ブックタイトル平成30年度版 内容解説資料(小冊子)
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平成30年度版 内容解説資料(小冊子)
作家の言葉や制作プロセスを掲載作家インタビューなどで、制作者の思考プロセスを平易に解説。学びを深める確かな視点着目させたいポイントを、簡潔な文章やわかりやすい見出しを用いて明解に提示しました。授業の流れを想定したレイアウトです。多様な題材構成全24題材を設定。表現・鑑賞の題材をバランスよく組み込みました。伝統文化や作家探究などの鑑賞題材を充実させるとともに、技法資料も豊富に取り揃えています。P37|身近な材料で表すP52|作家探究 土門拳P78|色彩P63|日本の前衛P16|感覚の冒険6 7絵画水のある情景を描く表現流れる水の研究[ペン・インク・赤チョーク・紙/29.6×20.7cm]1510~13頃ウィンザー城王室図書館蔵[イギリス]レオナルド・ダ・ヴィンチ[イタリア・1452~1519]P33 レオナルド・ダ・ヴィンチアルジャントゥイユの橋[油彩・キャンヴァス/60.3×80cm] 1874オルセー美術館蔵[フランス]クロード・モネ[フランス・1840~1926]緩やかな流れの川に、青空や雲、岸辺の風景などが映り込んでいる。映り込んだ景色は、短い線や点を重ねるように描かれ、水面の揺らめきが効果的に表現されている。P5 クロード・モネ奥お入いら瀬せ の渓けい流りゅう[絹本着色/116×156cm] 1951東京都現代美術館蔵小お野の竹ちっ喬きょう[岡山県・1889~1979]細い曲線で、渓流の勢いや盛り上がる川面を表している。淡い色調で彩いろどられた水流は、明るい空と周囲の豊かな自然の映り込みを感じさせる。 自然や生活の様々な場面で、水は姿を変えて存在しています。水のある情景から私たちは静寂さや流れ動く激しさなどのイメージを感じ取り、安らぎや驚きなどいろいろな感情を抱くことがあります。画家は、多様に変化する水をどのように表現してきたのでしょうか。水をよく観察し、そのイメージを大切にして、情景を豊かに表水のイメージを生かして、 現しましょう。情景を豊かに表現する。水のある情景を描く左:波[油彩・キャンヴァス/72.5×92.5cm] 1870頃 国立西洋美術館蔵[東京都]ギュスターヴ・クールベ[フランス・1819~77]右:神奈川沖浪裏(「冨嶽三十六景」のうち)[多版多色木版・紙/26×39cm] 1830~32頃 東京国立博物館蔵葛かつ飾しか北ほく斎さい[1760~1849]迫力のある波の動きは、洋の東西を問わず画家の心を捉えてきた。クールベは、波頭が崩れる瞬間を波音までも感じさせるかのように写実的に描いた。北斎は、舟を翻ほん弄ろうするせり上がった波頭やその飛まつの様子を誇張して描き、大波の迫力を演出している。左:なぎさ[紙本着色/87×128cm] 1977倉敷市立美術館蔵[岡山県]池いけ田だ 遙よう邨そん[岡山県・1895~1988]右:Circles[油彩・パネルに綿布/113×164cm]2008曽そ谷や朝あさ絵え[神奈川県・1974~]水がつくりだす模様は、次の瞬間には姿を変えてしまう。遙邨は、波の引き際の一瞬を捉え、そこに生まれる複雑な泡の模様を描き留めた。曽谷は、柔らかに反射した水面の光を捉え、心地よいリズムをなす大小の波紋の重なりを色鮮やかに表現した。コラム|水の流れの研究レオナルドは、流水に板を差し込むことで起こる変化や、水をためた場所にさらに水を注ぐことによってできる水流の渦を観察し描きました。銀いちょう杏の葉[鉛筆・紙/21.3×30cm]2016 生徒作品光を反射して輝く小さな水の粒や、くぼみにたまった水滴を描くことで、葉のみずみずしさを効果的に表している。水を効果的に生かして描く水を効果的に描くことで、植物のみずみずしさや風景の情緒などが表現できます。水をよく観察し、表し方を工夫して、情景を豊かに表現しましょう。自分の眼が捉え、理解したことを描くしかない。自然を見ていると、すべてを描けるような、何でもできるような気がする。クロード・モネ現げん心しん[紙本着色/80.3×116.7cm] 2015生徒作品工事現場が水たまりに逆さに映っている情景を構想して描いた。水のある場面と組み合わせることで、自己のイメージを情緒豊かに表現している。、何で使、場り、が施デザデザイナーの発想から学ぼうここでは、デザイナー石いし田だ 和かず人ひとさんのデザインの考え方や、一つの製品を生み出すまでのプロセスを紹介します。デザイナーが何を考え、どのように工夫しているかを知り、身の回りのデザインを見てみましょう。デザインとは人を想う心 デザインとは、人を想う心だと思っています。相手が喜ぶ工夫をして、結果として幸せな暮らしや笑顔を生み出すことが大事なのです。僕は家具をデザインするときには、大人と子どもが「どう住まうか」をイメージします。子どもがわくわくして、子どもとの関係の中で親も楽しくなることは家庭の中で毎日のようにあると思うのです。でも、そういう場面や気持ちはつい忘れがちですよね。だから僕は自分の体験からそうした楽しいことを拾い上げて、デザインしたものを通して笑顔の生まれる暮らしを提案しています。だから、僕は自分を家具デザイナーだとはあまり思っていなくて、生活デザイナーあるいは笑顔デザイナーだと思っています。コンセプトを固める「ゆりかごチェア」ができるまで「ゆりかごチェア」は、椅子の背もたれを後ろに下げ、かごを取り付けることでゆりかごに組み換えることができる家具です。この製品のコンセプトを固めるために石田さんが考えたことや、具体的な形にするまでのプロセスを見て、デザインの工夫について考えましょう。石田和人[神奈川県・1967~]コンセプトシートをつくったり試作をしたアイデアも子どもにとっては家の外も中も遊び場になる。遊具にもなる家具があれば、親子の楽しい生活をつくるものが使う人の生活から離れないよう、自分の実体験や身近な人の話から発想を広げた。使う人のためのデザイン鑑賞デザイン 普段、私たちが使っている様々なものは、誰が使うか、何のために使うか、どんな場面で使うか、どんな気持ちで使うかなどを考えてデザインされています。使う人や用途、場面、気持ちに合わせて、使い勝手や使い心地をよくしたり、使ってみたいと思わせたりするために、どのような工夫が施されているのでしょうか。身の回りにある使うものからデザインの工夫について考えましょう。使う人のためのデザイン使う人、用途、場面、気持ちなどを考えて形づくられたデザインに、どんな工夫が施されているかを理解する。デザイナーの発想から学ぼうここでは、デザイナー石いし田だ 和かず人ひとさんのデザインの考え方や、一つの製品を生み出すまでのプロセスを紹介します。デザイナーが何を考え、どのように工夫しているかを知り、身の回りのデザインを見てみましょう。デザインとは人を想う心 デザインとは、人を想う心だと思っています。相手が喜ぶ工夫をして、結果として幸せな暮らしや笑顔を生み出すことが大事なのです。僕は家具をデザインするときには、大人と子どもが「どう住まうか」をイメージします。子どもがわくわくして、子どもとの関係の中で親も楽しくなることは家庭の中で毎日のようにあると思うのです。でも、そういう場面や気持ちはつい忘れがちですよね。だから僕は自分の体験からそうした楽しいことを拾い上げて、デザインしたものを通して笑顔の生まれる暮らしを提案しています。だから、僕は自分を家具デザイナーだとはあまり思っていなくて、生活デザイナーあるいは笑顔デザイナーだと思っています。「未就学児向けの商品をつくりたい」家具メーカーからの依頼コンセプトを固めるアイデアを具現化する「ゆりかごチェア」ができるまで「ゆりかごチェア」は、椅子の背もたれを後ろに下げ、かごを取り付けることでゆりかごに組み換えることができる家具です。この製品のコンセプトを固めるために石田さんが考えたことや、具体的な形にするまでのプロセスを見て、デザインの工夫について考えましょう。アイデアスケッチ[鉛筆・紙/21×29.7cm] 2014市場調査などをしながらアイデアを描き留めた。テーブルトング[ステンレススチール/各4.2×17×5.6cm] 2014萩はぎ野の 光みつ宣のぶ[新潟県・1965~]たくさんの皿が並んだ食卓でも、快適に使えるコンパクトなトングである。テーブルに直に置いても先端がテーブル面に触れないように工夫されていて、皿の縁に掛けることもできる。はさみ[ステンレス鋼・エストラマー樹脂/長さ17.5cm] 2002指穴の一方をリング状ではなく、開いた状態にしたはさみである。自由に握り方を変えられるのが特徴で、親指を深く入れると、指の付け根を利用して切ることもできる。ハンドルはしなやかな樹脂素材でできており、手や指の形になじむため、力を入れやすい。おたま[プラスチック/24.5×8×9cm] 2015オリ・サイディ[イスラエル・生年不詳]ダニエル・ガスナー[イスラエル・生年不詳]おたまの持ち手を、ネス湖に棲す むと言われる謎の生物ネッシーに見立てた、遊び心のあるデザインである。自立するので、場所を取らずに鍋のそばに置くことができる。フォールディング・チェア[ポリプロピレン/座れる状態:約78×46×52cm 畳んだ状態:約90×46×7cm] 2010ディヴィッド・チッパーフィールド[イギリス・1953~]折り畳むと、座面、背面、フレームがフラットな状態になるので、垂直状態に連ねることで場所を取らずに収納できる。石田和人[神奈川県・1967~]コンセプトシートをつくったり試作をしたアイデアもあったが、安全面などから自分の子どもたちはどんなことをして楽しん 製品化には至らなかった。でいたかな? 妻にも子どもたちの様子を思い出してもらった。実体験を振り返る子どもにとっては家の外も中も遊び場になる。遊具にもなる家具があれば、親子の楽しい生活を提案できるのでは?家具メーカーのスタッフが「使いやすいベビーベッドが欲しい」と言っていた。依頼者の声を拾う・ そもそもベビーベッドとは、子どもが眠り、親が優しく見守ってあげるための道具。自分の子どもにはゆりかごを使い、便利だったな。・ 子どもの成長は早いため、ベビーベッドは道具としては短命に終わってしまう。子どもに初めて与える道具は親にとって思い出深いものだから、長く使えるようになれば喜んでもらえるのでは。求められている機能や目的を考える子どもが生まれる前も、成長した後も使ってもらえるように、椅子にもなるゆりかごをつくれないだろうか。つくるものが使う人の生活から離れないよう、自分の実体験や身近な人の話から発想を広げた。使いやすさと美しさ遊び心 ユニバーサルデザイン収納道具の既成概念にとらわれず発想を柔軟にするために、根本にある目的や機能に着目した。考え36 37身近な材料で表す表現彫刻 自転車のサドルやハンドルなどのように、ものにはつくられたときの役割があり、人はその役割をイメージしてものを見ています。しかし、役割を取り除いてものを見ると、形としての純粋なよさや面白さなどに気付くことができます。ものの形や色、イメージなどから発想して何かに見立てたり、ものがもつ本来の機能を取り除いて組み合わせたりすることで、新しい価値や意味をもった作品をつくりだしましょう。身近な材料で表す身近にあるものを何かに見立てたり、組み合わせたりすることで、新しい価値や意味をもつ作品をつくりだす。牡お牛うしの頭部 [サドル・ハンドル/33.5×43.5×19cm] 1942ピカソ美術館蔵[フランス]パブロ・ピカソ[スペイン・1881~1973]ピカソは、自転車のサドルとハンドルを用いて牛の頭を連想させるオブジェを制作した。ピカソは、次のように語っている。「ある日、ぼくはサドルとハンドルを選び取って、それを重ねて牡牛の頭をつくる。上出来だ。でもその直後、牡牛の頭を投げ捨てなければならなくなったとする。道か溝か、場所はともかく、それを放り出さなければならない。そのとき、工員が通りかかって、それを拾い、この牛の頭を使えば自転車のサドルとハンドルがつくれそうだと思う─そんなことになれば、素晴らしいだろうな。これこそ変身の力だ。」P2・3・5・12・19 パブロ・ピカソ自転車の車輪[自転車の車輪・木製の台所用スツール/高さ126.5cm]1913(再制作1964)京都国立近代美術館蔵マルセル・デュシャン[フランス・1887~1968]スツールの上に自転車の車輪を取り付けたオブジェである。デュシャンは、既製品から本来の機能を排除し、芸術的価値を与えて提示する手法で多くの作品を発表した。この手法をレディ・メイドと呼ぶ。DNAからの対話[靴・毛糸・紙] 2004日本美術技術センターでの展示[ポーランド]塩しお田た千ち春はる[大阪府・1972~] 撮影:サニー・マンク塩田は、靴とそれにまつわる思い出をつづったメモを多くの人々から集めた。それぞれの靴は1点から放たれた赤い糸で結ばれ、メモは靴に添えて置いてある。見る者は、靴と、それに込められた思いや記憶から、それを所有していた人物を想起することができる。コカコーラ・プラン[鉛筆・紙・油彩・3本のビン・手すりの柱頭・金属製の羽根・木枠/67.9×66×13.6cm] 1958ロサンジェルス現代美術館蔵[アメリカ]ロバート・ラウシェンバーグ[アメリカ・1925~2008]ラウシェンバーグは、瓶や箱といった日常生活で廃棄されたものなどを組み合わせて、アメリカの大量消費社会を連想させるオブジェをつくった。P62 ネオ・ダダ陽の出と陽の入りの時刻、昼と夜の長さを測る目盛り尺(アナレマ)[ガラスのコップ・化石や星座の絵・日照時間の変化表・箱/39.3×51.4×10.4cm]1948~50 滋賀県立近代美術館蔵ジョゼフ・コーネル[アメリカ・1903~72]写真や本、標本や骨董品などによさや美しさを見いだしたコーネルは、それらを組み合わせて、見る人が独自の世界観を連想できるようなオブ毛皮の朝食[毛皮・カップ・ソーサー・スプーン/ ジェを作成した。カップ:直径10.9cm 皿:直径23.7cm スプーン:長さ20.2cm] 1936ニューヨーク近代美術館蔵[アメリカ]メレット・オッペンハイム[スイス・1913~85]コーヒーカップと動物の毛皮という、通常は組み合わせないもの同士の出会いの面白さや不思議さを感じさせる作品である。贈物[鋳ちゅう鉄てつ・鋲びょう/19.2×21.5×18.5cm]1921(再制作1970)横浜美術館蔵[神奈川県]マン・レイ[アメリカ・1890~1976]衣服のしわを伸ばすためのアイロンが、服を引き裂いてしまうものになっている。作品名と合わせることで、作者の皮肉な感情を想像できる作品である。日用品をとりあげ、新しいタイトルと視点によってその有用性が失われるようにそれを置いたのだ─つまり物体に対する新しい思考を創造したのだ。マルセル・デュシャンボックスアートをつくろう身近な材料を見つめ直し、組み合わせたり形を変えたりして、箱の中に配置して、自分なりの世界を表現しよう。時間の大切さ[板・アクリル板・砂時計・チェーン・ホログラム紙・紙/24×17.9×7.2cm] 2015 生徒作品「一度過ぎてしまった時間は戻らないから、過ぎたことを悔やまずに今を大切にしなければいけない、という気持ちを砂時計に込めて表しました。」作家探究 土門 拳映像メディア表現作家探究52 53鑑賞「鯉こい」を制作中の高たか村むら光こう太た 郎ろう[写真/サイズ可変] 1939 土門拳記念館蔵P34・35 作家探求 高村光太郎土ど門もん 拳けん土門の作品や言葉から作家と被写体との関係、1枚の写真による表現力などを理解する。近こん藤どう勇いさみと鞍くら馬ま 天てん狗ぐ[ 写真/サイズ可変] 1955 土門拳記念館蔵[山形県]躍動感のある動きと様々な表情など、その一瞬を捉えて、子どもの生き生きした姿を表した。陶工 菊きく揉も み[写真/サイズ可変] 1938頃土門拳記念館蔵土を練る職人の手をクローズアップで捉えた力強い写真である。手だけで職人の生活や人間性を表現しようとしている。中ちゅう宮ぐう寺じ 半はん跏か思し惟い像ぞう顔がん面めん[写真/サイズ可変] 1940土門拳記念館蔵形が変わらない仏像においても、光の当たり方が変われば表情に違いが生まれる。時々刻々と変化する自然光の中でシャッターチャンスを狙う土門は、納得のできる1 枚を撮影するために寺に通いつめた。梅うめ原はら龍りゅう三ざぶ郎ろう[写真/サイズ可変] 1941土門拳記念館蔵写真嫌いで知られる梅原は、長時間にわたって土門から無理な姿勢でのポーズを要求され続け、怒りに耐え難い表情となった。土門は「実に男性的な美しい顔だった。まさに『お山の大将』そのものの顔だった」と語っている。子供を撮っているときは、それが二度と撮れないなどといった厳しさは、それほどにも感じていないときもあった。そんなものはいつでも撮れると思っていたのだが、実際には、そのとき、それを撮っておかなければ、今となっては、もう二度とは撮れないのである。│『私の履歴書』より土門 拳 私たちは生活の中で手軽に写真を撮っていますが、1 枚の写真がもつ表現力について考えたことがあるでしょうか。 リアリズムに立脚した土門の写真に写し出された人間や事物などには、目に見える以上の実在感が感じられます。土門は「実物がそこにあっても、実物を何度見ていても、実物以上に実物であり、何度も見た以上に見せてくれる写真が、本物の写真というものである」と言っています。土門の作品や言葉から、1 枚の写真がもつ表現力について理解しましょう。真実のポートレート人はカメラを向けられると撮影向けの表情をつくってしまいます。土門はそのつくられた表情を剥は ぎ取り、その人の真実に迫ったポートレートを撮影することに挑戦しました。職人の手土門は、伝統的な技術をもつ職人を多く取材しました。手元を撮影した写真を多く残しています。子どもに迫る土門は、1953年から数年間、精力的に下町の子どもを撮影しました。35㎜フィルムを使う小型カメラを用い、子どもたちの中に溶け込んでシャッターを切ったと言われています。1909年1935年1939年1940年1953年1960年1962年1963年1968年1969年1975年1983年1990年年表山形県飽あく海み 郡酒田町(現・酒田市)に生まれる。名な取とり洋よう之の 助すけ主宰の日本工房の社員となる。美術史家、水みず澤さわ澄すみ夫お の案内で初めて室むろ生う寺じを訪れる。中宮寺の観かん音のん菩ぼ 薩さつ、広こう隆りゅう寺じ の弥み勒ろく菩ぼ 薩さつなどを撮影する。江東区の子どもたちを撮り始める。脳出血のため入院する。古陶磁や職人の取材を精力的に始める。写真集『古寺巡礼』第一集を刊行。山口県萩市で取材中、脳出血で倒れる。再起のためリハビリに励み、以後車椅子で撮影する。写真集『古寺巡礼』第五集を刊行。酒田市に土門拳記念館開館。死去。職人の手ライフワーク 古寺巡礼子どもに迫る土門拳はぶきみである。土門拳のレンズは人や物の底まであばく。│『風ふう貌ぼ う』より高村光太郎ライフワーク 古こ寺じ巡じゅん礼れい土門は、生涯にわたり日本全国の古い寺院や、仏像を撮影し続けました。それらをまとめた写真集『古寺巡礼』は全5冊からなり、土門の代表作とされています。仏像はどこもかしこも規則ずくめで作られた造形物である。造形物であるからといって、形に捉われては駄目だ。仏像の精神をまっとうに追求することが必要なのである。│『フォトアート』1974年4月号より土門 拳愛用の大判カメラと1967年頃の土門。撮影:藤ふじ森もり武たけし40 41デザインポスターを考える表現2010年バンクーバー冬季オリンピック/パラリンピック公式ポスター[各103×72.8cm]ベン・フルス[イギリス・1986~]カナダの自然を図案にしている。オリンピックとパラリンピックのポスターを並べるとカナダの国旗の柄であるカエデの形が浮かび上がる。テーマを生かした文化祭ポスターをつくろうここでは○○祭という架空の高校の文化祭を想定して、ポスターづくりのプロセスを紹介します。文化祭のテーマは「ハーモニー」です。東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通[リトグラフ・オフセット印刷/91.8×62cm] 1927杉すぎ浦うら非ひ 水すい[愛媛県・1876~1965]具体的な場面を描いた作品である。電車が来る期待感を、一点透視図法を用いた構図で印象的に表している。ヒロシマ・アピールズ[103×72.8cm] 1988田た中なか一いっ光こう[奈良県・1930~2002]原爆の惨禍を体験した広島の祈りと願いを伝えるポスターである。ハトを平和の象徴として用い、背景のきのこ雲と対比させている。P28・78 田中一光Rise,again JAPAN[がんばろう日本][シルクスクリーン・紙/72.8×51.5cm] 2011東日本大震災からの復興というテーマが、ブロックを積み上げて日の丸をつくるという行為で象徴的に視覚化されている。文化祭のポスター切り出したパーツを並べ [水彩・紙/72.8×51.5cm] 2016 参考作品替えて検証している。横浜市立金沢動物園通年ポスター[72.8×51.5cm] 2010瀬せ戸とけいた(seto)[東京都・1972~]瀬せ戸となおよ(seto)[愛知県・1973~]豊かな森、草食動物という横浜市にある金沢動物園の緑のイメージと、人気者のコアラを組み合わせてデザインした。図と地の関係、トリミング、配色のバランスを効果的に用いている。目的や条件を基に、テーマが豊かに伝わるポスターを描く。ポスターを考える学校、文化祭、ハーモニーという3要素からキーワードを考えた。各要素をイメージと具体物に分けて考えるとよい。付箋に書き、貼り出して整理する方法がある。キーワードを出すキーワードを組み合わせて、ラフスケッチを描きながらアイデアを考える。描きながら考えることも大事である。複数のアイデアを出して比較する。ラフスケッチを描く検討の結果、D案を採用した。描く内容を整理してラフスケッチを描く。ラフスケッチのコピーからパーツを切り出し、並べて、配置や構図を検討する。構図が決まったら、文字情報、パーツの大きさ、余白の調整などを行い、レイアウトを確定して下図とする。アイデアを決めてレイアウトを絞り込むデザイナーのつくったポスターや過去の文化祭のポスター、他の学校のポスターなどを参考にしよう。写真集や図鑑、インターネットなどを活用して資料を集めることも有効である。既存の写真や画像を直接使用する場合は著作権の許諾が必要である。他のポスターを見る/資料を集める完成作品。水彩絵の具で原画を仕上げ、スキャナを用いてコンピュータに取り込む。文字や地図の情報はコンピュータでレイアウトする。キーワードに沿った楽しげなポスターとなった。ポスターの完成配色カードで色彩計画を考え、色鉛筆で彩色する。色彩計画を立てる箇条書きにして整理するとよい。条件と情報を整理する条件 目的と伝えたい相手を考える。目的:見た人が来たくなる。相手: 他校の生徒、中学生、地域の人。情報 必要な情報をまとめる。文化祭の名称:「○○祭」文化祭のテーマ:「ハーモニー」必要情報: 開催日時、学校名、所在地、電話番号、地図 ポスターのデザインでは、目を引くこと、内容が一目で分かること、気持ちが動くこと、印象に残ることなどが重要です。アイデアを練るときには、伝えたい内容や伝える相手、与えられた条件などを基に図柄やコピー(文字)などを考えることが大切です。図柄は、伝えたいことに関する場面をそのまま描くだけでなく、単純化して表したり、何かを象徴的に用いたりすると効果的です。また、コピーは、言葉の内容とともに、配置や大きさ、色彩などを工夫して印象に残ることが求められます。構図、レイアウト、配色に配慮して、情報が豊かに伝わる印象的なポスターをつくりましょう。「仲がいい」C 「協力」「協調」 「みんな元気」「文化部」「協力」D「五線譜「」楽器」「音符」学校運動部走ってる仲がいいみんな元気イメージ教室廊下校長先生具体物正門装飾文化部名物大鍋豚汁具体物ハーモニーイメージ 協調 響き合う 流れる感じ …具体物 楽器 五線譜 音符 …A 「正門装飾「」笑顔」「協調」 「仲がいい」「協調」B 「名物大鍋豚汁」文化祭…協力笑顔イメージ楽しい………○○駅62 63現代につながる美術/ 日本の前衛美術史料資料抽象表現主義1940年代半ばにアメリカで起こった抽象絵画の動向。ジャクソン・ポロックによるドリッピングを用いたアクション・ペインティングの作品やマーク・ロスコによる広い均一な色面をもつ作品などがある。アース・ワーク1960年代後半に現れた美術の様式。自然環境そのものに手を加えて作品とした。ランド・アートとも呼ばれる。ロバート・スミッソンによる湖に岩石などで人工的にらせんの突堤をつくった作品などがある。メディア・アートビデオやコンピュータといったテクノロジーを活用する美術の表現形式。岩いわ井い 俊とし雄お によるアナログとデジタルを組み合わせたインタラクティブな作品、高たか谷たに史し 郎ろう、池いけ田だ 亮りょう司じ らによる実験的な作品など多くの試みが続く。ポップ・アート現代社会における大量生産、大量消費をテーマにする美術の様式。雑誌、広告、コミック、写真、既製品などをモチーフとして扱うことが多い。代表的な作家にアンディ・ウォーホル、ロイ・リクテンスタイン、ジェームズ・ローゼンクイストなどがいる。1950年代にイギリスで起こり、60年代にアメリカで全盛期を迎え、世界に広く影響を与えた。P31 アンディ・ウォーホルP31 ロイ・リクテンスタインP10 ジェームズ・ローゼンクイストネオ・ダダ廃物や印刷物を流用したり、日常的に目にする記号や象徴をモチーフにしたり引用したりして、作品制作を行う美術運動である。代表的な作家に、ロバート・ラウシェンバーグやジャスパー・ジョーンズなどがいる。1950年代のアメリカで興った。P37 ロバート・ラウシェンバーグ戦後日本の美術展美術展をきっかけにアーティストや評論家がつながり、社会的な美術の情勢がつくられることもあります。読売アンデパンダン1949年~63年に開かれた無審査の公募展である。回が進むにつれ、若手作家による前衛的かつ野心的な作品が多く集まるようになった。スキャンダラスな作品、ハプニング的要素をもった音や行為の作品などが、美術評論における論争や、主催者、行政とのトラブルを巻き起こし、15回で幕を閉じた。美術評論家の東とう野の 芳よし明あきにより反芸術と評された工く藤どう哲てつ巳みの作品を始め、赤あか瀬せ 川がわ原げん平ぺい、篠しの原はら有う司し男お、高たか松まつ次じ 郎ろう、中なか西にし夏なつ之ゆき、三み木き富とみ雄お など、その後、国内外で高く評価される美術家が多く参加していた。人間と物質展1970年に美術評論家、中なか原はら佑ゆう介すけが企画した展覧会。「第10回日本国際美術展」の別名で、東京都美術館にて開催され、後に京都市美術館、愛知県美術館、福岡市文化会館へ巡回した。もの派およびアルテ・ポーヴェラを同時代的な世界の美術における動向として日本に広く知らせる意欲的な内容だった。P62 アルテ・ポーヴェラ1940 1950 1960 1970 1980 1990アンフォルメルポップ・アートネオ・ダダフルクサスミニマル・アート抽象表現主義アース・ワークメディア・アートコンセプチュアル・アート具体美術協会アルテ・ポーヴェラシミュレーショニズムもの派新表現主義第二次世界大戦終了人間と物質展読売アンデパンダン 第二次世界大戦以降、美術を取り巻く社会状況は大きく変化し、それまでにない多彩な表現が生まれました。 第二次世界大戦後、日本の美術界では美術団体の復活や再編成が行われましたが、従来の美術表現における既成概念を壊すような、先鋭的で斬新な表現も試みられるようになっていきます。現代につながる美術通過[紙・木枠] 1955村むら上かみ三さぶ郎ろう[兵庫県・1925~96]「第2回具体美術展」でのパフォーマンス。電気服[電球・コード・スイッチ/高さ165cm 奥行き100cm]1956(再制作1985)高松市美術館蔵[香川県]田た中なか敦あつ子こ[大阪府・1932~2005]作品Ⅱ[油彩・キャンヴァス/183×243cm] 1958兵庫県立美術館蔵白髪一雄[兵庫県・1924~2008]ひもにぶら下がり足で描く白髪。白い円[アクリル・キャンヴァス/192×259cm] 1967大原美術館蔵[岡山県]吉原治良[大阪府・1905~72]もの派1960年代後半に現れた、素材にあまり手を加えずに作品とする作家たちをもの派と呼ぶ。彼らは制作において、土、石、木、紙、綿、鉄などを配置して立体的に構成する。見る者に、配置した素材とそれを取り囲む空間を意識させる点に作品の特色があり、イタリアで同時代に起こったアルテ・ポーヴェラとの類似性が取り上げられることも多い。P62 アルテ・ポーヴェラ位い相そう―大だい地ち[土/円筒、穴とも270×直径220cm] 1968関せき根ね 伸のぶ夫お[埼玉県・1942~]関係項(原題:現象と知覚B)[石・ガラス] 1969李り禹う煥ふぁん[大韓民国・1936~]無限状況[木] 1970菅すが木き志し雄お[静岡県・1944~]アルテ・ポーヴェラ1960年代後半にイタリアで起こった美術運動。石や木、鉛、新聞紙、食物、動物などといった物体をあまり加工せずに、素材として組み合わせて提示する表現形式が特徴。ヤニス・クネリス、ジュゼッペ・ペノーネ、マリオ・メルツなどが代表的な作家であり、同時期のもの派とともに世界的な傾向として語られることもある。P63 もの派君を隠すオブジェ[金属・金網・布・ネオン/高さ110cm 直径210cm] 1968マリオ・メルツ[イタリア・1925~2003]シミュレーショニズム1980年代にニューヨークで起こった美術の様式。誰もが知っている名画や広告、歴史的な場面などの視覚的なイメージを意識的に作品に取り入れた表現が特色である。映画の一場面を想起させるシンディ・シャーマンの写真作品、名画や歴史上の人物になりきる森もり村むら泰やす昌まさの自作自演の写真作品などがある。肖像(ファン・ゴッホ)[写真/120×100cm] 1985国立国際美術館蔵[大阪府]森村泰昌[大阪府・1951~]新表現主義1980年代に現れた絵画表現の様式である。荒々しい筆致、原色による対比的な色彩を用いて暴力や死、性、夢、神話などのイメージを図像の組み合わせや文字などで表現した。ジャン=ミシェル・バスキアによるドクロや悪魔的なモチーフなどをプリミティブな筆致で描いた作品などがある。無題[アクリル・オイルスティック・キャンヴァス/207×175.9cm] 1981ジャン=ミシェル・バスキア[アメリカ・1960~88]日本の前衛フルクサス1960年代にアメリカの美術家ジョージ・マチューナスが組織した前衛的な美術グループの名称。行為を主な表現形式として、ハプニングやイベントを展開した。フルクサスには多国籍のメンバーが参加しており、靉あい嘔おう、一いち柳やなぎ慧とし、オノ・ヨーコ、折おり元もと立たつ身み 、塩しお見み允み枝え子こ、ジョン・ケージ、ヨゼフ・ボイス、ナム・ジュン・パイクなどの芸術家、音楽家がいる。P31 靉嘔FLUXUS1[木箱・オフセット印刷の本/19.3×21×7cm] 1964うらわ美術館蔵[埼玉県]ジョージ・マチューナス[リトアニア・1931~78]靉嘔[茨城県・1931~]塩見允枝子[岡山県・1938~]ほか多くのアーティストの作品が掲載された作品集。アンフォルメル1940年代半ばに起こったヨーロッパにおける抽象絵画の美術運動。ジョルジュ・マチューは即興的に絵筆を走らせた痕跡を作品とするなどして、潜在的な意識から生まれ出るものの表現を試みた。フランスの美術評論家ミシェル・タピエは具体美術協会の作品を日本におけるアンフォルメルとして海外に紹介した。P63 具体美術協会マチューの制作風景。 1959ミニマル・アート1960年代のアメリカを中心に世界的に見られた美術の様式である。シンプルな形や色の繰り返しで構成されるのが特徴で、ドナルド・ジャッドによる金属の箱を等間隔に配置する立体作品や、フランク・ステラによる単純な線や色面の組み合わせで画面を構成する平面作品などがある。グル・ヴァリエーション[アクリル・キャンヴァス/457.2×304.2cm] 1969フランク・ステラ[アメリカ・1936~]コンセプチュアル・アート1970年代に起こった世界的な美術の様式である。記号や文字、文章、身体表現などを用いて、視覚化できない観念などを表現した。河かわら原温おんは当日の日付を絵に表し、同日の新聞などと組み合わせて作品とした。NOV. 21,1985 シリーズ「今日」(1966-)から[アクリル・キャンヴァス・紙・新聞/25.7×33.4cm]1985 東京都現代美術館蔵河原 温[愛知県・1932~2014]具体美術協会吉よし原はら治じ 良ろうが大阪で1954年に結成した前衛芸術グループの名称。ひもにぶら下がり足で描く白しら髪が 一かず雄お をはじめ、既成概念にとらわれない、作家ごとの個性的な表現が特徴である。身体表現やインスタレーション(設置空間を含めて作品とする表現形式)による作品も多い。ミシェル・タピエにより海外に紹介され、その活動は国際的にも知られている。P62 アンフォルメルP6-7|水のある情景を描くタイトル端的なタイトルを心がけ、大きく、読みやすく配置。リンク関連内容を記載するページをガイド。ねらい全題材に、わかりやすく短い言葉で学習のねらいを示しました。ミニ作家心に響く作家の言葉をイラスト付きで掲載。表現につながる鑑賞表現の領域にも短時間で解説可能な鑑賞の内容を随所に盛り込んでいます。生徒作品の掲載同世代の作品が刺激となります。P47(部分)|使う人のためのデザイン絵画全部で11題材を設定しています。想像力をかき立てる豊富な題材が魅力です。彫刻仏像などの伝統的な作品から現代アートのインスタレーション作品まで、幅広く扱っています。デザイン身近な道具や建物、スマートフォンのユーザーインターフェイスなど、様々な視点からデザインを捉えることが可能です。映像メディア表現作家写真や組み写真、アニメーション、プロジェクションマッピングなど、一歩踏み込んだ映像表現に触れられます。資料美術史や技法、色相環やトーン分類図など、より実践的な資料を多数掲載しています。目次絵画絵画の役割と写真の発明/水のある情景を描く大気を感じて描く/質感を捉えて描く人物のイメージや心情を表す/構想を練って描く感覚の冒険/線と明暗で表す/琳派/美術について考える版で表す/生物を空想して表す彫刻作家探究 高たか村むら光こう太た 郎ろう/身近な材料で表す石がもつ素材の可能性デザインポスターを考える/デザインがもたらす統一感紙の特性を生かして伝える/使う人のためのデザイン庭園の造形/感覚に訴えるデザイン映像メディア表現作家探究 土ど 門もん拳けん/複数の写真で表すアニメーションで伝える/プロジェクション・マッピング美術史料美術の起源/アジアの美術/現代につながる美術/日本の前衛技法資料テンペラ画を描く/金きん箔ぱくを使って日本画を描くエッチングで銅版画をつくるシルクスクリーンでTシャツをつくる彫刻の技法/部活動を紹介するチラシのデザインコマ撮りアニメーションの技法/紙で立体をつくる/色彩P40-41|ポスターを考える16 17絵画感覚の冒険表現赤と青と黄色のコンポジション[油彩・キャンヴァス/51×51cm] 1930 チューリヒ美術館蔵[スイス]ピエト・モンドリアン海やふ頭、樹木などの、ものを基にした表現から離れ、垂直、水平の黒い線による赤、青、黄、白の色面の分割で絵画をつくりだした。均整の取れた幾何学的で美しい画面を構成している。セネシオ[油彩・ボードにガーゼ/40.5×38cm] 1922バーゼル市立美術館蔵[スイス]パウル・クレー[スイス・1879~1940]円と四角を基本とした幾何学的な形を様々な色彩で組み合わせて、様々な表情に見える顔を形づくっている。コンポジション8[油彩・キャンヴァス/140×201cm] 1923グッゲンハイム美術館蔵ヴァシリー・カンディンスキー[ロシア-ドイツ-フランス・1866~1944]カンディンスキーは、同時代の音楽に影響を受け、そこからも着想を得て抽象的な作品を描いたと言われる。「コンポジション8」では、幾何学的な図形と直線をリズミカルに組み合わせて画面を構成している。青空の黄金[アクリル・キャンヴァス/205×173cm]1967 ミロ美術館蔵[スペイン]ジョアン・ミロ[スペイン・1893~1983]ミロは、独自の記号的な図形と鮮やかな色彩で、見る者の想像力をかきたてるような表現をした。目の前の世界を単純化していくと、すべては普遍的なものであって、水平線と垂直線で表現される ピエト・モンドリアン上:コンポジションno.10(ふ頭と海)[油彩・キャンヴァス/85×108cm] 1915クレラー・ミュラー美術館蔵[オランダ]下:コンポジション[油彩・キャンヴァス/120×75.6cm] 1916グッゲンハイム美術館蔵[アメリカ]ピエト・モンドリアン「コンポジションno.10」では、ふ頭と広大な海をモチーフにしたと言われている。縦と横の短い線の組み合わせや配置は、海にせり出すふ頭、あるいは波頭や波に反射する光のようにも感じられる。「コンポジション」では、そのような短い縦と横の線を組み合わせる表現方法に赤、青、黄などの色面が組み合わされ、心地よいリズムを生んでいる。左:赤い樹[油彩・キャンヴァス/70×99cm] 1908~10 ハーグ市立美術館蔵[オランダ]中央:灰色の樹[油彩・キャンヴァス/79.7×109.1cm] 1911 ハーグ市立美術館蔵右:花盛りのりんごの樹[油彩・キャンヴァス/78.5×107.5cm] 1912 ハーグ市立美術館蔵ピエト・モンドリアン[オランダ・1872~1944]モンドリアンは、数年間にわたってリンゴの木を描き続け、いくつかの作品を残した。そこにはリンゴの木の形を次第に単純化していく過程が表れている。「赤い樹」では、樹皮や枝などが細部まで描かれ、一見して木と分かる。「灰色の樹」では細部を省略し、単純な線で幹や枝が表されている。「花盛りのりんごの樹」では木や地面などが単純な黒い弓なりの線の組み合わせで表され、作品名を見なければ木と判断するのが困難なほど抽象化されている。これらは対象を単純化し表現の抽象化へと進む過程として捉えることができる。 抽象という言葉には、どこかから、何かから、形を引き出すという意味が含まれています。モンドリアンは、対象を単純化することから、線や色面のみによる画面構成を見いだし、やがて水平線や垂直線と原色の色面を組み合わせた幾何学的な表現にたどり着きました。ものや情景、音楽などから感じ取った感覚や、心の中の気持ち、想像したことなど、目には見えないイメージを形と色で創造的に表しましょう。感覚の冒険感じ取ったことや想像したことなど、心で捉えたイメージを形と色で表す。日常の情景から、目に見えないイメージを表す日常の情景から自分が感じ取ったイメージを、自由な色と形で創造的に表しましょう。いつもいつもの願いごと[油彩・キャンヴァス/116.7×90.9cm]2011 生徒作品「通学バスの中の情景を見つめ、自分が感じたままに人やものの形を単純化し、自分の感芸術の本質は見えるものを じた色で描きました。」そのまま再現するのではなく見えるようにすることにある。パウル・クレー左:いつもいつもの願いごとスケッチ[鉛筆・紙/22.4×16.2cm]2011 生徒作品右:いつもいつもの願いごとスケッチ(部分)[鉛筆・紙/16.2×22.4cm]2011 生徒作品