my実践事例小学校 道徳

1.学習指導案

(1)主題名 仕事とは  C[勤労、公共の精神]

(2)教材名 「母の手紙」(出典:日本文教出版「新・生きる力」)

(3)一人一人に対する願い
・目立たなくてもいい。自分に誇りをもって、仕事や役割を努めていこうとする気持ちを全うしてきた自分自身の気持ちを大切にさせ、来たる将来につなげてほしい。(08さん)
・自分のお母さんの仕事について理解を深め、お母さんの姿を想像していくことによって自分の心が高まり、自分の将来に生かしていきたいとする心情を育てたい。(09さん)

(4)ねらい
 母の仕事を通しての私の思いを考えることを通して、人々のために働いていくことの素晴らしさについて考え、将来の自分に生かしていこうとする心情を育てる。

(5)展開の概要

学習活動
(○主な発問 ・予想される児童の反応)

○指導上の留意点 ◇評価


1 仕事について考える。
○仕事は、何のためにするのでしょうか。
・生活をするため
・夢をかなえるため
・やりがい
・人の役に立つため

○児童の発言の最後に、黒板に書き記す。
○主題名を黒板に書く。




2 教材「母の仕事」を読んで話し合う。
○腰の痛いお母さんを見ながら、私はどのような気持ちになったでしょう。
・もっと楽な仕事をすればよい
・母を楽にさせてあげよう
・なぜ、そこまでするの

○黒板の右下に場面絵①を貼って、私とお母さんを紹介する。
○範読後すぐに発問せず、余韻をもつ。
○発問カードを貼ってから発問する。
○発問後、考える時間を十分に取る。緑チョークで囲む。

○お年寄りの人たちは、お母さんが来るのをどのような気持ちで待っていたのでしょう
・ありがたい
・待ち遠しい
・きれいになれるから嬉しい

○場面絵②-1、2と発問カードを黒板中央に貼ってから発問する。
○お年寄りの立場から考えさせることを明確にするため、発問カードの上にあえてチョークで「お年寄り」と明記する。
○黄色チョークで囲む。
○お年寄りの人たちの気持ちを考えることを通して、私の心に勤労に対しての意識の変化をもたせる。

◎微笑みながら話すお母さんを見て、私はどのようなことを考えたでしょう。
・役に立てるという幸せ
・仕事への使命感
・お母さんのようになりたい
・お母さんを労わりたい

○場面絵③を黒板左端上に貼る。発問カードを貼ってから発問する。赤チョークで囲む。
○お母さんの仕事に対する思いをもとに、勤労や生き方について考えを深めさせる。
◇母の仕事に対する思いを考えることを通して、人々のために働いていくことの素晴らしさを考えることができたか。(発言)




3 自分自身の生活を振り返って考える。
○お仕事をするということは、どういうことでしょうか。このお話を通して考えてみましょう。

○展開前段を振り返ってから課題を示す。
○発問後、ワークシートに記述させる。
○書くことが進まない児童には、板書を見ながら考えさせる。
○机間巡視の際に、ねらいに達する考えを多面的に探していく。発表させたい児童には、声掛けをして了承を得る。
◇人々のために働いていくことの素晴らしさや、将来の自分に生かしていきたいとする考えを深めることができたか。


4 教師の説話を聞く。
○教師としてここにいる喜びを語る。

○仕事は大変なことも多いが、それ以上にやりがいがあり、幸せであることを伝える。

(6)本時の評価
○母の仕事に対する思いを考えることを通して、人々のために働いていくことの素晴らしさを考えることができたか。(中心発問での発言)
○人々のために働いていくことの素晴しさや、将来の自分に生かしていきたいとする考えを深めることができたか。(展開後段でのワークシート記述)

2.本時の板書

3.授業記録

【導入】
T 仕事をするのは、何のためにするのでしょうか。
01くん 生活をするため。
02くん 食べる物を買うため。
03さん 自分の夢を叶えるため。
04さん 人のために役立つため。
05くん 世の中がうまくまわっていくため。

【展開前段】
腰の痛いお母さんを見ながら、私はどのような気持ちになったでしょう。
06さん このままじゃ、体が悪くなってしまうから、無理をしないで、もう少し休んでほしい。
07さん 06さんと似ていて、私はお母さんのような家のことはできないから、もう少し休んでほしい。
08さん お母さんがこんなに疲れているということは、お母さんは自分の役割を精一杯やっているということだから、お母さんの疲れを少しでも癒してあげたい。楽にさせてあげたい。
09さん 腰が痛いたいのに、市役所の仕事を、何でそんなつらい仕事を、そこまでできるのだろう。
05くん お母さんも自分のやりたいこともあるだろうし、お母さんのためにも、もう少し仕事を減らすか、他の仕事とか、体がもう少し楽な仕事をしてほしい。
 第1発問では、お母さんの体を心配し、楽になってもらいたいという発言が多く見られました。09さんは、「なぜ、こんな大変な仕事なのに、そこまでできるのだろう」という問いをもちました。

【第2発問】
お年寄りの人たちは、お母さんが来るのをどのような気持ちで待っていたのでしょう。
10さん 早く来てくれないかな。
11さん 自分たちは他の人と比べて体が少し不自由だから、お風呂とかも入れないけど、お風呂に入れてくれたり、やさしく気遣ってくれたりするから、洗った後の体だけではなく、心の中もきれいになる。嬉しい。
12さん カレンダーを見るたびに、ドキドキワクワクする。待ち遠しい。
08さん 11さんと似ていて、看護師さんたちが来ると、体もきれいになるけど、自分の気持ちも、すがすがしくなる。
13さん 自分の身内でもないのに、精神的にも身体的にも大変な仕事をしてくれて、感謝の気持ちでいっぱい。
14さん 11さんと似ていて、自分たちはそんなに体が思うように動かないから、こんなに重い体なのに、3人で浴槽まで運んでくれて、少し申し訳ない気持ちもあるけど、洗ってくれて嬉しい。
15さん 普通の人なら、そんな大変な仕事をしたくないだろうけど、自分たちの動けない体を運んでくれて、汚れた体を洗ってくれて、嬉しくて、ありがたい。
T (挙手をやめた09さんを見て)09さんは?
09さん 皆と同じ。体の不自由な私たちのためにそこまでしてくれて、本当にありがたい。
 第2発問では、私の気持ではなく、介助を受ける側の立場を考えてみました。介助を受ける側である相手の気持ちになって考えることが、大切だと考えたからです。この授業の1ヶ月前に、デイケアセンターでの交流体験を行いました。実際に、お年寄りの方々と交流した体験が、今回の授業において児童の思考を深めていくと考えたからです。道徳の授業では、体験活動をして1時間単位を終わるよりも、体験したことをもとに、皆の気持ちを聞きながら、伝え合いながら、自己の考えを深めていくことが大切だと思いました。
 介助を受ける側のお年寄りの気持ちに寄り添って考えた結果、うれしい、ありがたいという介助者に対する感謝の気持ちが多く表れました。

【中心発問】
微笑みながら話すお母さんを見て、私はどのようなことを考えたでしょう。
16さん お母さんの仕事は大変だけど、お年寄りのために頑張っているから、尊敬できる。
10さん 私は、最初は嫌だったけど、お母さんがやりがいを感じて頑張っているので応援したい。
06さん 自分のことよりも人のことを大切にしている。
T (挙手をやめた17さんを見て)17さんは?
17さん 10さんと同じで、お母さんにとって、その仕事はやりがいがある。
09さん お母さんが人のために頑張っているから、皆に自慢できる。
14さん 16さんと少し似ていて、お母さんの話を聞いていると、大変な仕事に聞こえた。しかし、疲れて帰ってきても、しっかりと家事もやっていて、将来は、そんなお母さんのようになりたい。
08さん お年寄りの人は、お母さんのこの仕事で支えられて、お母さんは、そのお仕事をした分のお年寄りの人の笑顔に支えられて、このお仕事をずっと続けていられるんだなぁ。
05くん お母さんの仕事はとても大変だけど、それのおかげで、普段お風呂に入ることのできない人はすごい笑顔になるし、お母さんもすごいやりがいがあるから、お母さんの仕事は皆が笑顔になる素晴らしい仕事で、実は尊敬するし、自分も頑張っているお母さんの腰をもんだり家のことを手伝ったりして貢献したい。
 第2発問での、相手が喜んでくれている気持ちや感謝の気持ちが子どもたちの心に深く浸透していった結果、中心発問では、喜ばれる嬉しさや、お役に立てたという心の高まりが、お母さんの姿を通して、子どもたちに表れています。それが、仕事へのやりがいと捉えたようです。このお話のお母さんと同じ仕事をしている母を持つ09さんは、「自慢のお母さん」と答えました。09さん以外の子どもたちのお母さんは全く違う仕事をしています。しかし、違う仕事をしていても、同じように考えることができるのは、読み物教材を通してじっくりとねらいとする道徳的諸価値について考えたからこそだと私は考えます。ここで子どもたちは、仕事へのやりがいや、社会貢献を学んでいったように思われます。

【展開後段】
お仕事をするということは、どういうことでしょうか。このお話を通して考えてみましょう。
03さん 私も、このお話のように、1、2回で良いから、背中を押してなどと母や父に言われます。私はいつも疲れが取れるように、何回もマッサージをします。なぜかというと、やさしさだけの気持ちだけではなく、お疲れ様やいつも家族に尽くしてくれてありがとうという気持ちを伝えたいからです。母の日や父の日に手紙で伝えているのですが、言葉だけではなく、行動に表したいからです。そうすると、母や父は喜んでくれるので、また今度も、マッサージをしたいと思います。
→手紙で感謝の気持ちを伝えるよさ、行動に表すよさを、皆に伝えたかったので、ねらいとは外れるが発表してもらった。
18さん 私の母は、主婦をしています。主婦は、家事などをして、家族を支えることです。私は、主婦は仕事に入らないと思っていました。しかし、このお話を通して、誰かのために精一杯尽くして、自分だけではなく、周りの人を支えられることが仕事だと思いました。母は、全力で仕事に取り組み、家族を毎日毎日支えています。だから、主婦も立派な仕事だと思いました。
→主婦も大切な仕事であることを皆に伝えたかったので発表してもらった。
19くん ぼくは、このお話を通して、仕事の大切さがわかりました。仕事は、責任をもって成し遂げなければいけないものであり、自分勝手な理由で、辞めたり休んだりしてはいけないと思いました。将来、ぼくが仕事を選ぶときには、やりがいを感じられるかなどを考えたいと思いました。
→価値に迫っている。同じような内容を多くの子どもが書いていた。発言は少ないが、展開前段でしっかりと考えている姿が伺えているので、代表して発表してもらった。
20くん ぼくは、この話を通して、ぼくもいつか社会に出て仕事をするから、やりがいのある仕事に就こうと思いました。今、ぼくのお母さんも疲れているから、腰を押したり、肩を揉んだりしようと思いました。
→多くの子どもたちが書いていた「やりがい」という言葉の大切さを共有したいので、代表して発表してもらった。先週、両親に叱られているので、道徳で活躍の場を提供したかった。

<未発表分 本時では時間の関係上発表できなかったが、紹介したいもの>
21くん ぼくの母は、仕事をしています。でも、近頃、新しい仕事のやり方を覚えなければならないので、帰りがだんだん遅くなっていて、ぼくは、母が帰ってくると、「ご飯早く」と言ってしまいます。でも、このお話を通して、これからは、母が少しでも楽になるように、ご飯の準備など手伝っていきたいです。
→お母さんと二人暮らし。この子の思いに涙が出る。
22さん このお話を通して、仕事をするということは、「責任を持つ」ことだと思いました。私たちが今やっている係とかの仕事にも責任があります。だから、今やっている仕事を精一杯やって、将来の仕事につなげていきたいです。
→将来の仕事と、学校生活での仕事とを共通事項として考えた。正義感が強く、自覚と責任を持って取り組むことができた。
23さん 私は、仕事に就くのだったら、楽な仕事をしたいと思っていました。今日の授業を通して、今までの自分が情けないと思いました。私は、自分に大変な仕事であっても、人の役に立つ仕事をした方がやりがいを感じられると思いました。そういう仕事に将来就こうと考えました。
→素直な気持ちが嬉しい。毎回の道徳の授業で自分の至らなさを発見し、善くしていこうと取り組んでいた。
08さん 仕事とは、生活をしていくためにやらなくてはならないことだと思っていたけれど、自分の仕事にやりがいを持って、この社会の役に立つことができるものだと思いました。このお話では、お年寄りの人が、母に支えられていたけれど、母もお年寄りの笑顔によって、仕事を続けていられているので、自分にとって大変でもやりがいのある仕事を見つけて、将来頑張っていきたいです。
→前回も発表したので、今回は発表を見送った。しかし、改めて考えると、発表してもらうべきであった。多面的・多角的に考え、思いやりの気持ちに溢れ、将来頑張っていきたいと、これからの人生を明るく希望のあるものにしているから。
09さん このお話を通して、仕事をするのは、自分自身が生きていくためだけではなく、他の人が生きていく、喜んでもらうためだと考えました。私の母も、同じような仕事をしています。毎日、夜遅くに家に帰り、家事をしてくれています。そんな母に感謝の気持ちがあります。また、おじいさんやおばあさんも、母のことをとても感謝の気持ちでいっぱいだと思います。
→プライバシーに関わりそうだったので発表を見送ったが、発表してもらうよう声をかけるべきだったと、後悔の念。

4.授業を終えて

<09さん>
 09さんは、「腰が痛いたいのに、市役所の仕事を、何でそんなつらい仕事を、そこまでできるのだろう。→ 体の不自由な私たちのためにそこまでしてくれて、本当にありがたい。→ お母さんが人のために頑張っているから、皆に自慢できる。→ 仕事=自分自身が生きていくためだけではなく他の人へ奉仕=自他共の喜び 母への感謝の気持ち。」と考えを深めていきました。いつまでも母を大切にし、将来に向けて歩みを進めてほしいと願っています。

<08さん>
 08さんは、「お母さんは自分の役割を精一杯やっている=お母さんの疲れを少しでも癒してあげたい。楽にさせてあげたい → 看護師さんたちが来ると、体も心もきれいになる → お年寄りの人は、お母さんのこの仕事で支えられて、お母さんは、そのお仕事をした分のお年寄りの人の笑顔に支えられている = このお仕事をずっと続けていられる → 仕事とは、生活をしていくためにやらなくてはならないことだと思っていたけれど、自分の仕事にやりがいを持って、この社会の役に立つことができるもの お年寄りの人が、母に支えられていたけれど、母もお年寄りの笑顔によって、仕事を続けていられているので、自分にとって大変でもやりがいのある仕事を見つけて、将来頑張っていきたいです。」と考えを深めていきました。
 08さんは、6年生の2学期後半から道徳でよく挙手をするようになりました。「ふくらんだリュックサック」の教材を用いたときからです。その際、第2発問と第3発問で発言を重ねました。毎日掃除を頑張っている08さんだからこそ、自我関与を通して発言に至ったのではないかと考えることができます。今回の授業まで、意欲的に発言が続きました。何かはわかりませんが、08さんは心の中に自信を持ったからだと考えることができます。