされています。住んでいる地域の道を調査したり,アイデアを話し合ったりして,安全や機能の面だけでなく,夢や希望,未来につながる道のデザインを考えてみましょう。通る人に対してどんな工夫がされているだろうか。縁石に見えるトリックアートが描かれている。ドライバーに道路を狭く感じさせ,減速を促うながす効果が期待できる。車のスピードを落とさせるためのデザイン[ 石川県]駅につながる2階の人工地盤上にケヤキが立ち並んでいる広場。自然と共生するやすらぎと憩いこいの空間となっている。さいたま新しん都と心しん「けやきひろば」[ 埼玉県]住んでいる地域の道がどのようにデザインされているか観察する。①身近にある道を観察するつくりたい道を具体的にイメージしながら,アイデアスケッチを作成する。②アイデアスケッチをつくるアイデアスケッチをもとに,道のデザインの模型を作成する。③模型を制作する制作意図やデザインで工夫したポイントなどを発表し合う。④お互いに発表する草の植え込みの前に,光が拡散するようにカラフルな反射板を施ほどこした。[反射板]クレヨン型の照明。街灯だけでは照らしきれない足元を照らす。[照明]透明な分度器型のガードレール。安全性を考慮して先が見えるようになっている。[ガードレール]手で持っている鉛筆型の街灯。ユニークなオブジェの役割も果たしている。[街灯]テーマは文房具店につながるすてきな道。さまざまな文具をモチーフにしたデザインにして,この道を通る人に明るい気分になってもらいたいと思います。驚きあふれる文具ロード[ 紙・木・加工粘ねん土ど生徒作品 ・プラスチック・毛糸・スチロール棒・発はっ泡ぽうスチロール/16×20×20cm]作者の 言葉絵の具風のペイントをあしらい,楽しいイメージにした。[歩道] 快適で暮らしやすい環境とは,どのようなものでしょうか。身近な環境の一つである道や公共広場などを例に見てみましょう。 普段何気なく歩いている道や広場は,周辺の景観も含めて美しいことが望まれます。また,通る人や使う人の立場に立った工夫があります。そして,利便性だけでなく,心地よさや安全性にも配慮が必要です。 未来の社会を見据すえ,自然との共生,心和む美しさなど総合的な視点で,これからの環境について考えてみましょう。点在するアートを結ぶ遊歩道。山道やあぜ道を利用し,環境に配慮したデザインになっている。遊歩道整備計画 2000 大地の芸術祭 越えち後ご妻つま有りアートトリエンナーレ[新潟県]CクリップLIPデザインや工芸など人が生きる社会と未来快適な道を考え,表す表現鑑賞[学びの目標]通る人の思いなどを考えて道をデザインすることに関心を持ち,意欲的に取り組む。道としての機能,通る人の心情や安全性などをもとに,形や色彩,材料,空間などの効果を考え,構想を練ったり,鑑賞したりする。形や色彩,空間や機能に着目し,道のイメージをとらえ,材料や用具の特性を生かし,見通しを持って表す。44 452021_3_P44-45_D37_見本.indd 全ページ2020/02/20 13:36 2・3下p.44-45主題を生み出しやすい身近な対象「主体的な学び」につなげるため,自ら主題を生み出しやすい身近なものや風景を扱う題材を設定しています。● 発想のきっかけづくりに役立つ活動例を,情景写真やスケッチと 併せて掲載しました。● 作者の言葉や作品解説で作者の工夫や見方を知ることで,自身の 作品の構想を深める手立てになります。生活に息づく伝統工芸への理解受け継がれる伝統工芸を,つくり手や使い手の視点から鑑賞し,継承と創造の気持ちが持てる題材を設定しています。● 参照マークで,2・3下掲載の染色を扱う題材と関連を図ることで, 自身の表現活動にも生かすことができます。● 生活の中の美術文化との関わり方や,キャリア教育の視点を育む ことにもつながります。課題解決型の学習で,社会に生きるデザインを考える学びを深められる中学3年生にふさわしい,社会や環境に関わることをねらいとした題材を設定しています。● 美術の働きが,どのように社会に生かされるのかを考えられる題材 設定にしました。● 制作過程で,他者との対話による言語能力や,調査を行う情報活用 能力,問題発見・解決能力を育むことができます。1年生ならではの題材例2年生ならではの題材例3年生ならではの題材例美術との出会い 学びの実感と広がり 学びの探求と未来特色1 授業を考え抜いた教科書中学2年生と3年生の違いが意識できる構成です。美術科は,心の成長や知的な理解力の深まりとともに学びが変容していく教科です。中学2年生と3年生では成長の度合いに違いがあり,新学習指導要領にも「 第2学年と第3学年の発達の特性を考慮して内容の選択や,一題材に充てる時間数などについて十分検討すること」 が新たに記載されました。本教科書は,発達の段階に即した3分冊構成で,各学年に応じた学習指導を行っていただけるように編集しています。代表著作者村むら上かみ尚ひさ徳のり先生(IPU・環太平洋大学教授・副学長)