ブックタイトル平成31年度版 内容解説資料(別冊)

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概要

平成31年度版 内容解説資料(別冊)

8年間指導計画の作成に当たって 芸術科(美術,工芸)では,特に各学校の実態に合わせた年間指導計画の作成が求められている。 ここでは,美術Ⅰを例に,年間指導計画作成の際の考え方について整理する。1. 美術Ⅰの特質 美術Ⅰという科目は,形や色などの造形による思考力・判断力・表現力を育成することのできる科目であり,ビジュアルなコミュニケーションの能力を育成することのできる科目でもある。2. ねらいを明確に しかしながら,美術の授業では何を教えているのか,どのような力を育成しているのかと問われることがある。指導計画を立てる際には,各題材の「ねらい」を明確にし,年間を通して育成したい資質・能力を明確にすることが大切である。3. 評価規準の設定 「ねらい」を明確にするとは,評価規準を明確にすることでもある。その際には,「A表現」では,「美術への関心・意欲・態度」「発想や構想の能力」「創造的な技能」について,「B鑑賞」では,「美術への関心・意欲・態度」「鑑賞の能力」について評価規準を設けることが求められる。4. 「発想や構想の能力」を大切に 美術Ⅰの表現活動では,形や色を使って,感情や思考を造形で表すことを求めている。 各々の発想や構想を,表現という形で解決する課題解決学習でもある。「無から有」をつくり出すことを求める科目である。 とすれば,「発想や構想の能力」を育成することが教科の特性として大切なことが理解できる。その「発想や構想」を形にするための土台として「創造的な技能」が大切なことはいうまでもない。5. 美術Ⅰの目標 学習指導要領では,美術Ⅰの目標を「美術の幅広い創造活動を通して,美的体験を豊かにし,生涯にわたり美術を愛好する心情を育てるとともに,感性を高め,創造的な表現と鑑賞の能力を伸ばし,美術文化についての理解を深める。」と示している。 「A表現」及び「B鑑賞」についての幅広い活動を展開し,美術を愛好する心情を育て,美術の諸能力を伸ばし,美術文化の理解を図ることなどをねらいとしている。 「A表現」は,「? 絵画・彫刻」,「? デザイン」,「?映像メディア表現」の三つの分野から成り立っているが,特に,「? 映像メディア表現」において,従前は「伝達」のための表現の能力の育成に重点を置いて示していたが,平成21年の改訂では「伝達」だけでなく,「感じ取ったことや考えたこと」を基にした表現の能力の育成も重視している。 「B鑑賞」は,主体的,積極的に作品などからよさや美しさを感じ取り,批評し合うなどして幅の広い見方を獲得するとともに,日本の美術の特質や,日本及び諸外国の美術文化についての理解を深めることを重視している。6. 「内容の取扱い」について 学習指導要領では,以下の7点が示されている。①「A表現」及び「B鑑賞」の指導に当たっては,中学校美術科との関連を十分に考慮し,「A表現」及び「B鑑賞」相互の関連を図るとともに,「B鑑賞」の指導については,適切かつ十分な授業時数を配当するものとする。②「A表現」の「? 絵画・彫刻」については,生徒の特性,地域や学校の実態を考慮し,絵画と彫刻のいずれか一方を選択して扱うことができる。また,「? デザイン」と「? 映像メディア表現」については,「? 映像メディア表現」において目的や機能などを考えた表現を取り扱う場合,「? デザイン」といずれか一方を選択して扱うことができる。 その際,感じ取ったことや考えたことなどを基にした表現と,目的や機能などを考えた表現の学習が調和的に行えるようにする。③ 内容の「A表現」の指導に当たっては,スケッチやデッサンなどにより観察力,思考力,描写力などが十分高まるよう配慮するものとする。④ 内容の「B鑑賞」の指導に当たっては,作品について互いに批評し合う活動などを取り入れるようにする。⑤ 内容の「B鑑賞」については,日本の美術も重視して扱うとともに,アジアの美術などについても扱うようにする。⑥ 美術に関する知的財産権や肖像権などについて配慮し,自己や他者の著作物を尊重する態度の形成を図るようにする。⑦ 事故防止のため,特に,刃物類,塗料,器具などの使い方の指導と保管,活動場所における安全指導などを徹底するものとする。 以上のことをふまえ,各学校の実態に合わせて年間指導計画を作成することが大切である。