ブックタイトル平成31年度版 内容解説資料(別冊)

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概要

平成31年度版 内容解説資料(別冊)

461. 高等学校における学習評価の考え方 平成21年版の学習指導要領では,きめの細かい学習指導の充実と生徒一人一人の学習内容の確実な定着を図るため,各教科・科目における生徒の学習状況を分析的に捉える観点別学習状況の評価(以下,観点別評価という)と総括的に捉える評定とを,目標に準拠した評価として実施することとされている。 その際,高等学校の生徒指導要録の「各教科・科目等の学習の記録」には,観点別評価を記述する欄はなく,評定のみを記述することになっている。しかし,高等学校においても,学習指導と学習評価を一体的に行うことにより,授業の改善に寄与するとの学習評価の重要性は同様であり,学習評価の前提となる指導と評価の計画の作成や,観点に対応した生徒一人一人の学習状況の評価の実施など,学習評価の改善が求められている。 評定が各教科・科目の目標や内容に照らして学習の実現状況を総括的に評価するものであるのに対し,観点別評価は各教科・科目の目標や内容に照らして学習の実現状況を分析的に評価するものであり,観点別評価が評定を行うための基本的な要素となる。そのため,高等学校においても評定を行うにあたっての基本的な考え方として,観点別評価における各観点の評価結果(A,B,C)を総括し,評定を行うなどの方法が求められている。2. 指導と評価の一体化 教科の指導は,学習指導要領の指導事項に基づいて行われる。その際,目標に準拠した評価は,学習指導要領に示された教科の目標や内容の実現状況を見るものである。端的にいうと学習指導要領に示されていることが,「できるようになったか。」「わかるようになったか。」を見るものである。生徒が実現に向けてどのような点でつまずき,それを改善するためにどのように支援していけばよいかを教師が把握するためにも評価は重要であり,各学校においてはその取組の充実が一層求められているところである。 美術に関する科目の内容は「A表現」,「B鑑賞」で構成し,「A表現」は「(1)絵画・彫刻」,「(2)デザイン」,「(3)映像メディア表現」から示されている。「A表現」は指導事項が「発想や構想の能力」と「創造的な技能」から,「B鑑賞」は「鑑賞の能力」から作成され,それらの資質や能力を育成することが学習のねらいになっている。観点別評価では,これらの「発想や構想の能力」,「創造的な技能」,「鑑賞の能力」に,生徒がこれらを身に付けようとしたり,発揮しようとしたりすることへ向かう「美術への関心・意欲・態度」を加え,四つの観点で評価することとなる。また,工芸に関する科目においては,「A表現」は「(1)身近な生活と工芸」,「(2)社会と工芸」から示されているが,基本的な考えは美術と同様である。 美術や工芸の表現の活動においては,「発想や構想の能力」や「創造的な技能」は制作が進む中で徐々に作品に具体的な形となって現れるものである。そのため,「発想や構想の能力」「創造的な技能」は,机間指導をする中で制作途中の作品から見取ることができるという特性がある。その状況を捉えながら指導を加えていくことは,従来からもなされていたことであり,これを評価規準を用いて視点を明確にし,一人一人の生徒を丁寧に見取り,学習指導の改善に生かすことが大切である。 授業のねらいは,学習のプロセスにおいて,節目ごとに生徒の学習状況を4観点で見取り,その時点で力が発揮できていない状況が見られた場合には手だてを講じていくことは,全ての生徒に目標を実現させるためには重要なことである。評価においては,最終的な学習結果を把握する評価とともに,このような形成的な評価が大切である。3. 観点別評価のすすめ方① 評価規準の作成 観点別評価を着実に実施するためには,教科・科目の目標だけでなく,領域や内容項目レベルの学習指導のねらいが明確になっていること,学習指導のねらいが生徒の学習状況として実現されたとはどのような状態になっているかが具体的に想定されていることが必要である。このような状況を観点ごとに具体的に示したものが評価規準であり,各学校において設定するものである。高等学校芸術科(美術,工芸)における評価規準は,学習指導要領の指導事項を基に作成することが基本となる。美術Ⅰ,工芸Ⅰの学習指導要領の内容,「A表現」においては,ア,イの指導事項が発想や構想の能力,ウ,エの指導事項が創造的な技能に,「B鑑賞」が鑑賞の能力に対応している。これらに評価についての基本的な考え方