ブックタイトル令和3年度版「美術」内容解説資料
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令和3年度版「美術」内容解説資料
20 21主題を生み出す発想や構想の手立て生徒の「やってみたい」を引き出し,自ら主題を生み出せるように,たくさんのヒントを掲載しました。さまざまな作品や情景写真,作者の言葉を取り上げることで,発想や構想に関する資質・能力を育み,生徒一人一人の表現の幅が広がるように配慮しました。作家の発想方法を紹介アイデアスケッチや作品をヒントに発想を引き出し,構想を深める手掛かりとなるアイデアスケッチや生徒作品,作家作品を多数掲載しています。メモ描きをノートに貯めることからアイデアを生み出すアーティストの鈴木康広さん。本教科書では,中学生にも分かりやすい発想や構想の手立てをインタビューで伺いました。 あなたは,通学路や家などの見慣れた情景の中で,なぜか気になる心ひかれるような場所や,ものに出会ったことはないでしょうか。何気ないものでも,形や色彩,全体の様子などに着目すると何かに見えてきたり,もののつぶやきが聞こえてくるようなイメージが生まれたりします。 あなたの視点で見つけた情景を,表現方法を工夫して表してみましょう。気になるところを見つけたら気になるところを校内や通学路などで見つけた時は,カメラで記録したりスケッチしたりしてみましょう。兄弟のように並んだ木の実の写真と,川の水面をとらえたスケッチ。いつもポツンとそこにあり,きれいな水を出し,光に当たって独特のさびしさと美しさを持つ,この蛇口にひかれました。作者の 言葉生徒作品[アクリル・紙/35.5×35cm]蛇じゃ口ぐち生徒作品 スロープの先[ アクリル・紙/38×54cm]スロープの先は,いつも待ち合わせをする場所で好きな時間を過ごせる所です。手前の木は庭師の方が手入れをしていて温かみを感じる形です。作者の 言葉参照P.62「遠近感を表す」セーヌ川に面した開いた窓,ヴェルノンにて[油ゆ彩さい・キャンヴァス/74×113cm] 1911ころ ジュール・シェレ美術館ニース蔵[フランス]ピエール・ボナール[フランス・1867~1947]窓越ご しの明るい風景と室内の暗さが,色や構図で印象的に表現されている。絵や彫刻などなぜか気になる情景あなたなりの視点で描えがく表現鑑賞[学びの目標]気になる場所を見つけ,その特とく徴ちょうをとらえて表すことに関心を持ち,意欲的に取り組む。身近な場所のイメージなどをもとに,形や色彩,構図などの工夫を考え,構想を練ったり鑑かん賞しょうしたりする。形や色しき彩さい,全体の様子などに着目し,そこから生じるイメージをとらえ,絵の具の使い方を工夫して表す。1p.16-17「なぜか気になる情景」1p.48-49「わくわくコミュニケーション」1p.58-59「発想・構想の手立て」[ 制作の流れ]アイデアスケッチ忘れてたけどおもしろいな…?構想を練る道具を使って手を動かしている時だけが制作ではありません。アイデアを考えることが作品づくりの第一歩です。制作の流れを確認し,全体のイメージをつかみましょう。アイデアは,これまでの経験や生活の中での気づきから生まれてきます。マッピングなどの方法を使ったり,スケッチを描えがいたりしながら,作品のもとになる構想を練ってみましょう。発想したことを絵や言葉で表す方法。制作途と 中ちゅうで描かき足したり,周りの人に相談したりすると,今まで思いつかなかったアイデアが生まれることもある。自分なりの主題(テーマ)を決め,そこから表現したい作品をつくりましょう。制作を進めていく中でもっとやりたいことが出てきたら,方向転てん換かんしても構いません。?主題を決める・ 作品をつくる展示は作品を見てもらうよい機会です。周りの人に相談しながら場所や鑑かん賞しょう方法を考えて展示すると,作品がより引き立ちます。?作品を展示する一つのテーマから連想した言葉やイメージをつなげていく方法。頭に浮う かんだことをどんどん書いてみる。絵や写真を入れてもよい。マッピング発想・構想の手立て鈴木康広さんは身の回りにあるものから着想を得て,さまざまな作品をつくってきました。鈴木さんの発想を探ると,普ふ 段だんの生活の中にもアイデアの種がひそんでいることがわかります。学びを支える資料鑑賞カード型のメモに描いていた時期もあったそう。台紙を折るとまた見え方が変わる。鈴木さんの研究室に並んでいるものは,発想の源になりそうな面白いものばかり。「今までにつくった作品は,完成ではなくいつでもバージョンアップできると思っています。この『ファスナーの船』も,将来は各国の子どもたちを乗せて世界を旅する豪ごう華か客船にしたいですね。」大きな旅客船が地球をひらくイメージのスケッチ。瀬せ戸と内うち国際芸術祭2010に出展「『じゃがいもの個性』という言葉をつけたら,描いたくぼみが顔に見えてきました。」一から面白いアイデアを考えようと思っても,なかなか簡単には思いつかないもの。そんな時は,身近なものをヒントにするのがよいと鈴木さんは言います。「頭の片かた隅すみで課題を意識しながら生活すると,ペンでも筆箱でも,おや?と思ったものが全てヒントになるんです。」ファスナーの船[発はっ泡ぽうスチロール・ウレタン塗と装そう・繊維強化プラスチック・漁船/300×1137×465cm] 2010わくわくしたことや気になったことをその都度ノートにスケッチするのが鈴木さん流。最初のページから順番に使うのではなく,たまたま開いたページにランダムに描いていくため,ノート約300冊が今も現役で活かつ躍やくしています。ときめきを貯めておく身近なものから考えるアーティスト鈴すず木き康やす広ひろさんは描いたら一度寝ねかせて久々に見ると,絵の見え方が変わる。見直す生徒作品 私の種から広がる世界[鉛えん筆ぴつ・紙/36×51.6×6.5cm]生徒作品身近な出来事を想像して[ペン・紙/17.3×23.8cm]鈴木さんのノートには,アイデアを生み出すポイントがたくさんあります。実じっ践せんしてみると,新たな発見があるかもしれません。鈴木さん式ノート活用術別の絵を描けるように,未来に向けて余白を残しておくのがポイント。余白を広くとるすでに絵が描いてあるページに別の絵を描くと,思いがけない発想につながる。描き足すファスナーの船[繊せん維い強化プラスチック・モーター・ラジオコントロールユニット/25×60×20cm] 2004晩ごはんのギョウザだって,見方次第でヒントになりますよ!鈴木康広1979 年,静岡県浜はま松まつ市生まれ。武むさ蔵し野の美術大学空間演出デザイン学科准じゅん教きょう授じゅ,東京大学先せん端たん科学技術研究センター客員研究員。日常にあるものを独自の視点でとらえ直しながら,だれもが持つ原体験に共鳴するような作品を制作している。生徒作品ラヴェル作曲「水の戯たわむれ」を点と色で表現する[ 水すい彩さい・ペン・紙/13×13cm]58 592021_1_P58-59_見本.indd 全ページ2020/02/20 12:552・3下p.42-43「心がほっとなごむもの」作者の言葉作品の主題や,工夫したポイントが分かり,発想や構想を深めるヒントになります。興味を広げるコラム題材のねらいに関連した海外文化の紹介など,学びが広がる情報を掲載しています。2・3下p.8-11「今を生きる私へ」生徒作品 自画像[ 油彩・キャンヴァス/45×38cm]自画像[インク・紙/24.7×15.4cm] 1955 ニューヨーク近代美術館蔵[ アメリカ] ベン・シャーン[リトアニア・1898~1969]画家の10代の自画像画家や表現者となった人たちは,10代の自分をどう描いたのでしょうか。自画像[油彩・キャンヴァス/46.4×31.5cm] 1896 ピカソ美術館蔵[ スペイン] パブロ・ピカソ[ スペイン・1881~1973]ピカソが15歳の時に描いた肖しょう像ぞう。参照P.24~29「あの日を忘れない」ラファエロ風の首をした自画像[油彩・キャンヴァス/40.5×53cm] 1921ころ ガラ=サルヴァドール・ダリ財団蔵[ スペイン] サルヴァドール・ダリ[ スペイン・1904~89]ダリが17歳ころに描いた,前衛的な表現。参照P.12~13「空想は現実を超こ えて」日本画家の道を歩み出す前の15歳の姿。自画像[油彩・キャンヴァス/33×23cm] 1923 長野県信しな濃の美術館 東ひがし山やま魁かい夷い館蔵 東山魁夷[神奈川県・1908~99]生徒作品 自画像[ 鉛筆・水彩・紙/26.5×38cm]今の自分が好きではありません。自信がなくて,努力が続かなくて……だめな自分を顔いっぱいに表現しました。色づかいを明るくしたのは,これから明るくなれるために頑がん張ばろうという想いです。作者の 言葉この人物のイメージや印象は,どこから感じるだろうか。 私たち一人一人の内面にはさまざまな顔があります。楽しい時間を過ごしている自分,将来への期待や不安に揺れる自分。中学3年生という,今しかないこの時,自分はどんな顔や心を持っているのでしょうか。表情やしぐさ,構図,背景,色彩などを工夫し,自分の気持ちや心の内面を表現するために,自分と対話して探ってみましょう。絵や彫刻など今を生きる私へ自分に向き合って表す表現鑑賞[学びの目標]心の中を見つめ,自画像で表すことに関心を持ち,意欲的に取り組む。心の内面や顔のイメージをもとに,構図や表情などの効果を考え,構想を練ったり鑑賞したりする。構図や顔の角度,表情やしぐさ,背景,色彩などに着目し,印象などをとらえ,絵の具や用具の特性を生かして表す。温かい人間愛の精神を深め,他人に対し思いやりの心を持とう。ティーバッグホルダー[施釉・磁土・ステンレス/6×11×11cm]千ち星ぼし健たけ夫お[ 兵庫県・1976~]しょうゆを注ぐとサクラの形が浮かび上がる驚きとユーモアのあるデザイン。[施釉・磁土/2×11×11cm]しょうゆ小皿ななつなないす[ 木/全長234.5cm] 中なか村むら好よし文ふみ[ 千葉県・1948~]1枚の板から七つの座面が切り出されたいす。このうち六つは世界の名作いすがモチーフになっている。木目をつなげて遊べるようになっており,子どもに楽しんで欲しいという思いや遊び心が込められている。ポチャンと一滴…[施釉・陶土/15×13×21cm]生徒作品お母さんに「お香やキャンドル立て」としてプレゼントしようと思い,一生懸けん命めいにつくりました。作者の 言葉願いを込めた贈り物世界各地に,願いや祈りを込めた手づくりのものを大切な人に贈る文化が受け継がれています。どんな手づくりのものがあるのか調べてみましょう。贈られた赤ちゃんは,一生食べものに困らないといわれている。銀のスプーン(ヨーロッパのお祝い) マルテニツァ( ブルガリアのお守り)紅白の糸で編まれた古くから伝わるお守りで,毎春,これからの1年の健康と幸運を祈って大切な人と贈り合う。葉っぱの形のお皿[合成樹脂・木/1.5×18×16cm]生徒作品食べ物やお菓子をのせる時に分けやすいように二つに分けました。合わせたらハートの形になるように工夫しました。作者の 言葉生徒作品朝日を浴びた美しい睡すい蓮れん[施せ釉ゆう・ガラス・陶とう土ど/12×20×16cm]睡蓮の形をしたこのアクセサリー置きは,花びらにネックレスをかけたり,葉のくぼみに指輪を置いたりできるよう工夫されている。 日々の生活の中に,楽しさや面白さを考えた手づくりのものや製品を取り入れると豊かな気持ちになれます。形や色彩,素材感,使い勝手のよさに加え,遊び心を生かすことで使う人を楽しませる作品をつくることができます。 使用する場所や,使う人にどのような気持ちになって欲しいかを想像しながら,材料の特性を生かし,温かみや遊び心が感じられるものを,思いを込めてつくりましょう。足跡を残すはんこはんこ[石/3×8×2cm]箱[色鉛筆・ペン・紙/3.5×8.5×3cm]生徒作品靴くつ底ぞこが,はんこになっている。生活の中で実際に使ってみよう。使う時のよさや楽しさは,どこから感じられるだろうか。デザインや工芸など表現鑑賞心がほっとなごむもの使う人のことを思ってつくる[学びの目標]遊び心などを生かして,使う人のことを考えたものをデザインすることに関心を持ち,意欲的に取り組む。使う目的や条件,使う人への作用をもとに,使いやすさや遊び心,形や色彩などの効果を考え,構想を練ったり鑑賞したりする。形や色彩,材料の性質や効果に着目し,遊び心などをとらえ,材料や用具の特性を生かし,見通しを持って表す。42 432021_3_P42-43_D35_見本.indd 全ページ2020/02/20 13:332・3上p.36-37「ジジジチカピカ ポッ ポッ パッ」情景写真を多数掲載素材の特徴から着想を得たり,活動写真から「自分は,こうやってみよう!」と主体的に考えたりできるような,制作のヒントが詰まっています。試しながら気に入った光や色彩,模様が出たら忘れないようにカメラで記録する。空間に影をつくろう影にも着目し空間を飾りましょう。材料や光源の工夫によって変わる光や影の表情を楽しみましょう。LEDライトやペットボトルなどを使って,光の透過や反射など試しながら発想し,作品づくりにつなげよう。光の違いを比べて感じよう自然の光人工の光●? 木もれ日 ●? ステンドグラス ●? ●? ●? ●? ●? ●?部屋に置いた時,光の花があったら癒いやされると思いつくりました。色はそれほど塗ぬらずにテラコッタそのものの色を生かしました。作者の 言葉生徒作品 光の花[陶土・石こう・アクリル/18×19×22cm]光の通し方は,素材によって違うことがわかった。手で和紙をちぎり,くしゃくしゃにして温かみのあるあかりになったので,白い壁の家に飾ることが楽しみです。作者の 言葉生徒作品 カラフル[和紙・角材・竹ひご・毛糸・セロファン/15×15×14cm]生徒作品orikiriori[ 紙・LEDライト/30×28×11cm]雪景色をさまざまな模様のランプシェードで演出している。銅製行あん灯どん[ 銅・絵ろうそく/ 各30×11.5×11.5cm] 私たちの生活に欠くことのできない光は,季節や天気や時間などによって変化しながら,いろいろな表情を見せてくれます。また,人工的に光をつくり出すこともできます。光をつくることは,同時に影をつくることを意味します。光や影は,生活に安らぎやうるおいをもたらしてくれます。 人に与える光と影の効果を考え,身近な空間を美しく演出してみましょう。光の印象は,ランプシェードのどのような工夫から生じるのだろうか。生徒作品デザインや工芸などジジジチカピカポッ ポッ パッ空間に光を飾ろう表現鑑賞[学びの目標]光や影の効果を生かしてデザインすることに関心を持ち,意欲的に取り組む。光がつくり出す空間の美しさ,使う場面などをもとに,光の色や影の効果を考え,構想を練ったり鑑賞したりする。光の形や色彩の変化などに着目し,空間に与える印象をとらえ,材料や用具の特性を生かし,見通しを持って表す。1p.52-53「暮らしに息づく土の造形」蕎麦猪口蕎そ麦ば猪ちょ口こ勢いよくた鮮あざやか打うち薬やく三さん彩さ[施釉・陶14cm]1965児こ玉だま美術館河かわ井い寛かん次じ郎ろ[島根県・形づくられた粘ねん土ど は,焼しょう成せい窯がまで焼かれる。参照 P.67「焼き物をつくる」生徒作品 大皿ダイナミックな造形と釉ゆう薬やくの輝かがやきが生かされた器。[施せ釉ゆう・陶とう土ど/高さ7×径25cm]生徒作品 花器[施釉・陶土/高さ16×径12cm]植物の葉やつぼみを思わせるような造形で,生けられた花を引き立てている。生徒作品 フラワーティーカップ[施釉・陶土/高さ7×口径10cm]粘土をねじったり,はりつけたり土の造形性を生かしてつくられた。粘土は重く乾かわきやすい。素材の特とく徴ちょうをつかんで思い通りにつくろう。 いつも使っている皿や茶碗などを改めてじっくり見てみましょう。形や色彩,手て触ざわりなどからどんな感じを受けますか。土は平面や曲面を自由に形づくることができ,焼き物は昔から生活に欠かせない道具としてつくられてきました。そこには使うためのたくさんの工夫があり,心ひかれる形や色合いなどの美しさも追求されてきました。 どんな場所で,だれがどのように使うものかを考え,土の感かん触しょくを味わいながら,使いたくなる焼き物をつくってみましょう。参照P.6552 特色2 生徒が自ら学びたくなる教科書