小学校 図画工作

小学校 図画工作

「とろとろえのぐで かく」(第2学年)
2015.10.13
小学校 図画工作 <No.041>
「とろとろえのぐで かく」(第2学年)
東京都 小学校教諭

※本実践は平成20年度版学習指導要領に基づく実践です。

1.題材名

「とろとろえのぐで かく」

2.目 標

 “とろとろえのぐ”の感触や,指や手を使って表すことを楽しみながら,思いを広げて表す。

3.準備(教材・用具)

教師:液体粘土,画用紙,共同絵の具,プリンカップ,湯桶,スプーン,小皿,筆,へら,新聞紙
児童:クレヨン,筆記用具

4.評価規準

【造形への関心・意欲・態度】
 “とろとろえのぐ”をつくったり,指や手でかいたりすることを楽しもうとしている。

【発想や構想の能力】
 “とろとろえのぐ”のつくり方を試したり,確かめたりしながら,でき上がった色や形を基に,自分の表したいことを見付けている。

【創造的な技能】
 手や指の感覚を生かして,伸ばしたり引っかいたりするなど,自分の思いに合った表し方を工夫している。

【鑑賞の能力】
 “とろとろえのぐ”の感触や色のよさを味わったり,自分や友だちの表現のよさを見付けたりしている。

5.本題材の指導に当たって

(1)題材について
 低学年の子どもたちは,身体感覚を働かせて積極的に材料にかかわりながら思い付いたことを表す傾向がある。絵に表す活動においても,こうした低学年の子どもの特性を生かし,指や手などの身体感覚を働かせながら材料に楽しくかかわり,色や形を使って自分なりの思いを見付けていってもらいたい。液体粘土と絵の具を混ぜ合せてつくる“とろとろえのぐ”は,そのことを子どもたちが十分に味わうことのできる描画材であろう。

(2)学習環境の設定
 指導にあたっては,学習環境の設定に配慮した。特に“とろとろえのぐ”づくりは描画材を自分でつくる楽しさがあり,表現活動への意欲を高めるための大切な時間となる。
 どの子もスムーズに活動に入ることができ,準備や片付けも自分たちで考えながら活動できるよう心掛けた。
 まず“とろとろえのぐ“の素となる液体粘土を湯桶に入れておき,そこから各自が柄を長くしたスプーンで,プリンカップに取り分けるようにした。
 もう一つの“とろとろえのぐ”の基となる絵の具は,これまでの学習経験を生かし,共同絵の具を用いることにした。共同絵の具は黄・赤・オレンジ・青・緑・黄緑・黒の7色を用意した。使い方は,筆で絵の具の容器からパレット代わりの小皿に取るというものである。取った絵の具は各自の机上まで持っていき,指でプリンカップの液体粘土と混ぜ,“とろとろえのぐ”をつくることにした。 余って使わなくなった“とろとろえのぐ”は,“えのぐおきば”を設け,誰でも使ってよいものとした。また,次の時間まで取っておきたいものはラップをかけて保存するようにした。

(3)指導と評価
 本題材は,子どもたちが身体感覚を働かせて材料に楽しくかかわることが大切であるが,液体粘土に触れることや,指でかくことに抵抗感のある子どもがいることも考えられる。全ての子どもが,のびのびと“とろとろえのぐ”とかかわることができるよう,導入時に教師自身が実際にやってみせることで,“とろとろえのぐ”をつくる楽しさ,そして指や手でかく面白さなどを伝えるよう心掛けた。
 また,活動が進むにつれて子どもたちの中から出てくる様々な発想や工夫を,その都度「いいね」「面白いアイディアだね」など声掛けしながら評価するとともに,周りの子どもにも紹介していった。さらに,子どもの活動を写真におさめながら机間巡視し,写真は授業後の評価資料とした。

(4)児童の実態について
 本校の2年生は,1組25人,2組26人の2学級である。わたしは1年生の時から図工専科として指導を行っており,多くの子が図工の時間が好きであると答えてくれる。どんな題材にも興味をもって,楽しく活動することのできる子どもたちである。これまで,絵に表す活動では,1年生の時に「クレヨンですきなものをかく」「共同絵の具を使ってすきなものをかく」「思い出をかく」などの学習を経験している。2年生になってからは,「消防写生会」に続き,二つ目の絵に表す題材である。
 これまでは,どちらかというと子どもの中にある既存のイメージや,見たこと・経験したことなどを絵に表す活動が中心であったと感じていた。本題材を通じて,絵においても材料とかかわることから,形や色を使って絵をかくという,もう一つの楽しさを味わってもらいたいと願っている。

6.題材の指導計画(全4時間)

学習活動の流れ

・指導上の留意点





10分

○これまで,どんなもので絵をかいてきたか振り返る。そして今回は指や手を使って“とろとろえのぐ”で絵をかくことを知る。
○“とろとろえのぐ”のつくり方を知る。

・「   でかく」と板書し,これまでどんな画材や用具で絵をかいてきたかを発表してもらう。
・今回は“とろとろえのぐ”をつくって,指や手で絵をかくことを伝える。
・“とろとろえのぐ”をどうやってつくるのか,どんなふうに指でかけるのかを実際に教師がやってみせる。





145分

○用具を準備する。
○“とろとろえのぐ”をつくり,手や指でえがいてみる。

「みてみて,こんな色ができたよ」

「手でかくのって楽しい」

・様々な色をつくったり,指の跡や引っかいたあとの面白さに気付いたりするなど,楽しい活動を共感的に捉えるとともに,他の子どもたちにも紹介する。






10分

○でき上がった作品を鑑賞する。
○友だちのよいところを発表し合う。

・机の上の用具を一度椅子の上などに置いてから,鑑賞し発表し合う時間とする。





15分

○後片付けをする。 使わない“とろとろえのぐ”は新聞紙に包んで捨てる。

・水場にバケツを用意し,できるだけその中の水で洗うよう指示する。

7.完成作品