ブックタイトル令和3年度版「中学道徳 あすを生きる」内容解説資料

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令和3年度版「中学道徳 あすを生きる」内容解説資料

15 10 5 15 10 563 10 あったほうがいい ? 10 あったほうがいい ? 62「うわぁー、踏ふんじゃったー。」靴くつの底にくっついたガムはなかなか取れず、ベタベタして歩きづらい。足が地面に引っ張られるような感じだ。「誰だれが捨てたの。」と、声に出してみても、一いっ緒しょに買い物をしていた友達と別れた今は、返事をしてくれる人もいない帰り道である。「まったくマナーが悪いんだから。この靴くつ、今日初めて履はいたのに。」と、智とも子こは腹が立ってきた。気持ちよく広がった秋空も、さっきまでの友達との楽しい会話も、いっぺんに吹ふき飛んでしまうほどいやな気分になってしまった。通りかかった自動販はん売ばい機の辺りには、ガムのほかにも空き缶かんや紙くずが散らかっていたが、近くにはゴミ箱は見当たらなかった。「おかえりなさい。あら、智とも子こどうしたの。」家に黙だまって帰ってきた智とも子こに、夕食の支し度たくを始めていた母親が声をかけた。智とも子こは椅い子すにドスンと座すわるなり、「さっき、街でガムを踏ふんでしまって、とてもいやな気分になったの。ガムをどこにでも捨てるなんてマナーが悪すぎると思わない。でもそこね、捨てるところもないのよ。だから、空き缶かんなんかもいくつも転がっていたし。まったくゴミ箱くらい置いておけばいいのに。そうしたら、みんなが入れてきれいになるのに。」と、いっきに自分の思いをしゃべった。「でも、それはどうかしら。」それまで智とも子この話にあいづちを打ちながら聞いていた母親がつぶやいた。そして、「ゴミ箱があることで別の問題も起こっているのよ。」と、最近見たニュースのことを話しだした。「コンビニの前に置かれたゴミ箱の中に、まったく分別もしていないゴミが持ち込こまれているんですって。そのお店で売っている物でもないし、紙おむつもあったそうよ。ほかにも、高速道路のパーキングエリアのゴミ箱などにも明らかに家庭のゴミとわかるような物が大量に捨てられているんですって。」「えー、そうなの。」智とも子こは驚おどろいた。「ほかにもどこかの市では花火大会のあと、近所の庭先にゴミが捨てられていくのを避さけるために、会場の河原でゴミを置いて帰るようにと呼びかけ、集めたそうよ。そうしたらゴミの山がいくつもできて、翌日大掃そう除じですって。」母親から話を聞いたあと、智とも子こは考え込こんでしまった。ゴミ箱があったら、ゴミが増える? でもどこにでも捨てるよりいいんじゃない。私はゴミ箱があれば、利用するけど、みんなは……。「街まち中なかにゴミ箱は置かないほうがいいのだろうか。」と、智とも子こはわからなくなってしまった。?大おお分いた市教師用道徳指導資料集「中学校」編?大おお分いた市教育委員会による 絵・石いし川かわともこ10あったほうがいい?よりよい社会のために智とも子こゴミ問題を解決するためには、どんな考え方が大切だろう。考えてみよう街をきれいにするためにどうすればよいか、どんな心構えが大切かまとめてみよう。自分にプラスワン062-063 1-10_あったほうがいい_170316.indd 62-63 2020/02/28 10:34:5910 520 15 10 513 2 おばちゃんのくれた〝おまじない〟 2 おばちゃんのくれた〝おまじない〟 122おばちゃんのくれた〝おまじない〟働くということそれまで知らなかった。自分の仕事で、人の命を永ながらえさせることができるなんて……。今から十年前。私の父は生きて退院する人のほうが少ない病びょう棟とうにいた。病名は〝がん?―。そのフロアには、末期の患かん者じゃさんがたくさんいた。男性、女性とも同じフロアで、ただ先生の言葉にしたがい、希望のない明日におびえて生きていた。今まで病気一つしたことのなかった父は、その中では異質ともいえるほど明るかった。自然に言葉を交かわす人たちが増え、見み舞まいに来た私にも気さくに話はなしかけてくれた。そんなある日、父がいった。「頭が、かゆい。」そのフロアの中央に、ナースセンターと並んでサロンにあるようなシャンプー台があった。そのフロアの〝住人?たちはみんな、首から上の大手術をした患かん者じゃばかり。私の父にも、線路のように長く大きい、生々しい傷があった。(他にできること、ないからなぁ……。)ダメもとで、父にシャンプーをしてあげてもいいか、先生にたずねてみることにした。予想に反して「OK」が出た。出てしまった……。じつをいうと、傷にシャンプーをつけるのが……、傷に触ふれるのが……、ちょっと恐おそろしかった。私おばちゃんでも、私はそこで腹をくくった。いつもどおりに仕事をしていると思えばいい。ただ、傷が痛むといけないから、水圧も洗い方もちょっと弱めに―。指が傷に触ふれた……。ちょっと動どう揺ようした。「心配するなぁ。気持ちいいぞー。」父がいった。アシスタントのころでさえかかなかった、なんともいえない汗あせを、Tシャツがビショビショになるくらいかいていた。ふと気づくと、娘むすめにいつもお菓か子しをくれるおばちゃんが立っていた。「やだー。あんた美容師さんだったのー!?」こんなところにいなきゃ、病人だとは絶対に思えない。そのおばちゃんが大きな声で笑っていった。 ―次の週。見み舞まいに行くとシャンプーの予約が六件も入っていた。女の人ばかりだった。彼かの女じょたちは、手術のために頭を半分、丸ボウズにされているというなんともいえないヘアスタイルだったが、やっぱり女性だ。みんな口をそろえて、「きれいにしていたい。」といった。シャンプーをしている間、彼かの女じょたちはじつによくしゃべった。いろいろなことを話してくれた。自分に残された時間までも、あっけらかんと笑いながら……。それから、週が重なるごとに週一回では間に合わないくらい、シャンプーとカットの予約が入り、私はまるで売れっ子美容師のようだった。012-015 2-02_おばちゃんのくれたおまじない_190228.indd 12-13 2020/02/28 9:14:055 10 520 15 1073 12 新しい夏のはじまり 12 新しい夏のはじまり 7212新しい夏のはじまり前向きな生き方くり返したとたん、目め頭がしらがじわじわと熱くなってくる。そのときだった。「ちょっと、失礼。」ハッとしてふりむくと同時に、体育館の入り口にいた亜あ樹きのわきを男子がするりとぬけていった。それは、同じクラスの佐さ々さ木きだった。近くのマンションに住んでいて、小さいときは「まーくん」「あっちゃん」なんて呼びあって遊んでいた仲だったけれど、今ではあいさつもしない。なにかきっかけがあって仲がわるくなったとか、昔のことをすっかりわすれたわけじゃなくて、ただもう今はそんな関係じゃないだけだ。「おまえ、なんでいるの?」亜あ樹きは目をパチパチとしばたたかせて、涙なみだをひっこめた。小さく息をすって、泣きそうだった気持ちもゴクリと飲みこむ。「佐さ々さ木きこそ、なにしにきたわけ?」こんなところにひとりでいるのが見つかって、亜あ樹きは気まずかった。「バスケ部員として、体育館に引退のごあいさつにきたんだ。」佐さ々さ木きはてれもせずそういった。体育館にあいさつをする。松まつ野の亜あ樹き佐さ々さ木き松まつ野の亜あ樹きは中学校三年生。卓たっ球きゅう部で県大会出場をめざしていた。しかし、最後の地区大会はシングルス一回戦で敗退。一学期の終業式で、県大会出場を決めた卓たっ球きゅう部の仲間が表ひょう彰しょうされるのを見た亜あ樹きは、放課後にひとりで体育館にやって来た。こんなにがんばっているのだから、きっと奇き跡せきは起こると信じていた。けれど結果は残ざん酷こくだった。最後の試合ではいいところがひとつもないまま、一度も気持ちいいと感じる瞬しゅん間かんを味わうことなく、終わってしまった。今では、最後の試合で卓たっ球きゅうのおもしろさをまったく味わえなかったことが、負けたことよりもずっとくやしい。くやしい。くやしい。くやしい……。ひとり体育館に立ちつくして、心の中で072-077 3-12_新しい夏のはじまり_170328.indd 72-73 2020/02/28 10:23:18将来の生き方将来の生き方「社会への参画」と「将来の生き方」の視点から、生徒にとって身近な問題や、社会で活躍する人々についての教材などをユニット化し、よりよい社会と生き方について多面的・多角的に考えられるように構成しました。1年 p.62「10 あったほうがいい?」2年 p.12「2 おばちゃんのくれた〝おまじない〟」3年 p.72「12 新しい夏のはじまり」1年2年3年身近な社会に目を向けるとともに、職場体験学習への準備にもなるように構成しています。働くことや社会との関わりについて考え、職場体験学習の事前・事後にも深められるように構成しています。最高学年として進路や主権者教育に関わる教材も取り上げ、将来の生き方や社会の在り方について考えられるように構成しています。街中へのゴミ箱設置という身近な問題をとおして,よりよい社会について考えられる教材です。余命わずかな「おばちゃん」にシャンプーをした美容師の話から,働くということについて考えられる教材です。部活動の引退試合で敗退してしまった主人公の体験から,将来への前向きな生き方について考えられる教材です。社会への参画中学生の今だからこそ、考えたい教材新教材新ユニット「よりよい社会と私たち」16特色3よりよい社会を創造する20 15 10 5 10 5183 34 「肝心」のバスガイド 34 「肝心」のバスガイド 18234「肝ちむぐくる心」のバスガイド崎さき原はら真ま弓ゆみふるさとへの思い沖おき縄なわには、全国各地から多くの観光客や修学旅行生が訪おとずれます。沖おき縄なわの青い海と広くて明るい空に癒いやされ、人々は笑えがお顔で帰っていきます。沖おき縄なわ県久く米め島じまに生まれ育ち、バスガイドとして三十年以上働いてきた崎さき原はら真ま弓ゆみさんもまた、笑え が お顔で人々を迎むかえ、そして送り出しながら祈いのります。「沖お き縄なわの心が、世界平和を願う心が、どうか伝わっていますように。」と―。崎さき原はらさんのガイドは明るさと工く夫ふうをこらした演出で広く知られ、全国からの予約が絶えません。しかし、今でこそ「スーパーバスガイド」と呼ばれる崎さき原はらさんにも、悩なやんだ時期がありました。高校を卒業後、最初に就職した沖おき縄なわのバス会社のルールの中では、崎さき原はらさんがガイドとして本当にやりたいことが実現できず、行き詰づまってしまったのです。その後、「環かん境きょうを変えたい。」と生まれて初めて沖おき縄なわを出て、兄が働いていた岐ぎ阜ふ県で再びバスガイドとして働きました。ところが、沖おき縄なわの歌を歌えば涙なみだ、久く米め島じまの歌を歌えば家族が思い出されてまた涙なみだ。「離は なれてみて初めて、自分にとってどんなに沖おき縄なわや家族が大切かを思い知りました。」と崎さき原はらさんは振ふり返ります。三年後、沖おき縄なわに戻も どった崎さき原はらさんは「沖おき縄なわのことや伝え方を学び直そう。」と決意します。いったん離はなれたことで、ふるさとへの愛情に火がついたのです。たくさんの本や資料を読み、神話の時代や琉りゅう球きゅう王国の時代まで遡さかのぼり、歴史を学びました。すると、小さな島々に生きる人々が、近きん隣りんの国と交流してきた姿が浮うかび上がってきました。「琉りゅう球きゅう王国の時代、琉りゅう球きゅう人たちが大切にしていたのが『いちゃりばちょーでー』。一度出会ったら皆みなきょうだい、家族だということ。ほかの国々と家族のように交流し貿易をして、子や孫、ひ孫の代までこの国を発展させていこうとしたのです。いろいろな国々とつながる海を『希望の道』と捉とらえた、先人たちのダイナミックな発想や心のもち方に、とても感動しました。」江え戸ど時代に入り、王国が薩さつ摩ま藩はんの支配下に置かれてからも、そうした姿勢は受け継つがれてきました。王国の人々は、ヤマトで歌か舞ぶ伎きや浄じょう瑠る璃り、能や狂きょう言げんなどの芸能に触ふれ、五感でそれらを吸収したのです。そして、歌か舞ぶ伎きや能を取り入れた組くみ踊おどりをはじめ、たくさんの芸能が生まれました。「危機の中にも希望を見いだすプラス思考。そして、すべてのものに感謝し、相手を思いやる心。琉りゅう球きゅう人たちのこうした『肝ちむぐくる心』を、歴史や文化をとおして知るにつれ、誇ほこらしさで胸がいっぱいになります。」▼▲ヤマト日本の古い呼び名。沖おき縄なわの方言で、沖おき縄なわ以外の日本の土地を表す言葉の一つでもある。●バスの中では,舞ぶ踊よう,民みん謡よう,琉りゅう球きゅう空手などを実際に披ひ露ろうする182-185 1-34_「肝心」のバスガイド_200203.indd 182-183 2020/02/28 11:29:40520 15 10 510145 28 コトコの涙 28 コトコの涙 14428コトコの涙なみだわかり合うこと花はな園ぞのコトコは川かわ里さと学園中学校の二年生。水中の生物を観察する「魚う お部ぶ」の部長で、老人ホーム「せせらぎ園」には、ボランティア活動で通っている。ある日、「魚う お部ぶ」のコトコたち五人は、「せせらぎ園」のホールに自分たちで捕とった魚を入れた水すい槽そうを作り、園長の田た島じまや入所者たちと除幕式を開いた。そんななか、一人背を向け中庭を見つめる笹ささ岡おかがいた。いるのだろう。そして、笹ささ岡おかの腕うでをとり、子どもをあやすようにいった。「さあ、立って。みんなと一いっ緒しょに見ようね。おじーちゃん。」そのときだった。マサシがコトコと笹ささ岡おかのもとに歩きだした。「コトコ、やめろ。」コトコには、「やめろ。」という意味がわからない。そのまま、笹ささ岡おかに話しつづけた。「さあ、立ちましょうねーっ。みんなと一いっ緒しょに見ましょうねーっ。さあ、笹ささ岡おかのおじいちゃん。」そのとたん、マサシが大声でどなりつけた。「ばかっ!」……ええっ?おどろきが隠かくせないコトコ。なにを??しかられているのかがわからないし、マサシがこんなふうに熱く怒おこることなど想像もできなかった。マサシは、さらに一言叫さけんだ。「修しゅう三ぞうじいさんは、赤あかん坊ぼうじゃねーんだ! 大工の棟とう梁りょうだぞ!」部屋は、一いっ瞬しゅんにして静まりかえった。だれもしゃべらない、だれも動かない。きこえてくるのは水すい槽そうの水の音。動いているのは、水すい槽そうの中の魚だけだった。と、つぎの瞬しゅん間かん。笹ささ岡おかの首がゆっくりと動いた。笹ささ岡おかは振ふりかえり、マサシの顔をじろりと見た。「…………。」マサシが引きつった顔で微ほほ笑えむ。しかし、笹ささ岡おかは、また、みんなに背中を向けて、黙だまったまま中庭に目をやった。「修しゅう三ぞうじいさん……。」カタンッ。突とつ然ぜん、コトコが立ちあがった。コトコは、まっすぐに笹ささ岡おかのもとへ歩いていくと、その後ろ姿に声をかけた。「笹ささ岡おかさん、水すい槽そうを見ましょうか。魚、おもしろいよ。」「…………。」「笹ささ岡おかさん、魚捕とりの名人なんだって? 大好きな魚、見てよ。」「…………。」笹ささ岡おかは、ピクリとも動かなかった。しかし、コトコは、なんとか笹ささ岡おかの心を開かせようと食い下がった。決して、自分たちの作った水すい槽そうを自じ慢まんしたいからではなく、純じゅん粋すいに、笹ささ岡おかのためを思ってコトコマサシ笹ささ岡おか修しゅう三ぞう田た島じま144-149 2-28_コトコの涙_170324.indd 144-145 2020/02/28 9:19:0710 5 5123 21 失った笑顔を取り戻す 21 失った笑顔を取り戻す 12221義ぎ肢し装そう具ぐ士しとは、病気や事故などで手足を失った人のために義ぎ肢しを作る仕事。臼うす井い二ふ美み男おさんは、この道の第一人者だ。臼うす井いさんが義ぎ肢し装そう具ぐ士しをめざそうと決意したのは、一九八三(昭しょう和わ五十八)年、二十八歳さいのときだった。たまたま通りかかった職業訓練校で「義ぎ肢し科」という文字を見た瞬しゅん間かん、それまで忘れていた子どもの頃ころの記き憶おくがわっとよみがえってきたのがきっかけだった。「小学校六年生の夏でした。担任の先生が、入院するからと、とつぜん学校からいなくなってしまったんです。それから僕ぼくらが卒業する頃ころになって戻もどってきた先生は、つえをついていました。骨こつ肉にく腫しゅという病気にかかって、左足の太ももから下を切断し、義足になったのです。」ズボンの上からそっと触ふれた先生の足は、硬かたくて冷たかった。その感かん触しょくから、先生がつらい思いをしたことが伝わってきた。憧あこがれの先生のために、何も役に立てないもどかしさ……。義ぎ肢し装そう具ぐ士しの仕事に出合うまでの臼うす井いさんは、ずっともがいていた。なかなか「これだ!」と思える仕事が見つからなかったからだ。けれど、先生のことを思い出したとたん、「誰だ れかの役に立ちたい。」という強い思いがわいてきた。「よし、自分の手で義足を作ってみよう。」やっと将来が見えた瞬しゅん間かんだった。▼▼義ぎ肢し作りの工程の中でもっとも難しいのは、義ぎ肢しと体をつなぐ部分の調整だ。とくに義足の場合、ソケットが足の切断部に合わなければ、患かん者じゃさんは歩くたびに激しい痛みに襲おそわれる。義ぎ肢し装そう具ぐ士しは、粘ねばり強く何度も調整を重ねていかなければならない。臼うす井いさんが新人の頃ころは、この作業に泣かされた。一いっ生しょう懸けん命めいやったつもりでも、「こんなもの、着けられるか!」と、バーンと義足を投げつけられたこともあった。「最初はショックでした。でも、体の一部を失ったことで、みなさん、僕ぼくたちの想像を絶するような絶望感を味わっているのです。そのうえ、痛くて生活もできないのでは、イライラするのはあたりまえ。痛みは、人格さえ変えてしまうことがあるんですね。」だからこそ、相手の「痛み」と真しん剣けんに向き合った。「寸法どおりに作ったつもりでも、圧あっ迫ぱく感を痛みと感じる人もいれば、ソケットが肌はだに当たるだけで気になる人もいます。なかには、不安や寂さびしさに気づいてほしくて痛みを訴うったえる方もいます。人それぞれの痛みの質を理解しなければなりません。それからは、プライベートな時間でも、患かん者じゃさんの悩なやみを聞くように心がけました。」今では臼うす井いさんの声を聞くだけで、笑えがお顔になる人も多い。仕事に慣れてきた頃ころ、臼うす井いさんは、「義足の人たちがもっといきいきと生活するためには、どうしたらいいだろう。」と考えるようになった。せっかく義足を作っても、家に閉じこもりがちな人が多かったからだ。そんなときアメリカ人の義足のランナーが走る姿をビデオで見て、「これだ!」と胸が高鳴った。▼仕事の意義失った笑え がお顔を取り戻す臼うす井い二ふ美み男お▲ 義ぎ肢し病気や事故などで、失った手足の代わりに、その形態や機能を補う義手や義足。▲ 骨こ つ肉にく腫しゅ骨を侵おかす悪性腫しゅ瘍よう(がん)。▲ソケット足の切断部分を差し込こみ義足を装着する部分。● 義足の調整をする臼うす井いさん。自分の義足に愛着をもってもらえるように,患かん者じゃさんの好きな絵をソケットに描かくなどの工く夫ふうもしている20 1515 10●生活用の義足。右の義足は,自然な見た目にするため,外側にカバーを着けている122-125 3-21_失った笑顔を取り戻す.indd 122-123 2020/02/28 10:37:53社会への参画社会への参画2年 p.144「28 コトコの涙」1年 p.182「34『 肝心』のバスガイド」3年 p.122「21 失った笑顔を取り戻す」愛するふるさとで働くバスガイド・崎原 真弓さんの話から,ふるさとへの関わり方について考えられる教材です。老人ホームで主人公が体験した出来事をとおして,さまざまな人とわかり合うことについて考えられる教材です。義肢装具士の第一人者・臼井 二美男さんの生き方をとおして,働くことの意義について考えられる教材です。将来32 役に立つことができるかな勤労33 緑のじゅうたん真理の探究,創造34「肝心」のバスガイド郷土の伝統と文化の尊重,郷土を愛する態度2、3月扉よりよい社会と私たち将来2 おばちゃんのくれた〝おまじない〟勤労3 挨拶は言葉のスキンシップ礼儀直撃 仕事インタビュー!4月将来17「自分」ってなんだろう向上心,個性の伸長18 小さな工場の大きな仕事 勤労19 体験ナースをとおして 生命の尊さ20 行動する建築家 坂 茂社会参画,公共の精神10月社会28 コトコの涙相互理解,寛容29 門掃き 社会参画,公共の精神30 避難所にて 節度,節制つながりを減災に生かすために1、2月扉よりよい社会と私たち将来9 私も高校生自主,自律,自由と責任10 あるレジ打ちの女性勤労11 No Charity,but a Chance! 社会参画,公共の精神12 新しい夏のはじまり向上心,個性の伸長6、7月社会19 電車の中で思いやり,感謝20 自分・相手・周りの人社会参画,公共の精神21 失った笑顔を取り戻す勤労10、11月社会29 町内会デビュー自主,自律,自由と責任30 一冊のノート家族愛,家庭生活の充実31 サトシの一票社会参画,公共の精神よりよい社会について考えてみよう1、2月扉よりよい社会と私たち社会9 ふれあい直売所遵法精神,公徳心10 あったほうがいい? 社会参画,公共の精神11 疾走,自転車ライダー節度,節制毎日を安全に過ごすために6、7月将来の生き方新教材新教材…プラットホーム17 特色1特 色2特 色3特 色4