道徳科における魅力ある教材開発の実践② ~より効果的な外部講師の活用を目指して~(第6学年)|小学校 道徳|my実践事例|日文の教科情報|日本文教出版

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1.はじめに

 前号の実践では、外部講師を招き、道徳科と学校行事の関連付けについて考察しました。そこで教材開発を含めた道徳科の授業と学校行事を関連させることは、道徳性の育成にとって、非常に効果的であることがわかりました。今回は、第2弾として、リオパラリンピック日本代表銅メダリスト(陸上男子400mリレー)である、多川知希選手をお招きして行った実践事例を紹介します。

2.教材について

 本教材は、リオデジャネイロパラリンピック日本代表として、陸上男子400mリレーで銅メダルを獲得した、多川知希選手を取り上げています。生まれつき右前腕部欠損という障害がある多川選手が、陸上競技と出会い、さまざまな困難を乗り越えながらパラリンピックで銅メダルを獲得するまでの姿を描いた自作教材です。
 5校時の道徳科の授業は、開発した教材と、多川さんら日本代表が銅メダルを獲得したリオパラリンピックの映像も導入に使いながら授業を行いました。事前に多川選手と十分に内容を打ち合わせることで、ねらいに即した展開となり、児童の深い学びを実現することができたと感じます。
 そして、6校時には多川さんから直接お話しを聞きました。多川さんの力強い言葉に、児童も参観された保護者も聞き入っていました。事後に児童が書いたお礼状からは、児童が自分の目標について考えを広げたり、深めたりした様子を読み取ることができました。

3.実践報告

(1)主題名
 「夢への挑戦」  A[希望と勇気、努力と強い意志]

(2)本時のねらい
 多川知希選手の生き方や活躍に触れることによって、困難にあってもくじけず、目標に向かって努力しようとする心情を育てる。

(3)展開例

学習活動(○主な発問 ・予想される児童の反応)

◇指導上の留意点 ☆評価


1 映像を見て、教材に興味をもつ。

○多川選手の姿から、「目標に向かって努力すること」について考えましょう。

◇多川選手の写真や映像を見せ、児童の教材への関心を高める。また、道徳的価値を提示することで、授業のねらいを明確にする。
◇多川選手に先天性の障害があることを伝える。


2 教材「夢への挑戦」を読み、話し合う。

○健常者の大会に出場して活躍していた多川選手はどのような気持ちだったでしょうか。
・障害があっても自分には関係ない。
・誰にも負けたくない。
・海外でも活躍できる選手になりたい。

◇多川選手の気持ちを考えながら読むように伝える。
◇障害があったにも関わらず、自分自身を成長させるために挑戦を続けた多川選手の心情に共感させ、多川選手の強さを理解させる。

○思い通りの結果が出せなくなってしまった多川選手はどのような気持ちだったでしょうか。
・くやしい。もうやめてしまいたい。
・もうこれまでなのか。
・今まで努力してきたことは無駄だったのか。
・大好きな陸上競技をあきらめたくない。

◇思い通りの結果が出せなくなってしまった多川選手の心情に共感させ、人間は誰しも弱い面があることを理解させる。

◎多川選手は、どのような気持ちから「夢への挑戦」を続けているのでしょうか。

【中心となる発問】

・応援してくれる人々を喜ばせたい。
・他の選手にも、自分にも負けたくない。
・途中で自分の夢をあきらめたくない。
・もう一度海外で活躍できる選手になれるようにがんばりたい。

◇悔しい思いをした多川選手が、もう一度新たな目標に向かって努力を始めた心情に共感させ、困難にもめげずに目標を持って努力することの大切さに気付かせる。

3 今までの自分自身の生活を振り返り、ねらいとする道徳的価値について考えを深める。

○自分の夢について考えてみましょう。どのような努力が必要でしょうか。
・プロ野球選手になるために、しっかりと体力づくりに取り組みたい。
・科学者になるために、身の回りの自然に興味をもって生活していきたい。
・今はまだ夢はないけれど、多川選手のようにあきらめずに努力することを大切に生活していきたい。

◇本時の学習を振り返り、ねらいとする道徳的価値から外れないようにする。
☆困難にあってもくじけず、目標に向かって努力しようとする心情を育てる。


4 教師の説話を聞く。

◇「困難にあってもくじけず、目標に向かって努力する」ことのすばらしさに気付かせる。